すんけい ぶろぐ

雑感や書評など

Rio「LIVE gear シリコンイヤーフック式ヘッドホン」

2005-11-29 08:29:59 | その他の評価
ユーズド商品で2,000円前後で出品しているが、それは、どうかと


あんまり音楽は聞かないのですが、家族と同居しているものでして、どうしても「音(声)がもれては困る」場面があります。
が、わざわざ寝る前の五分~十分のために、高いヘッドホンは要らない。
そもそも、高いものを買って音を楽しむほど、良質な耳をしていない & そんなものを聞かない。

で、Rioのヘッドホン(Rio LIVE gear シリコンイヤーフック式ヘッドホン ブラック)が安かったので、買ってみました。

耳の聞き取り能力も大したことはないのですが、さらに耐久性も悪く、インナーイヤー式のものを長時間利用していると、チクチクと痛くなってしまうという困りもの。
が、イヤーフック式ヘッドホンなので、痛くなりません。
まずまず快適。

音質の良し悪しは、分かりません(きっぱり)。
まぁ不快に感じることはないので、普通なのでしょうか?

音漏れは、……………これも良く分かりません。
まぁそんに漏れていない、と思います & 願います。


これで933円なんて、安い…………と思っていたのですが、今見ると、3,980円になっている。
どうやら、僕が買ったときが、セール中だったようです。

千円弱なら文句なくお勧めなのですが、四千円弱となると……………。

こんなことなら、もう一つ買っておくんだった。


Rio LIVE gear シリコンイヤーフック式ヘッドホン(専用ソフトケース付) ブラック [PHP-200K]

Rio

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Rio LIVE gear シリコンイヤーフック式ヘッドホン(専用ソフトケース付) シルバー [PHP-200S]

Rio

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Rio LIVE gear シリコンイヤーフック式ヘッドホン(専用ソフトケース付) チタン [PHP-200T]

Rio

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キングソフト「インターネットセキュリティ」

2005-11-28 08:59:41 | その他の評価
私とアンチウイルスソフト


アンチウイルスソフトで最初に使ったのは、symantecの「インターネットセキュリティ」。
言わずとしれた、ノートン先生シリーズ。これが、どうも、うちのWinMeと相性が悪くて。
しかも、当時はウイルス被害など、まだまだ対岸の出来事。
どうにもこうにも役に立たないのに、使い辛いとあって、あんましイメージが良くない。

そんなわけで、WinXPに移行と共にtrendmicroの「ウイルスバスター」に乗り換えました。

特に不満もないまま最近まで使っていたのですが、………………例の「パターンファイルの更新で、PCがハングアップしてしまう」という災難にぶち当たりまして。

まぁ以後も、メインマシンはそのまま「ウイルスバスター」をのっけています。
一度、あれだけの失敗をしたのだから、今後は大丈夫だろう…………とは思いたいのですが。


で、会社のPCにも「ウイルスバスター」がのっているのですが、何台か使用期限が切れてしまっている。
あんまし会社ではインターネットは使わないし、そもそも金をかけたくない。とは言うものの、ネットにはつながっているので、やはり何かは乗せなくてはいけない。

試しにsourcenextの「ウイルスセキュリティ」お試し版を入れてみましたが、…………うーん、使い難いなぁ。これに、金を払うのか…………。


前の会社ではmcafeeの「マカフィー・インターネットセキュリティスイート」を使っていたけど、あれも、微妙な動きをするときがあるんだよなぁ。


そんなこんなで、キングソフトの「インターネットセキュリティ」を入れてみました。「100万本無償ダウンロード」ということで、今はまだ無料で手に入れることができて、一年間はパターンファイルの更新も無料。

アンチウイルスの他、ファイヤウォールやアンチスパイも入っています。まぁ最低限のことは、大丈夫なようですが……………ウイルス検索をかけると、三回に二回はソフトが落ちる。
「うちのWin2000だけ相性が悪いのかなぁ?」と好意的に見ていましたが、WinXPでも同じように落ちる。

しょーがないなぁ。まぁ無料だから、仕方ないか……………。使用期限が切れたら、ちゃんとしたものを買おう。
問題は、どれがちゃんとしているか? なのだが……………。


キングソフト インターネットセキュリティ



キングソフト

山本祐介「ケロロ軍曹 (2)」

2005-11-27 08:58:51 | 映画評
ケロロが「父」の肩代わり…………ということは、ないな


なんか、あんまり複雑なことをしたくないので、ボォーと「ケロロ軍曹 (2)」を見てみました。


この日向家って、どうして母子家庭なんだっけ?

