SUPER FLAT 2

非ファルス的にもっこりするものを肯定せよ!(神の性的不器用あるいはその性的悪戯に由来するもの達について)

眠る男、古谷利裕

2006年02月16日 | Weblog
 古谷利裕の06/02/14の偽日記を読んでいて、かつて翻訳家の柳瀬尚紀が、ジェイムズ・ジョイスの小説『ユリシーズ』の第12章「キュクロープス挿話」に登場する「俺」が、実は「犬」なのではないかという説を立てたことを思い出した。昼間から「一日中眠い」とぼやく古谷利裕は、しかし眠っても「めんどくさくて、かったるくて、眠たくて仕方が無い」という夢を見る。体育の授業で走っていて、とにかくもう「眠りたくて仕方がなくなり、その土手をゴロゴロ転げ落ちて下まで行き、転げ落ちたそのままの姿勢で眠ろうとする」のだという。そんな古谷利裕の話からは、なんだか「犬」が匂う。というか、「犬」が似合う。それも、ひらいて、ぬけちゃって、横倒しになったままの姿勢で眠ろうとするタイの野良犬達にそっくりである。その野良犬達は、「糸の切れた操り人形みたいな、くにゃっと潰れたような、あるいは崩れたような、凄く変な姿勢で眠っている」のだ。おそらく古谷利裕はここで、ジェイムズ・ジョイスが小説『ユリシーズ』で「世界の何かを開示した」ように、自分もまた「人間の意図をこえたもの(保坂和志)」を「ひらく」つもりなのだろう。