すんけい ぶろぐ

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黒澤明「赤ひげ」

2005-06-13 08:41:13 | 映画評
「赤ひげ」と聞くと、「江戸むらさき特急」の「青ひげ」を思い出してしまう


黒澤明「赤ひげ」。
庶民の味方である赤ひげ先生と、そこで嫌々働くことになった青年医師を中心に、江戸時代の一般市民の生活を描いた群像劇です。


山本周五郎の原作は知らないので、なんとも言えないところがあるのですが、女に裏切られた男ばかり出てきます。

保本登長崎遊学中に、許婚が裏切って他の男に走ってしまう
色情狂の女に、殺されそうになる
六助女房に新しい男ができてしまい、娘と一緒に逃げられてしまう。さらに、その娘は、男の嫁にされてしまう。
佐八死んだと思っていた女房が、実は生きていた。で、つい殺してしまう。


黒澤明の映画も、全部見ているわけではないです。さらに、見たことのあるものでも細部は抜け落ちているような状態です。それでも、ちょっと思い出してみると、「乱」では国を乱す妖婦がいたいし、「どですかでん」でも姦淫によって男を廃人にまで追い詰めてしまった女性が登場していました。

うーん。
巨匠の暗黒面を見てしまったような気がします…………。


いつものことですが「説明的なセリフが多いなぁ~」とか、「監督の主張(説教)が濃いなぁ」という感じです。それが、ちょっと鼻につかないこともないですが、場面場面の「映え」は、やはり黒澤。
カメラのアングルは、今の映画と比べるとかなり古臭いのに、白と黒の二色だけで、ビシッと引き締まった画面になるのは、単純に脱帽です。


途中で休憩があるような長編ですが、今でも十分に楽しめるのでは?


赤ひげ

東宝

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