漫画は一応読んだのだが、細部は忘れてしまいました。
あぁ年を取るって…………。


三人の家族に「冬」「夏」「秋」とついているから、「春」の存在が容易に想像つくのだが。
それが、父か?


それは、さておき。
漫画にしても、アニメにしても、「父」の不在って、多いような気がします。

「ドラえもん」も、のび太の家では両親が準備されているけど、他の仲間で登場するのは母親ばっかり。
「ヒカルの碁」にしても母は登場するのに、不自然なくらい父は出てこないものなぁ。(その代わり「塔矢行洋」という巨人がいるけど)

宮崎駿アニメにしても、偉大なる「母性」は描かれても、峻厳なる「父性」はないんじゃないなぁ?


まぁ漫画もアニメも、子供を主人公にしちゃうと、「父」は登場させにくいのだろうなぁ。
子供の世界にとっては、否応なしに大人の世界は肯定できないものになってしまう。だから子供を見守る母性の登場は許せても、子供に試練を下す父性は、登場させ難い。

その結果として、物語からは意識的にしろ無意識にしろ、父は省かれてしまう、てなところか?


もちろん父が登場する物語もあります。
が、「エヴァ」にしろ「ガンダム」にしろ、「父」が出てくるから、子供に試練を課す物語構成になってしまうんだろうなぁ。


「ケロロ軍曹 (1)」の感想。
山本祐介「ケロロ軍曹 (1)」アニメでは、どんなアングルでもパンツが見えないようになっているなぁ


ケロロ軍曹 2

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山本祐介「ケロロ軍曹 (1)」

2005-11-25 09:13:59 | 映画評
アニメでは、どんなアングルでもパンツが見えないようになっているなぁ


放浪中は、正直なところ暇でした。
で、なにをしていたのかと言うと、だいたいが昼は漫画喫茶で、夜は酒。

しかし、年をとると新規のものに喰らいつく気概というものが、年々低下してくるものです。
そんなわけで、漫画喫茶に行ってはみたものの、特に読みたいものもなく。

しかも、大作や複雑なものを読む気も起きず、これなら気楽に読めるだろうと「ケロロ軍曹」を手にしてみました。

中身は今さら言うまでもないでしょうが、
「これ、子供にも人気なの?」
という古いネタばかり。

「小さな子供にはカエル姿の奇行がウケ、大きな子供にはマニアックなネタがウケ、ということか…………」
などと思いつつも、自分もすっかりはまってしまい、全巻読破してしまいました。


で、アニメの方も見てみました。
肩肘張らずに、ボォーと見るには、ちょうどいいね。

…………「SAMURAI 7」は、まだ途中だけど、もう見ることないな。


放浪編について。
放浪記 ―完結編―

お役目御免となった「SAMURAI 7」の感想。
滝沢敏文「SAMURAI 7 第1巻」三船敏郎の菊千代を超えるのは大変だろうなぁ
滝沢敏文「SAMURAI 7 第2巻」なんとなくの感想
滝沢敏文「SAMURAI 7 第3巻」惰性だな…
滝沢敏文「SAMURAI 7 第4巻」やはり、なんとなく
滝沢敏文「SAMURAI 7 第5巻」けっこう、まだまだあるな~
滝沢敏文「SAMURAI 7 第6巻」期待の地平


ケロロ軍曹 1

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放浪記 ―完結編―

2005-11-23 09:20:28 | 雑感
放浪記 ―完結編―


家出中に読んだ・見たものの感想。
吾妻ひでお「失踪日記」
富野由悠季「ZガンダムⅡ -恋人たち-」
西原理恵子「営業ものがたり」
太宰治「人間失格」
綿矢りさ「インストール」
三島由紀夫「音楽」
士郎正宗「攻殻機動隊 2」
まったく統一感がないぁ。
この他にもドストエフスキーの「虐げられた人々」がありますが、これは、まだ読了しておりません。

それは、さておき。


9泊10日の家出。
十日目には「決裂するにしても、一度は話し合いをしなくては、ならんだろうなぁ」と、一旦は家に帰ることにしました。

で、とある駅で帰郷への電車を確かめると、特急の出発は14時となっている。
まだまだ数時間の空き時間がある。

「誰かと、昼飯でも食うかなぁ」と思えども、気軽に呼べる男友達などいない。
思い浮かぶのは、二人の女性。かつての彼女(現在は既に結婚)と、かつてのセックスフレンド(?)。

