【米国市況】円が大幅安、158円台前半-物価指標受け株高・国債安
Rita Nazareth
2024年4月27日 5:48 JST
政府・日銀による円買い介入への警戒感が高まる
S&P500種は週間ベースで今年最高の上昇率、AI熱狂で
26日のニューヨーク外国為替市場では円相場が大幅安。一時は1ドル=158円44銭に下げ、34年ぶりの安値を更新した。日本銀行が金融政策の現状維持を決定したことを受けて円安が進行。米経済指標の発表を受けて円売りが一段と強まった。市場では政府・日銀による円買い介入への警戒感が高まっている。
為替 直近値 前営業日比 変化率
ブルームバーグ・ドル指数 1263.43 3.24 0.26%
ドル/円 ¥158.26 ¥2.61 1.68%
ユーロ/ドル $1.0693 -$0.0037 -0.34%
米東部時間 16時41分
ニューヨークの取引時間帯に入り、円は対ドルで一時157円79銭まで下落。神田真人財務官の過去の発言から介入が意識される水準も割り込んだ。植田総裁の会見後に円は急速に買い戻され、154円99銭を付ける場面もあったが、一時的な反発で終わった。
Yen Weakens Beyond Key 157 Per Dollar Mark | BOJ meeting pushing yen to fresh, 34-year lows
円相場
出所:ブルームバーグ
円は今年に入りドルに対して既に10%余り下落し、主要10通貨中で最悪のパフォーマンスとなっている。
円相場は「信じられないほどの弱さだ」とセントジェームズ・プレース・マネジメントのジャスティン・オヌエクウシ最高投資責任者(CIO)は述べ、「これほど弱ければ、確かに懸念を引き起こすだろう。円の動きは行き過ぎだと思う。われわれは円が現水準から下がるのではなく、上がるとみる」と語った。
サクソ・キャピタル・マーケッツの為替戦略責任者チャル・チャナナ氏は「日本銀行は、市場で最もハト派的な期待さえも上回るハト派的サプライズが可能であることをまたも示した」と指摘。「円安を止めるための介入を待つ状態に逆戻りだ。しかし、協調した動きでない限り、タカ派的な政策メッセージの支援がなければ、いかなる介入も無駄だろう」と語った。
来週月曜(4月29日)と金曜(5月3日)が日本の祝日であることも相場の動きを誘発し、薄商いの中でボラティリティーが上昇するリスクがある。
米株式相場は反発。大手ハイテク株がけん引役となった。米個人消費支出(PCE)価格指数がほぼ予想通りとなり、安堵(あんど)感が広がったことも買いにつながった。
米PCEコア価格指数、3月は前年比2.8%上昇-インフレ圧力続く (2)
S&P500種株価指数は週間ベースで今年最高の上昇率を記録した。マイクロソフトとグーグルの親会社アルファベットは、人工知能(AI)とクラウド・コンピューティングへの投資が実を結んでいるとの明確なメッセージを投資家に送った。
株式 終値 前営業日比 変化率
S&P500種株価指数 5099.96 51.54 1.02%
ダウ工業株30種平均 38239.66 153.86 0.40%
ナスダック総合指数 15927.90 316.14 2.03%
UBSのグローバル・ウェルス・マネジメントのソリタ・マルチェリ氏は、大手テクノロジー企業の決算が同グループの強力なファンダメンタルズを裏付け、マクロ経済に対する懸念を相殺する一助になっていると指摘。「ハイテク企業のファンダメンタルズは依然強く、特に第1四半期は大手ハイテク企業の業績が好調であったことから、最近の調整局面がハイテクおよび人工知能(AI)関連銘柄への興味深い参入機会を提供していることをなお強調しておきたい」と述べた。
S&P 500 Notches Best Week of 2024 on AI Optimism
S&P500種株価指数の週足チャート
出所:ブルームバーグ
ベルウェザー・ウェルスのクラーク・ベリン氏はPCEについて、年内利下げの可能性は残されるが、その時期は米金融当局がもう少しインフレ指標を分析できるようになる年末に近くなる可能性が高いと指摘。「業績がまだかなり好調で、企業はこの高金利環境でもうまくやっていく方法を見いだしているため、株式市場はこの金利高止まりを力強く乗り切れると考えている。投資家は利下げが実施されれば歓迎するだろうが、年内に利下げがなかったとしても、相場は上昇を続けることができる」と述べた。
ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのジョン・カーシュナー氏は「新しいインフレ指標が発表されるたびに、その重要性は高まっており、金融当局がこの闘いに負け始めていないことを確認するために、市場は予想を裏切らない数字を必要としていた。インフレ率は当局が安心するにはまだ高過ぎるが、このまま進展が続けば年内に1回あるいは2回の利下げを想定するのはなお妥当かもしれない」と語った。
米国債相場は反発。PCE価格指数を受けてインフレ懸念が緩和し、前日に年初来の最高を付けていた国債利回りは低下した。
国債 直近値 前営業日比(bp) 変化率
米30年債利回り 4.78% -3.7 -0.77%
米10年債利回り 4.66% -4.3 -0.91%
米2年債利回り 4.99% -0.6 -0.12%
米東部時間 16時41分
