チャート分析では、ボリンジャーバンドの上限に接したために、一度利食い売りがありそうです。以下は記事です。
「世界の9割で景気減速」 IMFエコノミストが警鐘
貿易摩擦 経済 中国・台湾 ヨーロッパ 北米
2019/10/16 11:05
【ワシントン=河浪武史】国際通貨基金(IMF)チーフエコノミストのギータ・ゴピナート氏は15日、日本経済新聞の取材に「世界経済は90%の国・地域で景気が減速しており、貿易戦争などの地政学リスクが深刻になれば、世界景気は不況に近づく」と警鐘を鳴らした。先行きは緩やかな景気回復を見込むが「見通しは不確実で、政策面での失敗が許される余地はない」と指摘した。
IMFチーフエコノミストのギータ・ゴピナート氏
「2019年の世界の経済成長率は3.0%とみており、予測をさらに下方修正した。2.5%を切れば景気後退に突入したと言えるが、それは実際に不況に陥った国がいくつかある場合で、現時点で基本シナリオではない。ただ、貿易戦争の激化などで地政学リスクが高まり、金融面での収縮を引き起こせば、世界景気はその2.5%へと近づくだろう」
IMFは15日、世界経済見通しを5四半期連続で下方修正し、19年の成長率は金融危機直後の09年以来の10年間で最も低い水準になった。ゴピナート氏は世界の成長率が2.5%を下回れば景気後退と定義したが、足元の伸びは17年の3.8%から急速に鈍っている。
ゴピナート氏は世界景気のリスク要因に米中の貿易戦争を挙げ、20年の世界の国内総生産(GDP)が0.8%下押しされる可能性があると指摘した。米国が12月に予定する追加関税の発動を撤回しても、これまで課した制裁の影響で「世界景気には0.6%分の下押し圧力が残る」と分析する。
「20年の世界の成長率は3.4%へやや上向くと予測する。ただ、米国と中国、さらに日本といった主要国の成長率がそろって減速しそうで、見通しは不確実だ。ユーロ圏もある程度は回復すると見込むものの、ドイツのように外需依存の高い国は貿易摩擦で回復シナリオが崩れる可能性がある。世界は政策面での失敗が許される余地はなく、金融政策と財政政策のバランスが重要になる」
ゴピナート氏は世界景気を「同時減速」と表現した。米国や中国だけでなく、ドイツやフランスなど欧州の成長見通しも軒並み下方修正した。英国が欧州連合(EU)から「合意なき離脱」を余儀なくされれば、世界景気はさらに下振れが避けられない。
ゴピナート氏は米連邦準備理事会(FRB)や日銀などの金融政策は十分に役割を果たしており「主要国の金融緩和がなければ世界の成長率は19年、20年とも0.5ポイント下振れしていた」とも指摘した。ただ、先行きの緩和余地は乏しく、IMFはドイツなど一部の国の財政支出に期待をかける。
「先進国の成長率予測は19年、20年とも1.7%にとどまる。一方で新興・途上国は19年が3.9%、20年は4.6%だ。ブラジルやインド、サウジアラビアは19年の成長率が極めて弱く、中期的に回復していくとみる。中国は貿易摩擦によって、20年の成長率が6%を割り込むだろう」
世界経済の二大エンジンである米中は、貿易戦争で景気が弱含んでおり、ゴピナート氏は20年以降の回復は一部の新興国にかかっているとした。ただ、インドは内需が冷え込み、ノンバンクの経営破綻など金融面でも不安がある。ブラジルも政策金利を過去最低に下げたものの、輸出や投資の低迷が続く。世界景気はけん引役を見失いつつある。
「日本は消費税増税の影響があるにもかかわらず、底堅い家計支出と公共支出によって19年は0.9%の成長を維持できそうだ。20年は潜在成長率並みの0.5%に下がるとみているが、基本的な見通しとして景気後退は予想していない」
日本の消費増税による景気リスクは軽微と見込んだ。財政支出による需要喚起策で増税の落ち込みをカバーしており「日本の財政スタンスは中立的といえる」と指摘した。IMFは日本の成長率は24年時点でも0.5%とみており、経済の底上げは遅れている。
日米欧や中国など20カ国・地域(G20)は17~18日に財務相・中央銀行総裁会議を開く。ゴピナート氏は「政策に失敗が許される余地はない」と危機感をあおるが、世界景気だけでなく国際政治もけん引役を欠く状態だ。
Gita Gopinath インド出身の経済学者で、マクロ経済と国際通貨システムの分析が専門。IMFとしては初めての女性チーフエコノミストで、19年1月にハーバード大教授から転じた。47歳。
