すんけい ぶろぐ

雑感や書評など

吉野真由美「商品がなくても売れる魔法のセールストーク」

2007-02-24 19:12:40 | 書評
著者は何歳だ? なぜ本のプロフィールの欄には、生年を載せない?


吉野真由美「商品がなくても売れる魔法のセールストーク」読了。

自分で言うのもなんだが、「なんだかなぁ~」(阿藤快風)な本を読みました。

アマゾンの商品説明は、こんな感じ。
「実物を見せてプレゼンするより、会わずに電話だけで5倍も売った。試行錯誤の果てについに完成させた、本当に成功したトークの秘密。」
「実物を見せてプレゼンするより、合わずに電話だけで5倍も売った! 電話だけで1億5千万円を売り上げた驚異のスクリプト(台本)を初公開! 電話だけで売るセールスの成功の方法と秘訣を教えます。」


つまりは、電話営業のコツを伝授している本です。

しかし、商品がなくて売れたことを自慢しているというのは……………。

普通の商売から考えれば、こういう行為は、「詐欺」なんだろうけど(「犯罪」ではなくて、「倫理」でね)。


これが「高度資本主義社会」だ! ということなんでしょうか?


売り切り、かつ逃げ切れるものであれば、この本を参考にするのも、よろしいかと。

ただ、メンテナンス云々で、お客様と細く長く(太く長くでも構いませんが)接していくことが必要な営業さんには、イミがないかな。
いや、イミがないどころか、毒だな。


商品がなくても売れる魔法のセールストーク

ダイヤモンド社

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新海誠「秒速5センチメートル」

2007-02-16 21:29:19 | 映画評
すげぇー個人的美意識で統一された映像。キレェー


ヤフーでプレミアム会員・BB会員限定で無料公開されているので、新海誠「秒速5センチメートル」を見ました。

なんつぅーか、恥ずかしい。

こんなに純情な世界をつくって、この人は大人として恥ずかしくないのか?

と言いたい…………。


厳しい批評だが、
「作画(超)一流、物語(ある意味)三流」
という感じ。

三十分間、延々とある種のオナニー的とも言える自己満足のストーリーと、それに照応した映像を見せられます。

押井守が「まわりの人間から何も吸収しなくなってしまう」と言ったのは、ある意味で的を得ているかと。


とは言うものの、いろんな意見を統合した結果、どっちつかずの映画が出来上がった例を沢山見せられているのも事実。


結局、これは「新海誠」という一個人の作品。

後は、その「一個人」を受け入れられるかどうか、それが問題なわけだ。


つまりは、これは芸術作品なんだよね。
娯楽作品と思ってはいけない。

いい意味でも、悪い意味でも。

幸村誠「ヴィンランド・サガ (1)」

2007-02-05 22:21:37 | 書評
本物の力を感じる


いい年をしていながら、週刊少年マガジンを愛読しております。

そこで連載されていた幸村誠「ヴィンランド・サガ」。

「プラネテス」は大好きな作品なので、こりゃ、「期待大!」と思っていましたが、いざ連載が始まると…………、
「画面の情報量が多くて、なんかツライ」
という理由で、読み飛ばすことに。

で、その後は「もうしませんから」で描かれていたように、その余りの描きこみが祟って、週刊連載から撤退となってしまいました。


そのまんま、しばらく「ヴィンランド・サガ」は放っておきました。

たまたま、暇があって、読むものがなくて、本屋にいて、
「そういえば、「ヴィンランド・サガ」が単行本になっている。ちょっと読んでみるか…………」
と手にすると…………、メチャメチャ面白い。

週刊連載で細切れで読むのはツライものがあるが、こうしてある程度まとめて読むと、面白い。


幸村誠は、本物だなぁ…………。


登場人物の思考が、現代人的な発想になっている点が、気になるところではありますが…………。

にしても、面白いです。


ヴィンランド・サガ 1 (1)

講談社

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古谷実「わにとかげぎす (2)」

2007-02-03 18:52:46 | 書評
うーん、普通


「わにとかげぎす (2)」を読みました。

なんでもない日常から、非日常(犯罪)にはまりこんでいく主人公…………って、これ、「シガテラ」「ヒミズ」と同じパターン。


まぁ面白いことは面白いけど。

ただ、衝撃はない。


現実を直視できない、悪意の塊のような悪役の登場も…………ワンパターンだな。

まぁ面白いことは面白いけど。


前の感想。
古谷実「わにとかげぎす (1)」

他、古谷実の感想。
古谷実「シガテラ (4)」
古谷実「シガテラ (5)」
古谷実「シガテラ (6)」


わにとかげぎす 2 (2)

講談社

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宝島社「日本の右翼と左翼」

2007-02-02 22:50:26 | 書評
君は時の涙を見る


浅羽通明「右翼と左翼」を読んだながれで、「日本の右翼と左翼」を読みました。


こりゃ、つまらん。

まぁ真面目に読みたいわけじゃなくて、ちょっと電車での暇つぶしに買った本だけどね。
それにしても、つまらんかった。


内容は、明治以降の日本の右翼・左翼の代表的な人物について語っている本です。

が、右翼・左翼ともに、そちら側の人間が書いているため、どうも批判精神に欠けていて…………、「贔屓の引き倒し」になっています。


特に(僕が左右のどちらと言われれば、左側ということもあるが)右の解説がムゴイ。

結局体制に飲みこまれていった日本の右翼について、
「戦後もこんなにも影響力があったんだよ! エッヘン!」
とエラソーに書いてはいるものの…………、つまるところは、金に目がくらんで、自民党に協力したんだろ?

著者は、まるで、自民党を飲みこんでいたかのように書いてはいるものの…………。


白眉は冒頭の鈴木邦男による「なぜ日本は右傾化するのか?」です。
右側の立場の人間が、最近の右傾化を胡散臭く思っていることを、堂々と発言しています。


そう、本来、右翼であろうと、左翼であろうと、どちらも公平に体制側にとっては、邪魔なものなのです。

が、日本の右翼は、すっかり体制側だったからね。

そして、今の右傾化した世論も、勝ち馬に乗ろうとする浅薄さを感じざる得ないのは、新右翼という立場で絶えず体制に煙たがられた人間としては当然なんだろうなぁ。


後、概説書のくせに、「みんな知っているでしょ?」と言わんばかりに事件の名前が解説もなくピョンピョン飛び出すのも、不親切でした。


日本の右翼と左翼―テロ、クーデター、暴力革命、内ゲバ …その“思想”と“行動”のすべて!!

宝島社

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