すんけい ぶろぐ

雑感や書評など

山田洋次「隠し剣 鬼の爪」

2006-12-31 20:19:31 | 映画評
今年も終わりだな


「隠し剣 鬼の爪」を見ました。


うーむ。

当然のことながら、先日見た「武士の一分」に感動しての、選択でした。

が、もう少し、時間を置くべきだったか?

だって、プロットが同じだもの…………。


まぁ面白いことは面白かったよ。

でも、「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」「武士の一分」と、プロットが同じ何だもの。

○ あまりウダツの上がらない武士が主人公。
○ 彼には、想い人がいる(「武士の一分」では、既に奥さんでしたが)。
○ ひょんなことで、その想い人と別れることになる。
○ 家中のゴタゴタに巻き込まれて、剣での決闘をしなくてはいけなくなる。
○ 人様からは普段は侮られているが、実は主人公は剣の達人。
○ 決闘の相手も達人ではあるが、どうにかこうにか、主人公は勝利する。
○ それで出世することはないが、別れた想い人は主人公に戻ってくる。

…………で、ハッピーエンドですわ。


パターン化し過ぎだよ。

まぁ、この「寅さん」的なパターンが心地よいのも事実だが。


ちょっと面白かったのは、「銃」と「刀」の対立。

「銃」が、
「新時代」「効率」「無情」
を暗に象徴しているのに対して、
「刀」は、
「旧時代」「愚鈍」「有情」
を示していること。

未見の方は、そこんとこを気をつけると、より深く作品を楽しめるのでは?


隠し剣 鬼の爪

松竹

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業田良家「自虐の詩 (下)」

2006-12-29 19:22:05 | 書評
寸評


「自虐の詩 (下)」を読了。

帯には「日本一泣ける文庫」となっていますが、そこまでは、いかないかな。

それでも、過去と現在を行き来しつつ、最後の大団円には、まぁ感動はしました。
それまでの悲惨な人生が、すべて肯定されるという、それなりに、ありがちなオチなんだけどね。


自虐の詩 (下)

竹書房

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セガ「不思議のダンジョン 風来のシレンDS」

2006-12-25 19:36:37 | その他の評価
64のシレンを移植希望


あまりにも「ドラゴンクエスト モンスターズ モバイル」で不毛な時間を過ごしてしまったので(真面目にやると、けっこう時間を食うゲームだった)、「今度こそは!」と「風来のシレン DS」を購入。

先に結論を言ってしまうと…………、面白くなかった。


勘違いされると困るのは、「つまらなかった」ではないです。「面白くなかった」です。


僕の不思議のダンジョンシリーズは、途中参加なんですよ。
確かトルネコの2あたり。

で、今回のDS版は、SFCの最初の作品の移植。
それも、今風に遊びやすくはしているようですが、基本的なシステムは同じ。


と言うわけで、どうにも、以降のシリーズで体を慣らされてしまった身としては、初期のシステムは、馴染めませんでした。

「ドラクエ3をクリアーして、ドラクエ1をやる」みたいな感じでしょうか?

「ドラクエ1」を体験済みの人間なら、
「なつかしぃ~」
と楽しめるのでしょうが…………。「ドラクエ3」と同じシステムを「ドラクエ1」に望むのは、やはり無理がありまして。

「なんじゃ、このカニ歩き?」
という感じです。


まぁ、これを発売当時に買っていたら、
「うぉー、なんだ、この斬新なシステム!」
とサルのようにやったのかもしれませんが。


ともかく、僕の中の不思議のダンジョンシリーズというのは、
1.「いつでも帰れるように、巻物を持っておく」
2.「危なくなったら、直ぐに帰る」
3.「まだまだ安全でも、剣・盾が強くなったら、一度帰宅」
4.「上のように慎重にプレイしても、結局、死んで、アイテム没収」
が楽しい。

しかし、このDSのシレンは、あまりアイテムを持ち帰ることは考えられていないらしく(不可能ではないですが、あまり簡単ではない)、
「一発勝負」
が売りのようです。

でありながらも、上のダンジョンに進むには、下位のダンジョンを行ったり来たりして、アイテム集め & レベルアップをしておかなくてはいけない。

どうも、その過程が、作業臭くてね。


まぁゲームなんて、結局、「作業」なんだろうけど。
しかし、今の「作業」を「作業」と感じさせないように、小まめな配慮の散りばめられて最近のシレンに比べて、このDSでは、やはり古すぎる…………。

今、これを移植する必要があったのだろうか? と疑問に感じないでもないです。


不思議のダンジョン 風来のシレンDS

セガ

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吾妻ひでお「アズマニア (1)」

2006-12-21 22:46:45 | 書評
山本直樹の初期のエロ漫画を思い出した


吾妻ひでお「あずまにあ(1)」を読了。

うーむ………。


吾妻ひでおの作品の感想は、以下をご覧下さい。
吾妻ひでお「失踪日記」
吾妻ひでお「うつうつひでお日記」


はっきり言いますと、つまらなかったです。


もう、完璧、ご都合主義。

しかも、タチが悪いのは、その「ご都合主義」を作者自身がギャグにしているところ。

つまり、確信犯なんだよね。


まぁ、今から20年も前に、こういうシュールな世界を構築していたのは、評価に値するのだろうけど。
ただ、「今」の漫画として見るのは、ツライ作品でした。


アズマニア (1)

