米国株、ダウ続落し68ドル安 ワクチン普及期待が後退 長期金利低下でハイテク株には買い
米国・欧州株概況2021年4月14日 5:34
【NQNニューヨーク=戸部実華】13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比68ドル13セント(0.2%)安の3万3677ドル27セントで終えた。米当局が米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製の新型コロナウイルスワクチンの接種を中断するよう勧告した。ワクチン普及による経済正常化への期待が後退し、景気敏感株を中心に売りが優勢となった。ただ、金融緩和の長期化観測が支えとなり、売り一巡後は下げ渋った。
米疾病対策センター(CDC)と米食品医薬品局(FDA)は13日、共同声明でJ&J製のワクチン接種を一時中止することを勧めた。接種後に血栓が生じる事例が6件報告されたためで、CDCは14日に報告例を検証する会議を開く。ワクチン普及の遅れるとの懸念から、経済活動の正常化の恩恵を受けやすい銘柄を中心に売りが出た。
景気敏感株の一角が下げ、工業製品・事務用品のスリーエム(3M)や建機のキャタピラー、化学のダウが安い。スポーツ用品のナイキやクレジットカードのアメリカン・エキスプレスなど消費関連株も下げた。ダウ平均の構成銘柄以外ではアメリカン航空グループなど空運株の一角も売られた。
今週半ばから本格的に始まる米主要企業の決算発表を控え、業績を見極めたい雰囲気も買い手控えにつながった。14日に1~3月期決算を発表する金融のゴールドマン・サックスとJPモルガン・チェースはともに下落し、ダウ平均の重荷となった。
ダウ平均は一時199ドル安を付けた後は下げ渋った。13日発表の3月の米消費者物価指数は前年同月比2.6%上昇と市場予想を0.1ポイント上回った。インフレ傾向が強まっているが、市場では「米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和姿勢を変えるほどではない」と受け止められた。債券市場で長期金利が低下し、ハイテク株など高PER(株価収益率)株の買い安心感につながった。スマートフォンのアップルが2%高。ソフトウエアのマイクロソフトや顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムも上げ、ダウ平均を下支えした。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反発し、前日比146.100ポイント(1.1%)高の1万3996.099で終えた。電気自動車のテスラが9%高となった。アナリストが目標株価を引き上げた半導体のエヌビディアも高い。在宅勤務や「巣ごもり消費」の恩恵を受ける銘柄への買いも目立ち、ビデオ会議システムのズーム・ビデオ・コミュニケーションズが7%高、電子署名のドキュサインが5%高となった。ネット通販のアマゾン・ドット・コムも上昇した。
多くの機関投資家が運用の参考とするS&P500種株価指数は反発し、前日比13.60ポイント(0.3%)高の4141.59と過去最高値で終えた。