すんけい ぶろぐ

雑感や書評など

清水恵蔵「銀河英雄伝説外伝 -黄金の翼-」

2005-06-20 08:27:52 | 映画評
まぁ、こんなもんだろうなぁ


「銀河英雄伝説外伝 -黄金の翼-」を見ました。

なんで、今? と自分でも思います。
ベロベロ酔っ払っていて、あんまり深く考えないで見れるものを選びました。その結果です。


かなり前に見たことがあるのですが、今、改めて見ますと、のっぺりした話でした。つまり、あんまり盛り場がなくストーリーが進んでいくということです。

まぁ、こんなもんなだろうなぁ、と覚悟していましたけど。


もともと田中芳樹の小説「銀河英雄伝説」があって、その外伝を道原かつみが漫画にし(漫画化した当時は、小説としては、発表されていないストーリーだったのでは?)、さらに、漫画をもとにアニメ化されたという、妙な経歴を持った作品です。

ですから、あの長大なOVA版「銀河英雄伝説」とは、キャラの外見や声優は違います。

絵も大事なんですが、やっぱ、声がなぁ。
特にアンネローゼが下手くそで、下手くそで。

まぁ、こんなもんだろうなぁ、と覚悟してましたけど。


そんな覚悟がある方に、お勧めです。


銀河英雄伝説外伝 黄金の翼

ハピネット・ピクチャーズ

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本宮ひろ志「サラリーマン金太郎 (26)」

2005-06-19 09:18:40 | 書評
なんだかんだで新会社


「サラリーマン金太郎 (26)」。


会社の生き残りをかけて、金太郎の(株)ヤマトは、中央建設と合併します。

そもそも、「ヤマト建設」から「(株)ヤマト」に変わったのは、
ヤマト建設は(株)ヤマトとして社名を変更する…
人間の喜びを開発する総合商社として
建築という分野から そのワクを拡大する考えだ…
本宮ひろ志「サラリーマン金太郎 (18)」149頁 ヤングジャンプ・コミックス
となっていました。

で、合併してできたのが、「ヤマト中央建設」。
「建設」が復活です。
総合商社計画は、うまくいかなかったのでしょう…………。


それは、ともかく。
(株)ヤマトからは伊郷会長、中央建設からは丸山社長という体制で新会社は発足です。

が、この丸山社長というのは、実は大手の建設会社が忍び込ませた刺客。敢えて新会社・ヤマト中央建設を苦境に陥らせて、解体させようと企んでいます。(また、大仰な作戦だこと………)

そして、かつての中央建設が請け負った手抜き工事を巡り、会社は紛糾します。手抜きを認めれば新会社は莫大な損害賠償を請求される、しかし、いつか地震が起きれば会社の責任問題だけではなく、人命を危険にさらす恐れがある。

で、金ちゃんのとった行動は、もちろん、会社の利益など度外視しての行動です。
手抜きビルのオーナーに直談判し、ビルを調査させて欲しいと頼みます。

ビルのオーナーは、そこでホテルを運営しています。
もし調査の結果で、工事が必要となれば、その期間は客をとれません。その分を補償してくれるのか? という問いに対する答えが、今日の名言。
なんで自分の損得ばかりで ものを言うんですか?
本宮ひろ志「サラリーマン金太郎 (26)」194頁 ヤングジャンプ・コミックス
もともと手抜き工事をしたのは、金太郎自身ではないとは言え、金太郎側です。
ビルのオーナーが損害賠償を請求するのは、当然だと思うのですが…………。

サラリーマンの鉄則 その二十六
「逆ギレ上等」


サラリーマン金太郎 (26)

集英社

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天童荒太「あふれた愛」

2005-06-18 08:23:48 | 書評
あまからず、からからず、うまからず


年を取ると、新規開拓が億劫になってしまいます。
それでも、話題の作家がいると、ちょっと気になったりします。
が、「一時の評判だけかもなぁ~」と考えると、手にした本を、棚に戻してしまいます。

で、天童荒太「あふれた愛」。
短編集なら、失敗しても、傷口は広くないだろうと判断して、買ってみました。これでアンパイだったら、「永遠の仔」に挑んでみようかと。


結論としては、…………「永遠の仔」は、とりあえずパスです。

つまらかった、わけではありません。が、格別面白かったとも言えません。
下手糞だった、わけではありません。が、格別感心するするような場面もありませんでした。

もし、知人に、
「最近、読んだ中で、お勧めある?」
と聞かれて、この本を挙げることはないでしょうが、
「この本どうだった?」
と直接聞かれたら、
「読んでもいいんじゃない」
と答える…………という感じす。

