米国株の悲観論「間違っていた」-モルガンSのウィルソン氏が認める
Lu Wang
2023年7月25日 13:37 JST ブルームバーグ
悲観論を長く続け過ぎた-株高を過小評価した間違い認める
ただ、インフレ鈍化を受け米企業の収益力に慎重な姿勢を維持
昨年のS&P500種株価指数の大幅下落を受け、屈指の弱気派として知られるマイク・ウィルソン氏はウォール街で最も有名な株価予想の専門家となった。しかし、2023年に再びその役割を果たすことはできていない。
モルガン・スタンレーの米国株チーフストラテジストである同氏は24日、悲観論を長く続け過ぎたと認めた。S&P500種は回復し、昨年の下げを消すまであと少しの水準となっている。同氏はS&P500種見通しを3900に据え置いているが、同指数は現時点で4554.64と、年初来で約19%上昇している。
ウィルソン氏は顧客向けリポートで「われわれは間違っていた」と認め、「2023年はインフレ鈍化やコスト削減を背景に、予想以上にバリュエーションが上昇する状況となっている」と指摘。同氏のチームは最近、24年6月に重点を移し、S&P500種の目標を現在の水準を約8%下回る4200に設定した。
ウィルソン氏は今年の大半を、株高が反転すると警告することに費やしてきた。ハイテク株に警鐘を鳴らすとともに、3月の銀行業界の混乱は「たちの悪い」売りのクライマックスの予兆であり、それが株価が再び上昇し始める前に必要だったと主張していた。
年初から7カ月間にわたり、企業利益の減少にもかかわらずS&P500種は力強く上昇している。多くの追い風が株高を後押しした。人工知能(AI)への楽観的見方で大型ハイテク株が値上がりしたほか、インフレが鈍化し、リセッション(景気後退)の警告が時期尚早と受け止められるなど、景気の回復力も示された。
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ウィルソン氏は、今回の株高を予測できなかった大多数のウォール街の市場関係者の1人だ。このうち一部の関係者は今や目標株価の引き上げに躍起になっている。
ウィルソン氏は、株高を過小評価した自らの間違いを認めつつも、米企業の収益力には慎重な姿勢を崩していない。インフレ鈍化は米金融当局の政策がより友好的になるとの楽観的見方を後押しし、株価バリュエーションにとって有利な背景となるが、それは同時に企業の価格決定力の低下も意味する。
同氏は「われわれは23年の利益について悲観的な見方を維持している」とし、「インフレはコンセンサス予想よりも急速に鈍化しており、特に企業に影響するインフレはそうだ」と分析。今年に入り多くの企業で売り上げの伸びがプラスとなっている主な要因は価格だが、その価格決定力が低下したら大きな逆風となるとの見方を示した。
原題:‘We Were Wrong’: Morgan Stanley’s Wilson Offers Stocks Mea Culpa(抜粋)
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