
(昨日の続き)
九州電力は、この4月1日から再エネ出力制御のルールを「交替制御」から「一律制御」に変更し、より規制が強化されることになりました(注1)。太陽光の発電量が九電管内の需要を上回る場合は自動的に太陽光発電所からの送電が停止されます。停止中も太陽電池パネルはせっせと発電を行いますので、その分は廃熱になって無駄に廃棄されることになります。全くもってもったいないことです。その電力を貯めておいて需要が増えた時に供給できれば万々歳ですが、それがなかなか難しいのです。電力の貯蔵(蓄電)方法としては先ず電池があります。しかしこれはかなり値段が高いのです。例えばパナソニックのリチウムイオン蓄電システムは4人家族程度の世帯の電力2~3日分を蓄電できますが本体価格が126万円もします。これが大規模になったらとんでもない価格になるでしょう。
大規模蓄電システムとしては揚水発電があります。これが現状では唯一の実用化された大規模蓄電システムです。余剰電力が発生すると、その電力でポンプを動かして山の上の貯水池に水を汲み上げて、電力が不足するとその水を山の下に落下させて発電を行います(上の図が揚水発電の概念図です 注2)。水力発電の応用ですが、設置できる適地が限定されていることがネックです。余剰電力変動問題が再エネのアキレス腱になっているのはこのためです。この問題を解決することができれば再エネの信頼性は格段に向上するでしょう。
現在、再エネ余剰電力で水を電気分解して水素を生成し燃料電池に使用する取り組みが進んでいますが、エネルギー変換効率が低いことが課題となっています。(続く)
(注1)「九州電力の出力制御方法が2021年度から変わります」
https://blog.eco-megane.jp/
(注2)図の出所:Wikipediaより