「賢者の盲点」とは、「ストーリーとしての競争戦略」の著者でもある楠木健先生の言葉です。
「部分的には不合理であるが、全体としてみると合理的である」という意味ですが、私の知っている、今、勢いのある中小企業は、これを実践しています。
仕事によっては、特定の設備が必要な場合があります。その場合、仕事を受注するためには、それを受けることができる設備が必要です。
しかし、新たな設備投資となると、もし、その仕事が来なかったら・・・と、二の足を踏んでしまうことがほとんどです。
一方、仕事を出す側は、今、すぐにでも受けてくれるところを探しています。
そのため、仕事の打診があった際、「3か月後に仕事を開始することができます」という返事では、失注してしまいます。
ゆえに、常に、仕事を受けることができる設備を備えていることが、新たな仕事の獲得につながるのです。
ただし、仕事がない場合、この設備を他の仕事で維持するだけの力は必要です。
この企業は、それをやってのけることができるから、この部分的不合理を活かすことができるのです。
そう考えると、「賢者の盲点」の戦略を取るために、キャッシュフローが潤沢であること、これは一つの要件かもしれません。