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3月マイナス金利解除の公算、秋までに再利上げも-MUFG常務 2024年3月6日 7:00 JST 更新日時 2024年3月6日 10:32 JSTブルームバーグ

2024-03-06 13:43:12 | 日記

3月マイナス金利解除の公算、秋までに再利上げも-MUFG常務
鈴木英樹、浦中大我
2024年3月6日 7:00 JST
更新日時 2024年3月6日 10:32 JSTブルームバーグ

4月は衆院補選、9-10月も日米重要日程控え「リードタイム必要」
日銀当座預金は0.1%付利適用の1層構造へ、秋に0.25%へ利上げも

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)で市場事業本部長を務める関浩之執行役常務は、日本銀行が3月18-19日に開く金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除する可能性が高いとみている。

  関常務は2月28日のブルームバーグとのインタビューで、消費者物価指数(CPI)の上昇率が前年比2%を超えて推移しているほか、今年の春闘では昨年を上回る賃上げが期待されると指摘。「日銀は賃金の上昇を伴った2%の物価安定目標が実現できる確度がさらに高まってきている手ごたえを感じるものと思われる」と述べ、3月解除の可能性を予想した。

MUFG Head of Global Markets Hiroyuki Seki Interview
MUFGの関浩之執行役常務(写真は23年1月)
Photographer: Shoko Takayasu/Bloomberg

  日銀会合は4月にも開かれるが、足元の円安進行で今後は個人消費への悪影響が懸念される上、4月28日には衆議院補欠選挙もあり、勝敗次第で政権運営が不安定化するリスクを踏まえると、それに近いタイミングでの政策変更は極力回避した方が望ましいと関常務は言う。

  また、2024年年央にも米国や欧州の中央銀行が利下げに踏み切る可能性が高く、9月には国内で自民党総裁選、米国では11月に大統領選と重要な政治日程もあるため、「マイナス金利解除から次の利上げを見極めるために相応のリードタイムが必要」との認識を示した。

  ブルームバーグの報道を受けて、6日の債券相場は下落(金利は上昇)した。日銀の早期政策修正観測が相場の重しとなった。株式市場ではりそなホールディングスの株価が一時前日比4%超上昇するなど銀行株が堅調。

  金融政策見通しを反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)では、市場が織り込む3月解除の確率は5日時点で53%程度。日銀の植田和男総裁は経済・物価情勢の展望(展望リポート)の公表がない会合でも「政策変更はあり得る」と話している。マイナス金利が解除されれば8年ぶりで、超低金利で長年海外に向かっていた国内機関投資家の資金が日本国債に回帰する可能性がある。
当座預金は1層構造、秋には0.25%へ

  関常務はマイナス金利の解除とともに、当座預金は現在の3層構造を撤廃し、マイナス金利導入前のように超過準備金全てに付利0.1%を一律適用する1層構造への変更などがあり得ると指摘。さらに、遅くとも10月までには今後の政策運営の柔軟性を確保する観点からも、「0.25%までの追加利上げを行う可能性は十分にある」と予想した。

  日銀の内田真一副総裁は2月8日の講演で、「マイナス金利導入前は超過準備に0.1%が一律に適用されていた」と発言。この点からも1層構造への変更の可能性が高く、「政策金利も当座預金の付利金利から無担保コールレートオーバーナイト物へ変更される」と関常務はみている。

  一方、長期金利が今後跳ね上がるリスクに備える必要があり、日銀が長短金利操作(イールドカーブコントロール、YCC)を撤廃することは想定しにくいと分析。上場投資信託(ETF)の買い入れ政策については、最近の日銀幹部の発言を踏まえると、マイナス金利政策を終えると同時に新規の買い入れが停止される可能性が高いとの認識を示した。

  野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは1日付のリポートで「日銀がいつマイナス金利政策を解除するかとともに、いつ当座預金制度を見直すかは銀行にとっては大きな注目点だ」と指摘。1月時点の日銀当座預金の規模で、超過準備金全てに付利0.1%を適用した場合、「銀行など日銀の当座預金先の利子収入は、1年間で2500億円程度増加する」と試算する。
国債需給に構造変化か

  関常務は、日銀当座預金が1層構造へ転換した後、国債市場の需給に「構造変化が顕著に生じ始める」とみている。メガバンクなどはこれまでマイナス金利の適用を嫌がったり、日銀オペ利用の際に担保として差し入れたりするため、国債を確保する需要が一定程度あった。

  しかし、こうした需要が剥落し、オーバーシュート型コミットメントも同時に廃止される可能性があり、「緩やかながら日銀の国債買い入れ額も減額されていくことが想定される」と言う。国債の需給が緩めば利回りにも影響し、5年債利回りは0.6%超、10年債は1%超へ次第に切り上がることが見込まれるとした。 

  関常務によると、MUFGは既に円金利上昇に備えた運営を行っている。金融政策の変更や国債市場の環境が変化した場合、「相対的に割安なスワップの固定金利をレシーブする操作を通じて徐々にポジション量を復元していく」方針。5年スワップで0.6%以上、10年で1.1%以上から復元予定だ。さらに、スワップ金利にさや寄せして割高感が修正されれば、「国債への投資も本格的に開始していく」と語った。

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