日銀、23年度物価見通しを2.5%程度に大幅上方修正の公算大-関係者
伊藤純夫、藤岡徹
2023年7月24日 18:06 JST 更新日時 2023年7月24日 18:53 JST ブルームバーグ
24・25年度は小幅修正の可能性、持続・安定的2%実現は展望できず
景気の総括判断を1年ぶり引き上げへ、個人消費や設備投資など反映
日本銀行は今週の金融政策決定会合で議論する新たな消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)の見通しについて、2023年度を従来の前年比1.8%上昇から2.5%程度上昇へ大幅に上方修正する公算が大きい。事情に詳しい複数の関係者への取材で分かった。
企業による積極的な価格転嫁を背景に足元のコアCPIが3%台と日銀の想定よりも上振れていることを反映する。もっとも、海外経済や来年の賃上げの動向など先行き不確実性が大きい状況に変化はなく、24、25年度については現在の2.0%、1.6%から小幅の修正にとどまる見通しだ。
このため、持続的・安定的な2%の物価目標の実現を展望できる見通しにはならず、日銀は大規模な金融緩和政策の維持を決める可能性が大きい。複数の関係者によると、市場機能や金融仲介機能などの副作用にYCCの修正で対応する必要性も現時点で乏しいと日銀はみている。
日銀の24年度物価見通し、2%近傍となる公算大きい-関係者
一方、足元で底堅く推移している個人消費や堅調な設備投資計画などを踏まえ、1年ぶりに景気の総括判断の引き上げを検討する。現在は「既往の資源高の影響などを受けつつも、持ち直している」としているが、「回復」などに表現を強める可能性がある。政府は月例経済報告で景気について「緩やかに回復している」との判断を示している。
日銀は28日の決定会合後に、新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)を発表する。
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(政策見通しなどを追加して更新しました)
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