すんけい ぶろぐ

雑感や書評など

アガサ・クリスティー「そして誰もいなくなった」

2006-08-22 21:17:04 | 書評
元祖「金田一少年の事件簿」


ミステリーでも読むか。

ということで、アガサ・クリスティー「そして誰もいなくなった」。

まぁつまらなくても、古典的作品だから、そういう意味でタメになるだろう、という消極的な選択。


しかし、こいつ。
巻頭にクリスティー財団の理事長とかが作品を解説しているのだが、これが、けっこうストーリーの核心をついていたりするんですよ。

「おいおい。これから、なんの前情報なしで読もうとする読者に対して………」


冒頭から、かなりへこまされましたが、全体としては、スッキリとまとまっていて、楽しめました。

「シムラ、後ろ、後ろ」
と同じで、
「おいおい、どうしてみんなは、一箇所に集まって、事件を防ごうとしない?」
と思うことも多々ありましたが、…………まぁ、これはお約束で仕方なし。

彼女はそれに気がつかなかった。ヴェラは自動人形のように前へ進んだ。
アガサ・クリスティー「そして誰もいなくなった」330頁 早川書房
まぁ他にもチョイチョイ無理があるトリックもありますが。


そして誰もいなくなった

早川書房

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ロブ・マーシャル「SAYURI」

2006-08-19 20:18:44 | 映画評
登場人物たちが、流暢に英語を話しているのが、スゲェー笑える


今さらながら「SAYURI」を見ました。

「なんつーか、ちょっとアレな映画」
という評価が一般的なようでしたが、…………僕の感想としては、思ったより面白かったです。

なにが面白いって、「なんとなく日本」という映画全体の雰囲気。

日本文化に対する敬意は感じられないですが、一方で悪意もないです。

単に「「ラスト・サムライ」も当たったし、他にも日本文化をあつかってみるか。そしたら日本人からガッポガッポもうかるぞ。そんでもって、異国情緒があれば、アメリカ人も喜ぶだろう」という安直が姿勢が垣間見えて、素敵です。


後、「分かり易い女のドロドロした世界」が、意外に楽しめました。
最後にハッピーエンドを迎える、ご都合主義も。


しかしチャン・ツィイーを採用したのは、未だに謎。

中国大陸では、上映が禁止にされちまうし。

「レイプ・オブ・ナンキン」に出演するのは、これの埋め合わせか?


goo映画 「SAYURI」
公式サイト


SAYURI

ポニーキャニオン

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富野由悠季「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」

2006-08-12 22:15:08 | 映画評
富野由悠季の映画は、全部足早だ


「ブライト艦長の声優鈴置洋孝さん死去」というニュースを受けて………というわけではなく(しかし、56歳は惜しい)、なんとなく「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」を見直しました。

最初に見たときは「えらく早足だな」と思ったものです。

その後、二~三回は見ていると思いますが、毎回、過去とは違う感想が持てます。

今回思った事は、二人の主人公の立場。


つまりは、
  アムロ=「体制内改革派」
  シャア=「反体制革命派」
という構図。

現実においても、「体制内改革派」は常に「妥協」「風見鶏」「無力」「中途半端」という批判があり、それはアムロにも当てはまること。

シャアにも、「その力を無駄に消耗していると、何故気が付かん。」と言われる始末。


一方。


「反体制革命派」というものは、「過激化」「悪しき理想主義」「横車」「弊害を鑑みない」という批判が付きまとうもの。

アムロは、その過剰なシャアの理想主義について、
「革命の後では気高い革命の心だって、官僚主義と大衆に飲み込まれていく」
と皮肉って(?)おります。


一応(大衆向けの)物語ですから、「優しさ」が世界を救う、というオチにはなっておりますが、……………さてね。


機動戦士ガンダム 逆襲のシャア

バンダイビジュアル

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スティーブン・ギャガン「シリアナ」

2006-08-12 00:08:37 | 映画評
「自分のを見ればいいじゃん!」とか言うと、オヤジギャグ決定


「シリアナ」を、見てもいいかなぁ~と思っている間に上映が終わってました。

で、
「じゃ、「トラフィック」を見ていないし、見てみるか」
と、見てみると、実は未見ではなく、既に見ておりました。

あぁ年ととった。ストーリーを忘れるならともかく、見たこと自体を忘れるなんて。

しかも、見た感想は「面白い」だったのに…………。

で、二度目の「トラフィック」も、徐々にストーリーを思い出したにも関わらず、面白かったです。


そんな訳で、いやがうえにも「シリアナ」の期待が高まったのですが。
正直、難しかった。

「トラフィック」は文字通り、「交通」「往来」というだけあって、登場人物たちが錯綜するんですよ。

「シリアナ」も、基本的には「トラフィック」と同じで群像劇。

その幾人かの登場人物たちが、全く関係がないようで、徐々に一本のストーリーに収束されていく………という展開。

しかし、「シリアナ」は、背景でつながっていても、実際に交わらないことが多くて、登場人物たちが、自分たちの事件を独立で展開していきます。

このため、ストーリーが複雑でね。

俺はダメだった。


でも、アメリカ産の映画でありながらも、アメリカ政府の否定という主題は、あっぱれ。

まぁ逆に考えると、世界市場を相手にしているから「アメリカ政府の否定」というものが、モチーフを扱えるのかもね。


シリアナ 公式サイト
シリアナ goo映画


シリアナ 特別版

ワーナー・ホーム・ビデオ

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シリアナ

ワーナー・ホーム・ビデオ

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ゆうきまさみ「鉄腕バーディー (13)」

2006-08-11 04:19:44 | 書評
まんず、オーソドックな展開


「鉄腕バーディー (13)」。

まぁ特に深い感想などはなく。
適度に面白く読ませてもらいました。

化け物だけど、友達だ!!
俺、あいつに いっぱい借りが あるんだよ!
ゆうきまさみ「鉄腕バーディー (13)」170頁 小学館

まんず、お約束な展開ですわな。


自分の愛するロボットを破壊されて、暴走するところなんかは、ちょっとエヴァ臭かったね。

感想としては、それくらい(手抜き)。


前の感想。
ゆうきまさみ「鉄腕バーディー (11)」帯の推薦文がよしもとばななとは、こりゃまた意外だなぁ
ゆうきまさみ「鉄腕バーディー (12)」「土曜ワイド殺人事件」はくだらなくて、人から借りて読んだのだが、なんとなく、また読みたくなったな


鉄腕バーディー 13 (13)

小学館

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東野圭吾「あの頃ぼくらはアホでした」

2006-08-10 00:14:36 | 書評
巻末の対談は金子修介だ。…………怪獣映画は、いいのだろうけど。


あんま本を読んでない。
酒のんでばかり。

東野圭吾も、最近名が売れているので気になることは気になるのだが。

なんか面倒で読む気がしない。

で、肩肘張らずに読めるだろうと、「あの頃ぼくらはアホでした」を読みました。

予想通りのかるーく読める作品でした。


こんなところが印象に残ったり。
友人たちも続々と就職先を決めていったが、中には何度も落ちてくる者もいた。意外なことだが、そういう連中は成績優秀である場合が多かった。どうやら自信があるだけに、面接でも自分の主義を曲げることができないらしい。「どんな仕事でもやります」の一言がいえないでいるのだ。プライドのない学生ほど就職しやすいというのも、なんだが妙な話だと思った。
東野圭吾「あの頃ぼくらはアホでした」288頁 集英社



あの頃ぼくらはアホでした

集英社

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