 『あふれた愛』は、どの物語も、心や体や生活の、ちょっとしたタイミングのずれによって、相手を傷つけたり、追いつめたり、みずからを苦しめたりする人々が登場します。
天童荒太「あふれた愛」352頁 集英社文庫
と作者が後書きに書いているように、四つの短編には、心に傷を負った人間たちが登場します。

が、どうにも、その登場人物に、面白みが欠けている。

三島由紀夫のように、人間の欠点を針小棒大に拡大してみせて、「ほーら、人間って、こんなに醜いものなんだよ」となることもなく。
西原理恵子のように、駄目人間の駄目所業を書きながらも、どこかしら温かみのある視点で、人の「優しさ」と「悲しさ」を同時に感じさせてくれることもなく。

リアリティーが欠けているわけじゃないんだけど、どうにも、登場人物の行動が、物語に従属しているような印象を拭えない。
つまりは、物語の展開が先にあって、その後に登場人物のキャラクターが決められているように感じられてしまう。だから、どうも、登場人物が面白くない。

こういう言い方は今時ナンセンスだと思いますが、作家のスタンスが「芥川賞(純文学)系」ではなく、「直木賞(大衆文学)系」ということなのかなぁ~?


まぁ、結局は、個人の嗜好の違いなんでしょうね…………。


あふれた愛

集英社

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本宮ひろ志「サラリーマン金太郎 (25)」

2005-06-17 09:01:17 | 書評
残り五巻


「サラリーマン金太郎 (25)」。

未来都市建設という仕事も一段落したのもつかの間、盲腸をこじらせて金太郎は入院してしまいます。
そこで金太郎は、初恋の人に出会います。

彼女には中学生になる子供がいます。しかし、その子は脳内の腫瘍が原因で長くても一年の命です。
で、彼の夢は、アマゾンに行くこと。
金太郎は、彼の最後の時間を豊かなものにしようと、会社を休職して、その子と旅に出ます。

それから半年後。
無事、アマゾンから帰ってきた二人。
そして、脳内の腫瘍は小さくなっています。

まぁ後は、いつも通りのハッピーエンド。

「あぁ播磨灘」でも、「横綱のお情け」(ようはエッチ)のおかげで難病が克服したって話があったなぁ。

男の世界は、そういうもんなんでしょうね。

ブラックジャックに「よろしく」とか挨拶をしている場合じゃないですね。


今日の名言。
最近のガキどもがよォ
……人殺したり刺したり
ハチャメチャでなってねえってな
そいつあ……
全部父親が悪いんだ………
本宮ひろ志「サラリーマン金太郎 (25)」129頁 ヤングジャンプ・コミックス
子供のころにバイクで暴れていたのは、誰が悪いんでしょう?

サラリーマンの鉄則 その二十五
「まぁ、ともかく、病気は治るもんだ」


サラリーマン金太郎 (25)

集英社

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宮尾登美子「きものがたり」

2005-06-15 08:23:10 | 書評
世界は○で回ってる


宮尾登美子「きものがたり」。
いろいろと事情がありまして、こういうものを勉強しなくてはいけないため、読んでみました。


きもの………と言いますと、今となっては生活必需品ではなくて、奢侈品です。
安いものもありますが、まぁ、普段着などと比べますと、かなり高いです。

きもの一式で、おニューの軽自動車くらいに達してしまうことも、珍しいことでもありません。

で、ありながら、着るのは面倒、洗濯はクリーニング、保管には気を使う、…………等々、面倒なことばかり。
いいことなんか、ありゃしません。


それでも、女性は嬉々として着るわけでして……………まぁ、なんつーか、男には理解し難い世界です。

 何しろ昔の丸帯というのは、幅は優に一メートルはあり、重さは八キロ以上もあったから、これを身に縛りつける女性は拷問に等しい苦しみであったにちがいない。花柳界ではこの帯を結ぶため箱屋とよぶ男衆を雇い入れており、芸妓さんたちの出の支度のとき、箱屋の兄さんたちが渾身の力を込めて帯を締めている風景を、私は目に灼きつけている。
 こういう帯苦(?)からは早く解放されればいいのに、と見るのは、よい帯など持たない第三者であって、締めてもらうほうはこれぞ女の意地か威勢か、「ここ見よ」とばかりの晴れがましさであったろう。
宮尾登美子「きものがたり」163~166頁 文春文庫
男性の僕にとっては、まずもって、女人(にょにん)の世界は、土俵以上に立ち入りがたい世界のようです。