ともかく、日曜日だったので、かつての彼女に電話をしてみるものの、
「時間がない」
とあっさり断られる。

では、次にかつてのセックスフレンド(?)だ! とは思えども、この子とは、いろいろと確執があり。
と言うのも、この子には、一度、求婚したことがあるのです。

その子には、何度かお相手をしてもらったことがあるのですが、どうにも彼氏とは認定してもらえず。まぁ、やらせてくれるのだから、それでいいんじゃないか! と思っておりました。(そういうスタンスだから、彼氏に昇格させてくれなかったのでしょうけれども……………)

しかし、東京から実家に帰るにあたり、思い出づくりだ! とばかりに、
「一緒に帰らないか?」
と誘ってみました。まぁ一笑されるに決まってる、と思っていましたが、存外真面目にとらえてくれまして「即答できない」とのこと。

で、二ヵ月後くらい経過して、お断りのメールが届きました。

…………まぁ真剣に悩んでくれただけ、感謝しなくてはなりませんね。


それが半年くらい前のことだったと思います。
そんで、久しぶりに、その子の近くにいる。
今さら顔を合わせたからといって求婚に応じてくれるとは思えず、むしろストーカー扱いの恐れすらありそうですが、あわよくば特急までの待ち時間に一勝負できるのではないかと、淡い妄想を抱いてしまうのは、悲しい男の性か……………。

しかし、僕はSONYのSO505iを使っているのですが、見事にソニータイマー発揮で、そのときはジョグダイヤルが壊れた状態。左右には動けるが、上下にはウンともスンとも言わない。

昔の彼女の電話番号は、偶々記憶していたからいいものの、かつてのセックスフレンド(?)には、アドレス内を移動できないので連絡の取りようがない。
まぁ、連絡が取れないなら仕方ないか。あぁ~連絡が取れたら、またエッチができたかもしれないのになぁ~などと、しょーもない言い訳を自分にしながら携帯を取り出すと、ジョグダイヤルが動きやがる。

まったく奇跡としか言い様がない。あの日から、およそ一ヶ月近く経ちましたが、ジョグダイヤルが動いたのは、あの日だけです…………。

「これは、神が恵んだチャンスなのでは?」
とばかりに、ガシガシとメールを送ります。

で、マクドナルドで待つことに。

が、甘い妄想ともに、一度求婚を断られた女性に、再度会おうとする事態に、怖気づき始める自分。
「道に捨てられた恋を拾おうとしている自分は、かなり惨めなのでは?」
と考えてドンヨリなったかと思うと、
「いや、恥を忍ばずして、熱意(ヤル気)は伝わらない」
などと奮い立たせてみる。


が、結局、三十分のチキンレースを経て、緊張状態に耐えられなくなった僕は、「やっぱり忙しい? 他に予定があったよね。それじゃ、また機会があったら」と自分から誘っておりながら、自分から断るという、見事な自作自演を行うことで、放浪編最後の盛り場を勝手に自己完結させ、一人で貧しく駅でおそばを食べ、帰宅の途につきました。

そんで、実家では、予想以上の愁嘆場が待っていましたが、まぁ、あぁだこうだで、元に鞘に収まった形。


で、翌朝になると、例のセックスフレンド(?)から、メールが届いてました。返信が直ぐに出来なかったことを詫びている内容だったのですが、その理由というのが、彼氏と同棲のために部屋を探しいたので、暇がなかったとのこと。
「私が無理に言って時間をつくってもらったので、メールをする暇がありませんでした。すいません」

それを見て、また旅に出たくなったのは、申すまでもありません。

「あぁ神は、なぜにかくも私にだけ、このような試練を与えるのでしょうか?」


…………まぁ、いつまでも、昔の恋にすがるなという教えなんでしょうね。

ともかく、お幸せに。

士郎正宗「攻殻機動隊 2」

2005-11-22 09:05:19 | 書評
放浪編 その七


自分が平均以上の受け手であるのかどうかは、時々不安になることです。(30で家出しておりますから、社会人としては平均以下ですが)
まぁ全ての作品が想定している受け手になれるわけはなく(ドイツ語の作品は、当然のことながらドイツ語を理解できる人間に向けてつくられているわけですし)、あんまり気にして仕方ないのでしょうが。


