博多住吉通信(旧六本松通信)

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マッカーシー旋風

2015年02月09日 | 時事

 今日2月9日は65年前のこの日、米国で「マッカーシー旋風」が始まった日です。マッカーシー上院議員が1950年2月9日にウェストヴァージニア州での女性クラブでの講演で、自分は国務省にいる共産主義者のリストを持っていると述べ、「国務省に所属し今もなお勤務し政策を形成している250人の共産党党員のリストをここに持っている」と発言、その後マッカーシー上院議員は精力的に赤狩りを開始します。その告発対象は国務省だけでなく、ハリウッドの映画人、研究者、米軍関係者にも及んでいきます。この結果、俳優のチャップリンなどは、米国を事実上追放されスイスに移住することになりました。マッカーシーは様々な偽証や事実の歪曲や、でっち上げを行ったとされています。この動きは4年間にわたって疫病のように全米に及びました。しかしグレゴリー・ペックやヘンリー・フォンダ、ベニー・グッドマンやフランク・シナトラといった有名人やエドワード・マローなどジャーナリストらの反撃を受け、やがて1954年12月にマッカーシーは上院で譴責決議を受け失脚します。この出来事は今日では「民主主義の国」アメリカ合衆国の歴史の汚点になっています。皮肉にもマッカーシーの所業は、彼が敵視したソ連のスターリンの行った大粛清とそっくりであったことでした。この出来事はよほどアメリカ人のトラウマとなったようで、映画「追憶」、「真実の瞬間」、「グッドナイト&グッドラック」といった様々な映画の題材になっています。

 なぜ、私がこんなことを書いたかと言いますと、2月4日のロイターの報道によりますと、山谷えり子国家公安委員長は「4日の衆院予算委員会で、過激組織「イスラム国」が後藤健二さんらを殺害したとみられる事件に関し、「(イスラム国)関係者と連絡を取っていると称する者や、インターネット上で支持を表明する者が国内に所在している」と述べ、警察庁で関連情報の収集・分析を進めていることを明らかにした」とのことです。

ソースです ⇒  http://jp.reuters.com/article/jp_islamicst/idJPKBN0L800S20150204#1

 山谷公安委員長の言う、「イスラム国協力者」とは、具体的にはどんな人たちのことでしょうか?イスラム教徒自体が少数派の日本で、そんな協力者が大勢いるとはちょっと想像できません。発言の文脈からすると「イスラム国」のテロ工作員が日本に浸透してくるかもしれないという懸念とも違うように思えます(元々支持者が日本に大勢いるという風に読めます)。この報道内容からは詳細が分かりません。もしかして日本人人質事件での日本政府の対応を批判している人々のことを指しているのでしょうか。そうだとすると政府は日本版「マッカーシー旋風」を起こすことを考えているのでしょうか。山谷公安委員長には発言の真意をお尋ねしたいところです。

 写真はマッカーシー旋風の実態を記録した『マッカーシズム』(R.Hロービア著 岩波書店1984年)です。


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