で、本書ですが、宮尾登美子の個人的なきものにまつわる話が、美しい写真と一緒に語られています。

ぱらぱらと写真を見ているだけでも、てきとうに面白いですが、「きものの思い出については、女は金輪際忘れはしない」(62頁)と本人が語っているように、きもの一枚・帯一本、それぞれにまつわる話も、なかなか興味深いです。

戦争にまつわる話ですと、「モンペを美しく着るために方法」や「娘に少しでも綺麗なものを着せてあげたいと、親がヤミで買った衣料切符を、宮尾登美子自身は、「贅沢は敵だ」と非難した」こと、「満州から麻袋を巻きつけて帰国し、家で機織りをした」等が書かれております。

作者が1926年生まれというだけありまして、彼女の個人的な話を書いているにも限らず、衣服に対する日本人の思考の変遷に触れることができます。


文章は硬くなく、スラスラ読めます。それなりに、「ふーむ」と思うエピソードもあるのですが、やはり呉服に興味がないと、きつい本だと思います。
そういう本でした。


きものがたり

文芸春秋

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本宮ひろ志「サラリーマン金太郎 (24)」

2005-06-14 08:37:15 | 書評
男子三日会わざれば刮目して見るべし


「サラリーマン金太郎 (24)」。

アメリカから帰国した金太郎は、また大和に復帰。前科が増えたことは、あんまり関係がないようです。


で、大和では自由な裁量を委ねられ、千葉の大開発を計画する金太郎。そんな彼を、部下の女性は、こう評します。それが、今日の名言(?)。
あの人……
アメリカから帰って来て 変わったわ
ただ受動的に動くだけの猿から
あきらかに自分の意思を持ち 猿を動かす猿回しにね…
本宮ひろ志「サラリーマン金太郎 (24)」70頁 ヤングジャンプ・コミックス
アメリカでは英語を完璧にマスターしたようですが、それ以外にやったことと言えば、ムカついた白人の女性を殴って、逮捕されたくらいだったような?

でも、それが金ちゃんの契機になったようです。

人間の成長には、なにが作用するか分からないもんですな…………。


サラリーマンの鉄則 その二十四
「前科は男の勲章」


サラリーマン金太郎 (24)

集英社

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黒澤明「赤ひげ」

2005-06-13 08:41:13 | 映画評
「赤ひげ」と聞くと、「江戸むらさき特急」の「青ひげ」を思い出してしまう


黒澤明「赤ひげ」。
庶民の味方である赤ひげ先生と、そこで嫌々働くことになった青年医師を中心に、江戸時代の一般市民の生活を描いた群像劇です。


山本周五郎の原作は知らないので、なんとも言えないところがあるのですが、女に裏切られた男ばかり出てきます。

保本登長崎遊学中に、許婚が裏切って他の男に走ってしまう
色情狂の女に、殺されそうになる
六助女房に新しい男ができてしまい、娘と一緒に逃げられてしまう。さらに、その娘は、男の嫁にされてしまう。
佐八死んだと思っていた女房が、実は生きていた。で、つい殺してしまう。


黒澤明の映画も、全部見ているわけではないです。さらに、見たことのあるものでも細部は抜け落ちているような状態です。それでも、ちょっと思い出してみると、「乱」では国を乱す妖婦がいたいし、「どですかでん」でも姦淫によって男を廃人にまで追い詰めてしまった女性が登場していました。

うーん。
巨匠の暗黒面を見てしまったような気がします…………。


いつものことですが「説明的なセリフが多いなぁ~」とか、「監督の主張(説教)が濃いなぁ」という感じです。それが、ちょっと鼻につかないこともないですが、場面場面の「映え」は、やはり黒澤。
カメラのアングルは、今の映画と比べるとかなり古臭いのに、白と黒の二色だけで、ビシッと引き締まった画面になるのは、単純に脱帽です。


途中で休憩があるような長編ですが、今でも十分に楽しめるのでは?