で、放浪中。読んだ本を捨て去ることに抵抗のあるタイプなので、全てバックに収めなくてはいけない。そんなわけで、読めば読むほど、持ち物が増えてしまう。

「あんまり複雑なもんは読みたくないなぁ~」とも言っていられなくなり、「これなら、かなり持ちこたえられそうだ」と選んだのが士郎正宗「攻殻機動隊 2」。

が、ちょっと、僕には難しすぎた…………。のっけから分からない。
既知限界サイボーグである素子にとって
アクティブなドライブは全て自分であり
アクティブなソースは全て自分の記憶である
それらは常に可変であるが
周期的に「生物部品」が燃料や睡眠を要求し
基本帰属層を思い出させてくれる
物理も情報も共に現実であり
全てはいつまで続くか分からない人生そのものなのだ
士郎正宗「攻殻機動隊 2」1頁 講談社
「既知限界サイボーグ」?。もう意味が分からない。(「SF通なら、お馴染みの言葉なのだろうか?」と思っていたが、グーグルで検索しても、15件しか出ないぞ…………)
ようするに、物質に依存しない、情報だけの存在となった「素子」であったが、普通の人間と同じような人生が待っている…………ということなのか? いまいち、自信が持てない。

まぁ、読み進んでいくうちに、分かってくるのだろう…………などと甘い希望を持っておりましたが、…………降参です。
もう、最後まで、さっぱりでした。(そんなわけで、家出中に読み終えることは、できませんでした)

自分の読解力不足なのかもしれませんが……………、これは、ちょっと作品自体にも欠点があるような気がするなぁ。
もうちょっと、読者に説明をすべきなんじゃないかなぁ。

作者としては、そんな軟弱な読者は想定していないのでしょうけど。


物語に関しては、そんな感じでした。

絵柄は、全編CGを駆使し、カラー多目。
描き込みは凄いです。特に女体に関して、アメリカでのみの発売を前提としていたら、きっと女性器のビラビラまで描いただろうと想像できるような、頑張りです。(が、好き好きがあるとは言え、あまり「勃つ」ような絵ではないと思います)

そんな感じでした。


攻殻機動隊 (2) KCデラックス

講談社

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三島由紀夫「音楽」

2005-11-21 08:41:57 | 書評
放浪編 その六


あんまり難しい本を読みたくない。というよりは、エッチな本を読みたい。谷崎でも読もうかと立ち寄った書店には、大した品揃えはなく、仕方なく他をあたっていると、三島由紀夫「音楽」が目に付く。

少女期の兄との近親相姦により、美しい〝愛〟のオルガスムスを昧わった麗子は、兄の肉体への憧憬を心に育み、許婚者をも、恋人をも愛することができない。麗子の強烈な自我は、彼女の不感症を癒すべく、懇切な治療を続ける精神分析医の汐見医師をさえ気まぐれに翻弄し、治療は困難をきわめる
三島由紀夫「音楽」背表紙 新潮文庫
所謂「妹萌え」というもの持ち合わせていないのだが、これはこれで、よろしいかもしれないと読んでみました。

以下、例によってネタバレ。
 麗子は兄とは、実に仲の好い兄妹であり、彼女は兄を熱狂的に愛していた。兄のあとにはどこへでもついて歩き、兄が喧嘩が強いとか、美男子だとかいう評判をきくと、子供心にもうれしくてならなかった。小学校三年生のころ、ある晩、兄の寝床へもぐり込んで寝ていたとき(両親がそれを禁じていたので、なおさらそれは甘い魅惑であった)、兄の指が彼女の小さな桃いろの貝殻に触れて、その貝殻が、海の遠い潮鳴りを伝えてくることを教えてくれた。
「いいかい、麗ちゃん、じっと目をつよっていろ。いいこと、教えてあげるから。誰にも言っちゃいけないよ」
 兄はそう言いながら、そろそろと指をのばし、片手で小さい麗子の肩をしっかりと抱きしめながら、麗子がまだ味わったこともない、しびれるような、怖ろしい、甘い感覚へと連れて行ってくれたのだった。
三島由紀夫「音楽」63~64頁 新潮文庫
この甘い禁断の喜びが忘れがたく、麗子は「音楽」を聞けなくなってしまったのです。つまりは、イケないってことです。(「イケない」であって、「ぬれない」というわけじゃないのか? まぁどうでもいいことだが…………)

