博多住吉通信(旧六本松通信)

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2008年05月27日 | 宇宙開発・天文
(昨日の続き)
 しかしそんなソ連にもアメリカよりも手強い敵がいました。イギリスのジョドレルバンク電波天文台です。ジョドレルバンク電波天文台は1957年、直径76mの電波望遠鏡を建設しアメリカとソ連の宇宙探査機の追跡を開始しました。その能力は恐ろしく高かったのです。当時のソ連は徹底した秘密主義で、宇宙探査機を打ち上げてもミッションが成功するまでははっきりした目的を公開しませんでした。ところがジョドレルバンク電波天文台の追跡・受信・解析能力はおそろしく高く、宇宙探査機のスピードや軌道から、ソ連の大体の目的を割り出せたそうです。
 「ジョドレルバンク電波天文台の挑戦」http://www.geocities.co.jp/Technopolis/5714/luna.htmlに詳しいエピソードがのっています。ソ連が世界初の無人月面軟着陸に成功したルナ9号ではソ連より18時間も早く解析し月面写真を世界に発表しています。ともかくソ連が正式に発表するよりも早く、ソ連探査機の目的や成果を発表してしまうのです。
 先日のルナ15号についても、ソ連がはっきりしたことを発表しないうちに、ルナ15号の軌道や速度の解析結果から目的が月面着陸と資料採取にあることを見破っていたそうです。
 ソ連はジョドレルバンク電波天文台にどうしても勝てないので、途中から遂に頭を下げて追跡の依頼をするようになりました。どう考えても、その方が英ソ両国にとって科学的な利益が大きいからです。
 宇宙探査機の追跡は大変な労力がかかります。打ち上げ国から見て地球の裏側にも追跡ステーションが必要です。グローバルなネットワークが無いと出来ないのです。ジョドレルバンク天文台のような超優秀な施設は味方に付けたほうが良いのです。そのかわり一切のごまかしや嘘は通用しなくなりますが。
 世界に軍事基地を展開しているアメリカでも同じで、アポロ計画ではオーストラリアのパークス天文台に追跡を依頼しています(このエピソードは「月のひつじ」という邦題で映画化されました)。他人に追跡を依頼した訳で、アポロ宇宙船が地球軌道から月軌道に移動し、地球に帰還するまでを正確に他人にトレースされた訳です。この時点でごまかしは通用しないですね。オーストラリアの天文学者がアメリカの「陰謀」に付き合う理由は無いですからね。 
 写真は当時の所長のバーナード・ラベル氏の名前を記念に付けた最新の電波望遠鏡です。ラベル氏のあだ名は「聞き耳のラベル」だったそうです。ジョドレルバンク電波天文台が所属するマンチェスター大学のサイトから引用させていただきました。

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