Treasury Yields in Rising Trend
10年債利回り
出所:ブルームバーグ
リチャード・バーンスタイン・アドバイザーズの債券担当ディレクター、マイケル・コントプロス氏は「安堵感から小幅に上昇した。インフレは根強く、早期の利下げがないことを投資家は認識する必要がある。実際、利上げを議論する時期ではないのかという質問をした方がいい」と述べた。
ニューヨーク原油相場は小幅続伸。現物市場が逼迫(ひっぱく)しつつある兆しや、中東情勢のリスクがくすぶっていることが意識され、週間ベースでも上昇した。
今週公表された米在庫統計では、原油の在庫が1月以来の水準に減少したことが示された。また需給の重要なバロメーターであるタイムスプレッドなどの指標では、供給抑制の状況が示唆されている。
一方、3月の米PCE統計では価格指数が堅調なペースで上昇。これが原油の上値を抑えた。前日には1-3月(第1四半期)の米実質国内総生産(GDP)速報値が景気減速を示した一方で、インフレ率は懸念を引き起こすほど高い水準に上昇し、利下げ観測が後退していた。
Oil Posts Weekly Gain | US crude futures yielded a 2% weekly gain
WTI原油先物、週間騰落率
出所:NYMEX
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物6月限は前日比28セント(0.3%)高の1バレル=83.85ドルで終了。週間では2%上昇。ロンドンICEの北海ブレント6月限はこの日、49セント(0.6%)高の89.50ドルで終えた。
金スポット相場は週間ベースで6週ぶりの下落となった。過去数カ月にわたって上げ基調が続いたため、利益確定の売りも出た。
金は2月半ばに付けた安値から、約17%上昇。米利下げ観測の後退にもかかわらず、高値更新が続き、2週間前には日中ベースで最高値を付けていた。金の力強いパフォーマンスの背景には、中央銀行による購入や中国など一部アジア市場での関心の高まりなどがあるとされている。
一方、この日発表された米国のインフレデータは高金利が当面は続くとの見方を補強する内容となった。
サクソバンクの商品戦略責任者オレ・ハンセン氏は金相場について「長らく待たれていた、比較的激しいながらも健全な調整に見舞われている」と述べた。
Gold Heads for First Weekly Loss in Six | Metal has rallied since mid-February
金スポット価格の週間騰落
出所:ブルームバーグ
金スポット価格はニューヨーク時間午後2時10分現在、前日比では0.3%高の1オンス=2338.84ドル。週間では2.2%下落。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限はこの日、4.70ドル(0.2%)高の2347.20ドルで引けた。
原題:Yen Drops Beyond 157 Per Dollar as BOJ Keeps Key Rate Unchanged(抜粋)
‘AI Craze’ Powers Best Week in 2024 for Stocks: Markets Wrap
Bond Rout Eases as Traders Find Relief in Key Inflation Readings
Oil Posts Weekly Advance Amid Signs of a Tightening Market
Gold Heads for First Weekly Loss in Six as Traders Book Profits
の日発表された米国のインフレデータは高金利が当面は続くとの見方を補強する内容となった。
サクソバンクの商品戦略責任者オレ・ハンセン氏は金相場について「長らく待たれていた、比較的激しいながらも健全な調整に見舞われている」と述べた。
Gold Heads for First Weekly Loss in Six | Metal has rallied since mid-February
金スポット価格の週間騰落
出所:ブルームバーグ
金スポット価格はニューヨーク時間午後2時10分現在、前日比では0.3%高の1オンス=2338.84ドル。週間では2.2%下落。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限はこの日、4.70ドル(0.2%)高の2347.20ドルで引けた。
原題:Yen Drops Beyond 157 Per Dollar as BOJ Keeps Key Rate Unchanged(抜粋)
‘AI Craze’ Powers Best Week in 2024 for Stocks: Markets Wrap
Bond Rout Eases as Traders Find Relief in Key Inflation Readings
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Gold Heads for First Weekly Loss in Six as Traders Book Profits
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