「世界の9割で景気減速」 IMFエコノミストが警鐘
貿易摩擦 経済 中国・台湾 ヨーロッパ 北米
2019/10/16 11:05
【ワシントン=河浪武史】国際通貨基金(IMF)チーフエコノミストのギータ・ゴピナート氏は15日、日本経済新聞の取材に「世界経済は90%の国・地域で景気が減速しており、貿易戦争などの地政学リスクが深刻になれば、世界景気は不況に近づく」と警鐘を鳴らした。先行きは緩やかな景気回復を見込むが「見通しは不確実で、政策面での失敗が許される余地はない」と指摘した。
IMFチーフエコノミストのギータ・ゴピナート氏
「2019年の世界の経済成長率は3.0%とみており、予測をさらに下方修正した。2.5%を切れば景気後退に突入したと言えるが、それは実際に不況に陥った国がいくつかある場合で、現時点で基本シナリオではない。ただ、貿易戦争の激化などで地政学リスクが高まり、金融面での収縮を引き起こせば、世界景気はその2.5%へと近づくだろう」
IMFは15日、世界経済見通しを5四半期連続で下方修正し、19年の成長率は金融危機直後の09年以来の10年間で最も低い水準になった。ゴピナート氏は世界の成長率が2.5%を下回れば景気後退と定義したが、足元の伸びは17年の3.8%から急速に鈍っている。
ゴピナート氏は世界景気のリスク要因に米中の貿易戦争を挙げ、20年の世界の国内総生産(GDP)が0.8%下押しされる可能性があると指摘した。米国が12月に予定する追加関税の発動を撤回しても、これまで課した制裁の影響で「世界景気には0.6%分の下押し圧力が残る」と分析する。
「20年の世界の成長率は3.4%へやや上向くと予測する。ただ、米国と中国、さらに日本といった主要国の成長率がそろって減速しそうで、見通しは不確実だ。ユーロ圏もある程度は回復すると見込むものの、ドイツのように外需依存の高い国は貿易摩擦で回復シナリオが崩れる可能性がある。世界は政策面での失敗が許される余地はなく、金融政策と財政政策のバランスが重要になる」
ゴピナート氏は世界景気を「同時減速」と表現した。米国や中国だけでなく、ドイツやフランスなど欧州の成長見通しも軒並み下方修正した。英国が欧州連合(EU)から「合意なき離脱」を余儀なくされれば、世界景気はさらに下振れが避けられない。
ゴピナート氏は米連邦準備理事会(FRB)や日銀などの金融政策は十分に役割を果たしており「主要国の金融緩和がなければ世界の成長率は19年、20年とも0.5ポイント下振れしていた」とも指摘した。ただ、先行きの緩和余地は乏しく、IMFはドイツなど一部の国の財政支出に期待をかける。
「先進国の成長率予測は19年、20年とも1.7%にとどまる。一方で新興・途上国は19年が3.9%、20年は4.6%だ。ブラジルやインド、サウジアラビアは19年の成長率が極めて弱く、中期的に回復していくとみる。中国は貿易摩擦によって、20年の成長率が6%を割り込むだろう」
世界経済の二大エンジンである米中は、貿易戦争で景気が弱含んでおり、ゴピナート氏は20年以降の回復は一部の新興国にかかっているとした。ただ、インドは内需が冷え込み、ノンバンクの経営破綻など金融面でも不安がある。ブラジルも政策金利を過去最低に下げたものの、輸出や投資の低迷が続く。世界景気はけん引役を見失いつつある。
「日本は消費税増税の影響があるにもかかわらず、底堅い家計支出と公共支出によって19年は0.9%の成長を維持できそうだ。20年は潜在成長率並みの0.5%に下がるとみているが、基本的な見通しとして景気後退は予想していない」
日本の消費増税による景気リスクは軽微と見込んだ。財政支出による需要喚起策で増税の落ち込みをカバーしており「日本の財政スタンスは中立的といえる」と指摘した。IMFは日本の成長率は24年時点でも0.5%とみており、経済の底上げは遅れている。
日米欧や中国など20カ国・地域(G20)は17~18日に財務相・中央銀行総裁会議を開く。ゴピナート氏は「政策に失敗が許される余地はない」と危機感をあおるが、世界景気だけでなく国際政治もけん引役を欠く状態だ。
Gita Gopinath インド出身の経済学者で、マクロ経済と国際通貨システムの分析が専門。IMFとしては初めての女性チーフエコノミストで、19年1月にハーバード大教授から転じた。47歳。