早川書房

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スクウェア・エニックス「ドラゴンクエスト モンスターズ モバイル」

2006-12-20 21:27:51 | その他の評価
携帯のバッテリーが、すぐ無くなる


けっこう長い間をかけて、「ドラゴンクエスト モンスターズ モバイル」(公式サイト)をしていました(半年くらい?)。


結論。
つまらない。

以上。





まぁ一応理由も書きます。

とにかく、ゲームが平板です。

ゲームの流れは、三つ。「ダンジョンでの宝探し」「モンスターを一人旅に出す」「闘技場での戦い」。

「ダンジョンでの宝探し」
→これが、キモ。三匹のモンスターを連れてのダンジョンでの宝探しですが、いくつもダンジョンがあるとは言え、全部が基本的な構造は同じ。ただ単に、登場する敵の強さと手に入るアイテムが違うだけ。
だから、飽きる。でも、これをしないと、強力なアイテムが手に入らない。

つまりは面白くない!


「モンスターを一人旅に出す」
→これは、自分ですることはありません。手持ちのモンスターを、そのレベルに合わせて目的を選ぶというもの。
一人旅によって、場所やダンジョンを発見し、世界が広がっていきます。だが、この「発見」がランダム要素強し。見つからないダンジョンや新しい地域は、むごいくらい見つからない。

つまりは面白くない!


「闘技場での戦い」
→とにかく、モンスターがなかなか強くなってくれないので、いつも同じレベルのモンスターとの戦いになってしまう。

つまりは面白くない!


こんな感じ。
とにかく、時間をかけても、ゲームが進まないのが、最大の難点。
しかも、ちょっとしたことで、直ぐに「通信」が始まる。


こりゃ、ダメだ。


他、携帯ゲームの感想。
光栄「Mobile三国志II」
光栄「Mobile太閤立志伝」
堀井雄二「ドラゴンクエストII」
堀井雄二「ドラゴンクエストI」


ドラクエ8の感想。
堀井雄二「ドラゴンクエストVIII」

業田良家「自虐の詩 (上)」

2006-12-19 19:05:17 | 書評
人生に負けてしまいそうです


業田良家「自虐の詩 (上)」を読了。


だめ男とだめ女の、だめ人生を描いた作品です。

でありながら、あんまり悲惨ではありません。

四コマで、絵柄が非リアルだからでしょうか?


「面白い?」と聞かれると、なかなか「うん、面白い!」と断言しにくい作品です。

けっこうワンパターンなオチの続く四コマです。

ですんで、その「世界」が気に入れば、面白くなるんでしょうけどね。


自虐の詩 (上)

竹書房

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クリント・イーストウッド「硫黄島からの手紙」

2006-12-18 19:46:33 | 映画評
二宮和也が、これで天狗になりませんように


「硫黄島からの手紙」を見てきました。(ちなみに、前回のクリント・イーストウッド「父親たちの星条旗」の感想)(公式サイト)

うむ、面白かった。
「父親たちの星条旗」よりも面白かった。

映画のデキが優れているというよりは、見る人間の立場の違いか?

やっぱり自分は日本人なんだなぁ…………と再確認させられました。


しかし、「やっぱり自分は日本人なんだなぁ」と思わせるくらい、自然な「日本映画」となっています。

監督のクリント・イーストウッドが本作を「日本映画」と言っているのも、うなずけます。
ストーリーにしろ、人物造形にしろ、画面にしろ、台詞回しにしろ、ちゃんと「日本」になっています。

「天皇陛下万歳」
と、兵士たちに、ちゃんと叫ばせているところなんか、むしろ「日本映画」よりも「日本映画」かもしれません(日本人がつくると、菊のタブーで、微妙になっちゃうからね)。


いやー、外人がここまでちゃんとした日本映画をつくれるなんて…………。
ハリウッドは恐ろしいね。(二宮和也なんかの演技指導やセリフの指導は、どうやったんだ?)