赤ひげ

東宝

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本宮ひろ志「サラリーマン金太郎 (23)」

2005-06-12 08:33:59 | 書評
少しは反省しろ………


「サラリーマン金太郎 (23)」。
パーティーの席上で、ムカついた女性を殴ってしまい、逮捕されてしまった金太郎。
他人には頼らんと、義理の娘の義父(まどろっこしいな)が雇ってくれた辣腕弁護士を拒否して、法廷では自分を自分で弁護します。

その際の一言が、今日の名言。
何回も人と殴り合い 留置場 そして刑務所に入れられた事もあります
しかし私は恥と思った事は一度もありません
私の行動信念に従ったことであり
それが法という部分に触れるという結果であります
(中略)
人間はやってみなければ出ない答えというものもあります
それが世の中の常識や法に触れ
その法を越えた時はすべてが悪なのか…
私はそうは思わない
そうは思わない自分でいいと思っている
本宮ひろ志「サラリーマン金太郎 (23)」111~113頁 ヤングジャンプ・コミックス
「法を越えた時はすべてが悪なのか」………。そもそも金ちゃんが捕まったのは、集団での暴走を指導したからであって、法について云々を言う前に、根本的に一般人に迷惑をかけているような気がしますが…………。

サラリーマンの鉄則 その二十三
「自分が大切」


サラリーマン金太郎 (23)

集英社

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しりあがり寿「弥次喜多 in DEEP 廉価版 4」

2005-06-11 08:41:57 | 書評
さかな、さかな、さかなー さかなーをー食べーるとー


「生」と「死」。
「夢」と「リアル」。
「神」と「悪魔」。
「人」と「獣」。
「善」と「悪」。
「自分」と「他人」。
「親」と「子」。
「秩序」と「混沌」。
「有限」と「無限」。


「弥次喜多 in DEEP 廉価版 4」。

う~ん。つまりは、お伊勢さんへの道というのは、秩序への希求なのだろうか?
「弥次喜多 in DEEP 廉価版 3」でも登場した、弥次さん喜多さんの道中を邪魔しようとしていた老人が、こんなことを言っております。
ボクたち「偉大なる自然」保護協会は
自然の本来の姿は混沌だとか言っちゃって
あらゆる秩序に反対してたよね
しりあがり寿「弥次喜多 in DEEP 廉価版 4」117頁 エンターブレイン
つまり、この世界を混沌のままにしておくために、弥次さん喜多さんをお伊勢さんに着かないように、彼らは画策するわけです。

で、ありながら、最終的に、お伊勢さんにたどり着く(秩序を得る)ことが大団円というわけではない。それは、この漫画の最後の言葉から分かります。

あるといやあ
ある……

ないといやあ……
ない

だけど そんなことで 悩んだって
しかたがねえ

あると思うんなら
あると思うしかねえ

わけのわかんねえ道中に

たったひとりで
ほおりだされて

なにが正しいのか
なにがホントなのか
さっぱりわからりゃ しねえ……

…なあ…

そりゃあ不安だろうよ

だけどな
その不安をな
ぐっと こらえてな

ボウズが そこに「ある」と思ったらな

その ちっちゃな 足を…

そう
ぐっと…

そうやって前に
出していくしか
ねえんだよ

そうやって…

ぐっと…
しりあがり寿「弥次喜多 in DEEP 廉価版 4」270~275頁 エンターブレイン

平たく言えば、「生きようとする意志が美しい」ということなのでしょうか?

………なんか違う気がする。


狂気一歩手前の、秀作にして怪作。
久しぶりに、脳みそをかき乱されて、頭がおかしくなってしまうような感覚を味わいました。


弥次喜多 in DEEP 廉価版 4

エンターブレイン

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本宮ひろ志「サラリーマン金太郎 (22)」

2005-06-10 11:48:06 | 書評
嫌なものは、殴って解決


「サラリーマン金太郎 (22)」。

「おれに足りないのは学問なんじゃないだろうか?」と悩み、アメリカに留学した金太郎。
が、ふらふらと歩き回って、目的地のニューヨークに着いたのは一年半後。

で、ようやく勉強が始まったかと思うと、パーティーで女性を殴ってしまい、アメリカでも留置所へ。
そんなわけで、「法廷漫画」となってしまいます。

もともと「サラリーマン漫画」というよりも、「男漫画」でしたらから、今さら「法廷漫画」になったとしても、結局は、例の調子で片付いてしまうのでしょうけど。


で、殴った際の言葉が、今日の一言。
おまえみてえなアメリカ女は
世界一甘やかされた
てめえの事しか考えねえ白ブタだ!!
本宮ひろ志「サラリーマン金太郎 (22)」141頁 ヤングジャンプ・コミックス
「アメリカ女は」とは、またでかくでましたね。金ちゃんは、そんなにアメリカ女を知っているのか?
一年半の放浪の間に、いろいろあったんでしょうね(書かれてはいませんけど)。


サラリーマンの鉄則 その二十二。
「どこに行っても、留置場」


サラリーマン金太郎 (22)

集英社

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