銀行口座のマイナンバーひも付け義務化を、公正負担へ令和臨調が提言
萩原ゆき
2023年4月25日 19:38 JST ブルームバーグ
多様な働き方の報酬を把握で「応能負担原則」の強化が必要
6月の政府骨太方針への反映目指す-社会保障制度の改革
経済界や学界の有志からなる「令和国民会議(令和臨調)」は、25日公表した社会保障制度の改革を促す政府への提言で、マイナンバーで国民の報酬を把握できるようにするべきだとの見解を示した。公正な負担や給付の実現にはデータの整備と連携が欠かせないとしている。政府が6月をめどに策定を進める「経済財政運営の基本方針(骨太の方針)への反映を目指す。
令和臨調は、「現状の社会保障制度に対して人々が公正さや持続性に疑問や不安を感じている」と問題提起した上で、世代間・世代内の不公平を把握して公正な所得再分配を実現するには、マイナンバーを活用して多様な働き方の報酬を把握する必要があると指摘。社会保険において所得や資産の保有状況を反映した「応能負担原則」の強化が、財源の確保や持続可能な社会保障につながると主張した。
令和臨調の共同座長で三菱UFJ銀行特別顧問の平野信行氏は会見で、「現在のマイナンバーは用途が狭すぎる」と述べ、政府が国民の不安を解消するために利用効果を説明すべきだと強調。その上で、「資産や所得の把握に一番欠けているのは銀行口座への登録で、これは義務化すべきだ」との見解を示した。
令和臨調によるマイナンバーカード活用の提言
多様な働き方の人々の報酬を把握
税や社会保険料の徴収を効率化
低所得者の負担軽減と就労インセンティブを考慮した「給付付き税額控除」の導入
マイナンバー制度は、税金や保険、年金の効率的な管理や行政の効率化などを目的に2015年に運用を開始。政府は健康保険証機能など用途の拡充で利用拡大を促しているが、預貯金口座については給付金受け取り用途で任意の登録を勧めるにとどまっている。
デジタル庁によると、マイナンバーの活用で約2500の行政事務で添付書類の省略が可能になるなど効率化が進んでいる。一方、預貯金口座の収支状況をマイナンバーで把握する仕組みは検討されていない。