すんけい ぶろぐ

雑感や書評など

しりあがり寿「弥次喜多 in DEEP 廉価版 4」

2005-06-11 08:41:57 | 書評
さかな、さかな、さかなー さかなーをー食べーるとー


「生」と「死」。
「夢」と「リアル」。
「神」と「悪魔」。
「人」と「獣」。
「善」と「悪」。
「自分」と「他人」。
「親」と「子」。
「秩序」と「混沌」。
「有限」と「無限」。


「弥次喜多 in DEEP 廉価版 4」。

う~ん。つまりは、お伊勢さんへの道というのは、秩序への希求なのだろうか?
「弥次喜多 in DEEP 廉価版 3」でも登場した、弥次さん喜多さんの道中を邪魔しようとしていた老人が、こんなことを言っております。
ボクたち「偉大なる自然」保護協会は
自然の本来の姿は混沌だとか言っちゃって
あらゆる秩序に反対してたよね
しりあがり寿「弥次喜多 in DEEP 廉価版 4」117頁 エンターブレイン
つまり、この世界を混沌のままにしておくために、弥次さん喜多さんをお伊勢さんに着かないように、彼らは画策するわけです。

で、ありながら、最終的に、お伊勢さんにたどり着く(秩序を得る)ことが大団円というわけではない。それは、この漫画の最後の言葉から分かります。

あるといやあ
ある……

ないといやあ……
ない

だけど そんなことで 悩んだって
しかたがねえ

あると思うんなら
あると思うしかねえ

わけのわかんねえ道中に

たったひとりで
ほおりだされて

なにが正しいのか
なにがホントなのか
さっぱりわからりゃ しねえ……

…なあ…

そりゃあ不安だろうよ

だけどな
その不安をな
ぐっと こらえてな

ボウズが そこに「ある」と思ったらな

その ちっちゃな 足を…

そう
ぐっと…

そうやって前に
出していくしか
ねえんだよ

そうやって…

ぐっと…
しりあがり寿「弥次喜多 in DEEP 廉価版 4」270~275頁 エンターブレイン

平たく言えば、「生きようとする意志が美しい」ということなのでしょうか?

………なんか違う気がする。


狂気一歩手前の、秀作にして怪作。
久しぶりに、脳みそをかき乱されて、頭がおかしくなってしまうような感覚を味わいました。


弥次喜多 in DEEP 廉価版 4

エンターブレイン

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