博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

地球の熱

2011年06月02日 | 環境・エネルギー
 昨日、石川県のJR松任駅からタクシーに乗ったのですが、運転手さんが興味深いことをおっしゃっていました。曰く日本はもっとエネルギー源の地熱発電に注力すべきだとおっしゃるのです。「特に石川県はどこを掘っても温泉が出るんだから原発を止めても十分地熱で電力は確保できるはずだ」とおっしゃいます。ごもっともですねと答えました。そのうち、温泉地でなくても深い地の底にパイプを通して(実際にはパイプでなくても地中に隙間を作って水を注入するのですが)水を地熱で加熱して蒸気にできるでしょうというので「それは高温岩体発電ですね。山形県の肘折高温岩体実験場で実用化の試験を行なっていますね」と答えました。運転手さんの熱弁は止まりません。地球内部の無限に近い熱源について力説されていました。
 実際には2010年現在で日本国内の地熱発電の発電量は53万キロワットで、福島第一原発の中型原子炉1基分にすぎません。国内総発電量の0.2%に過ぎません。国内で最も地熱発電に熱心な九州電力でも九州地方全域で生産可能な電力の総量の2%を占めるだけだそうです。
 既存の地熱発電の適地の火山地帯はほとんどが国立公園・国定公園で立地そのものが難しいという制約があります。温泉地では源泉が枯渇するのではないかという懸念や、地下からの蒸気・熱水に含まれる硫化水素やヒ素による汚染の心配があります。また大規模な地下の開発が地震や地盤沈下を誘発するという心配もなされています。
 実際には発電に使用した熱水は地下に還元したり、硫化水素から硫黄を採取し資源化したり、温泉との競合をさける解決策もあるそうです。コストも原油価格の上昇で火力と拮抗するところまで来ているということで、ある程度は有望なエネルギー資源と言えるでしょう。注意すべきは有望だからといって略奪的な資源開発はすべきではないというところでしょうか(これはどんなエネルギー資源についても言えることですが)。

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