ストーリーも秀逸でした。
栗林中将を優秀な軍人として描きながらも、「英雄」にしない点に、「父親たちの星条旗」に続いて、「戦争と個人」の関係を、地味でありながらもしっかりと主張していました。


監督の上手なところは、この「太平洋戦争」の発端と終結を、わざと映画から抜き落としたところでしょうね。

もし、その点に触れると「軍国主義に走った日本が悪い!」「アメリカの包囲網によって、日本は開戦せざる得ない立場に追い込まれたんだ!」とか、「太平洋戦争に負けたことで日本は民主国家となり、世界第二位の経済大国となることができたんじゃないか!」「太平洋戦争の勝利がアメリカを傲慢にさせ、ベトナム戦争やイラク戦争といった不義の戦争をする
国にしてしまった!」てな非難批判が、轟々だったでしょう。
が、その点に触れないことで、ただ「戦争」に巻きこまれる「個人」の悲劇を、二作を通じて描ききっております。

日本人にもこれくらいの戦争映画がつくれたらなぁ…………。

予算じゃないと思うぞ?


硫黄島からの手紙 (監督 クリント・イーストウッド、出演 渡辺謙、二宮和也)



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山田洋次「武士の一分」

2006-12-17 19:33:45 | 映画評
キムタクは、今が最盛期だなぁ


山田洋次「武士の一分」を見てきました。(公式サイト)

寸評。
面白かったです。


ストーリーは、ちょっと古臭いです。
「一方的に離縁されながら、一生付き添おうとする妻」なんて構図は、ちょっと前なら「封建的」と非難されそうだが。

まぁ、それはソレ。

盲目となり世間の厄介者となった男に冷たく当たる世間。
それに対して、身を売ってでも、そんな男を守ろうとする妻。
一度は妻の所業に怒りながらも、その妻の仇を返すために、寝取った男に挑む夫。

王道と言えば王道ですが、あまり大げさな絵や音楽を使うことなく、物語はしっかりと進んでいきます。


オチは読めながらも、盲目なって挑む決行のシーンは、派手なCGや特撮がなくても、緊迫感のある画。
その後に訪れる大団円も、「やっぱりなぁ~」と思いながらも、…………期待を外さない面白さでした。

邦画は、無理にハリウッドに勝とうとしないで、こういうので勝負をかけて欲しい…………。


武士の一分(いちぶん)



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リービ英雄「星条旗の聞こえない部屋」

2006-12-10 20:46:15 | 書評
文学史的には嬉しい珍事なのだろうが、オレ的には、どうでもよろしい


(かなり)昔から気になっていたリービ英雄「星条旗の聞こえない部屋」を読了。

米国人が日本語で書いた小説です。書かれたのは、今から二十年前くらい。


内容は、国籍的にはアメリカに所属する白人が、自分の居場所を見つけるべく、日本の街を放浪する、というもの。

つまりは自分はアメリカから疎外されている。で、日本という場所に親近感を持っている。が、日本は、白人を受け入れようとはしない。その寂寥感。


小説の文体は、日本人が書いたような達筆な日本語です。
それよりも驚くのは、内容が、見事な私小説。

あの個人的な悩みを、日常の一断片から浮かび上がらせる、という形態。


なにが見事って、私小説にありがちな、全体を覆う気だるい退屈さが、しっかりと表現(?)されていること。

この小説を読んでいると、ちゃんと「なぜ金を払ってまで、他人の個人的な悩みを読まされなければいけないんだ?」という疑問が、ひしひしと感じることができます。


かつて、イタロ・カルヴィーノの「冬の夜ひとりの旅人が」で、日本小説のパロディーが書いてあって、
「けっこう頑張っているな」
というレベルだったが、「星条旗の聞こえない部屋」は、もう完全に日本の小説になってしまっている。

それは、「著者が日本語で書いている」というレベルではなくね。


そんなわけで、好きな人は好きな小説なんだろうけど。


星条旗の聞こえない部屋

講談社

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マーティン・キャンベル「カジノ・ロワイヤル」

2006-12-09 00:13:15 | 映画評
ボンドガールは、相も変わらずメスを入れないでつくれるのか疑問に思ってしまう体だった


007の最新作「カジノ・ロワイヤル」を見てきました。(goo映画公式サイト)

面白かったです。

まじめーに、つくっています。
ピアース・ブロスナンと違って、新ボンドのダニエル・クレイグからして、真面目。
ほとんど笑わない。ボンドジョークがない。方々でエッチをしない…………等々。

アクションも、肉弾戦です。
みょうちくりんなスパイアイテムで危機を乗り切ることもなく。

それだけ聞くと「けっこう地味?」と思われますが、アクションシーンが凝っているので、飽きずに楽しめました。

中盤のポーカーの対決も、単なるカード遊びなのに、魅せてくれます。

無理な設定で、「巨大メディア王」や「白人に整形した北朝鮮指導者の息子」という敵をつくらないで、今回の悪役は「テロリストを相手にした投資家」。

しかも、投資に失敗したことでテロリスト集団に狙われているという、ちょっとナサケナイ設定になっています。

それだけに、二時間の枠に無難に収まる、無理のないストーリーでした。


でも、続編は難しいかも。
と言うのも、新ボンドのダニエル・クレイグに華がないんだよな。

ピアース・ブロスナンは、バカボンドの華があったのだが。


他の007の他の感想。
マーティン・キャンベル「007/ゴールデンアイ」