で、彼女を精神分析を進めていくうちに、医者はもっと恐ろしい事実に突き当たります。実は、兄の悪戯だけではなく、彼女たちは実際に交わっていたのです。
 会話が間のびしていながら、妙に殺気立ってきているのを麗子は感じていたが、兄のうしろに隠れるようにぢっているうちに、この「じゃ見てろ」という言葉と同時に、酔った兄が身をひねって、いきなり腕をのばして来たのにおどろかされた。避ける暇もなく、麗子は固く抱きしめられると、永い、息のとまりそうな接吻をされた。それは世にも恥かしい怖ろしい接吻だったが、麗子は瞬間その言語道断の甘さに目がくらんだ。(中略)
 兄の手が自分の胸もとをひろげるのを麗子は夢うつつに感じ、兄の歯が乳房を軽く噛むのを感じた。「もっとよ。もっとよ」と叫んでいる女の声が遠くきこえた。酔った兄の体は燃える石炭のように、倒れた麗子の体の上に積まれた。
三島由紀夫「音楽」182~183頁 新潮文庫

で、まぁ、そんなこんなで、いろいろありつつ、最終的には麗子は兄と対峙し、不感症が治ってハッピーエンドです。

三島由紀夫らしく、非常に緻密な構成に仕上がっております。
それはいつも通りなのですが、驚くのは、この小説が昭和40年に出ているということ。
今でこそ、安直に使われる精神分析という道具ですが、こんな早い段階で本格的に使っている作家がいたとは。

専門家から見ると、「ププッ」という箇所があるのかもしれませんが、素人からすると、精神科医の治療態度なんかは、リアルに感じられました。(患者からは必ず金をもらう、という決まりは、河合隼雄を言ってたなぁ)

何度か出てくる言葉「性の世界では、万人向きの幸福というものはない」は、もちろん、男色(バイ?)の三島由紀夫も痛烈に感じていたことでしょうし、もしかしたら、それで精神科医のお世話になったことがあるのかなぁ~?


そういえば、「春の雪」が公開されたはずだが、うちの近くの映画館では、あっさり打ち切られたなぁ。
駄目だったのか?


他の三島作品の感想です。
三島由紀夫「愛の渇き」輪廻転生の話は盛り込まれないだろうなぁ(盛り込むと、恋愛映画がぼやけちゃうだろうし)


音楽

新潮社

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綿矢りさ「インストール」

2005-11-18 08:19:21 | 書評
放浪編 その五


おそらくは、家出から二・三日経ったころでしょうか?
そのときの気分としては、「あまり小難しい本はなぁ~」といったもの。

で、手にしたものが、綿矢りさ「インストール」。

 晴れてチャット嬢となった私は、みやびの名で、会社でハラハラしながらコンピューターを開いているサラリーマンや昼に自由な時間がある浪人生、深夜に高速に出て働くトラックの運転手などの相手をした。私がチャットルームにいるのは朝と昼のみだから、やってくる人達の職種はそれくらいに限られているように思われた。が、もっともそれは推測で、嘘つき放題のチャットの世界だから職業を偽られている可能性は大だ。私自身だって、そりゃもう年齢も名前も嘘だらけ、インターネット上の匿名性を思う存分利用させてもらってここにいるので生意気なことは言えないが、〝いつもは忙しいビジネスマン〟と名乗る男があまりに多いのには呆れる。
  のりひろ>突然やけど聞かせてもらう みやびが一番感じるトコってどこ!?
  みやび>あのね、あそこの、でっぱったところ。
  のりひろ>クリトリス?
  みやび>やあだ
  のりひろ>クリトリス
 ぬれた。一つHな言葉を書かれるたびに、一つHな言葉を書くたびに、下半身が熱くたぎって崩れ落ちそうになり、パンツが湿った。その会話の内容に感じるというより、自分が今やっていることの不健康さに感じてしまうのだ。昼間に他人の押人れの中で制服着たままエロチヤット。
綿矢りさ「インストール」81~82頁 河出文庫
これを書いた当時は、作者は17歳です。

17歳の現役女子高生で、かつ美少女。そんな子が「ぬれた。一つHな言葉を書かれるたびに、一つHな言葉を書くたびに、下半身が熱くたぎって崩れ落ちそうになり、パンツが湿った。」などと書いている…………。

「たった。一つHな言葉を見つけるたびに、一つHな言葉を書いている綿矢りさを想像するたびに、下半身が熱くたぎっていきり立ち、パンツを押し上げた。」

…………そこまでは、いかないな。が、ちょい、グッとくるものがあったのは事実。


それは、ともかく。
ストーリーは、なんとなく違和感・疎外感を覚える女子高生が、学校を休んで、エロチャットのアルバイトをする、というもの。

「なんとなく疎外感」というものには、はっきりとした理由はありません。強いて言えば、将来に対する漠然とした不安と期待と抱負が混ぜこぜになり、その悩みから孤独を感じ、さらには違和感・疎外感を覚えている、という感じ。
ようするに、あの世代の少年少女なら、誰もが感じる感覚です。

で、その解消としてとった手段というのは、自立。

エロチャットというアルバイトによって、主人公は、二つの「騙し」をします。一つは、学校を親に無断で休みながら、通っている振りをするという「騙し」。二つには、エロチャット内で、風俗嬢を演じる「騙し」。

まぁ誰にでも経験をあるように、大人になる過程には、多かれ少なかれ親なり世間の期待を裏切るという手段によって、親が絶えず子供に抱いてるイノセンスとは背反する行為に出て、自立を得るものです。

そんなわけで、その「騙し」がバレた時点で、物語は終了します。ようするに自他共に認められて「自立」が完成した、ということなんでしょう。


簡単にまとめますと、大人への通過儀礼を「エロチャット」という現代的なもので表現した作品となっています。

その構図を、たかだか17歳の(美)少女が巧みに描いたというのですから、スゲェーとは思いました。(かたや、こちらは30になって家出…………)
17歳という年齢をぬきにしても、文芸賞受賞はうなづけるものはあります。
充分に書店の売場に並ぶだけの価値はあるでしょう。

が、17歳という話題性がなければ、そんなには売れなかったんじゃないかなぁ~?(そして、僕も読むことはなかったような気がする)


もとから「イジメがあった」とか「周囲との壮絶なる確執があった」とか「呪われた血の宿命を背負わされていた」などなど、そういう大仰な苦悩があるわけではなく、あくまでも、なんとなーくダリィー程度の悩みですから、読後に、深い感動があるというわけにはいきませんが、まぁ、大仰でないだけに、現代の少年少女のなんとなーくな雰囲気をうまく表しているのだと思います。

そんな作品でした。


インストール

河出書房新社

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太宰治「人間失格」

2005-11-16 08:43:42 | 書評
放浪編 その四


最初は、抗議の意味で家出をしたのですが、数日間放浪しているうちに、「オレは自由だ!」と監獄を脱走した囚人のような気持ちになってきました。

もう、いっそ、本当に家族と縁を切ってしまおうか、と。

が、自由といっても、ベースキャンプがないと落ち着かないものです。(貯金は適当にあったのですが)

上野不忍の池ほとりで、ホームレスのおじさんに混じってベンチに座りながら、太宰治「人間失格」を読みつつ、「この人たちのベースキャンプは、どこなんだろう?」などと考えておりました。

すると、パーキンソン病の手の震えのおさまらないオジイサンに、宗教を勧められました。

平日の昼間から、いい年をした男が「人間失格」を読んでいるのですから、そりゃ、かっこうのターゲットだろうねぇ…………。

ともかく、病人ということで無下に断るの心が痛み(後、暇だったので)、なんとなーく、話を聞きながら、「人間失格」のことを考えていました。

 いまはもう自分は、罪人どころではなく、狂人でした。いいえ、断じて自分は狂ってなどいなかったのです。一瞬間といえども、狂った事は無いんです。けれども、ああ、狂人は、たいてい自分の事をそう言うものだそうです。つまり、この病院にいれられた者は気違い、いれられなかった者は、ノーマルという事になるようです。
 神に問う。無抵抗は罪なりや?
 堀木のあの不思議な美しい微笑に自分は泣き、判断も抵抗も忘れて自動車に乗り、そうしてここに連れて来られて、狂人という事になりました。いまに、ここから出ても、自分はやっぱり狂人、いや、癈人という刻印を額に打たれる事でしょう。
 人間、失格。
 もはや、自分は、完全に、人間で無くなりました。
太宰治「人間失格」132頁 新潮文庫

「オレは駄目人間だから、女にもてない。太宰は人間失格だが、女にもてる。この差は、なんだ?」
などと、ホームレスのおっさんたちに紛れ込み、かつては特攻隊を志願し、今では難病の苦しみを和らげるために信仰を道を選んだオジイサンの話を聞きながら、バカなことを考えている三十歳の家出人にも、秋の太陽は誰彼を隔てることなく優しい光を差し出してくれていました。(オワリ)


人間失格

新潮社

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