「私が盗んだ、もうおしまいだ」-大谷選手の元通訳が賭け屋に吐露
Chris Strohm2024年4月12日 9:51 JST
- 訴追請求状から水原・元通訳とブックメーカーのやり取りが明らかに
- 約2年間に1万9000回の賭け、平均額は1万2800ドルと検察当局
Shohei Ohtani, baseball player of the Los Angeles Dodgers, center, arrives for the news conference of the 2024 Seoul Series Workout Day at Gocheok Sky Dome.
Photographer: SeongJoon Cho/Bloomberg
米大リーグ、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手の水原一平元通訳に対する米連邦検察当局の訴追請求状は、元通訳が賭博で膨らんだ借金の返済のためどのように大谷選手から1600万ドル(約24億5000万円)余りを詐取したかについて詳細を示している。
大谷選手の元通訳、水原一平氏を詐欺罪で刑事訴追-米司法省
ロサンゼルス連邦地検のマーティン・エストラーダ検事正が公表した36ページにわたる訴追請求状のポイントは以下の通り。
消えた1600万ドル
銀行の記録によると、2021年11月から24年1月にかけてブックメーカー(賭け者)に1600万ドル余りが送金された。
訴追請求状によると、21年12月から24年1月までの約2年間に約1万9000回の賭けが記録に反映されており、1日平均では約25回行われていた。1回の賭け金は約10ドルから16万ドルで、平均はおよそ1万2800ドルだった。
当局によれば、水原元通訳は大谷選手の野球関連の報酬が振り込まれる口座から直接送金した。元通訳が行った賭けは野球に関するものではなかったようだとしている。
信用貸し
訴追請求状によれば、水原元通訳の携帯電話のテキストメッセージは元通訳が21年9月に違法なスポーツ賭博に手を染めたことを示しており、すぐにかなりの額を失い始めたという。しかしブックメーカーは元通訳の借金が100万ドルを超えても賭け金の限度額を引き上げ続けた。
22年11月14日の元通訳のブックメーカー宛てメッセージ:「私はスポーツベッティングがひどく苦手だ。そうでしょう?(笑)また貸していただけますか?ご存じのように、私が支払わないのではないかと心配しなくていいですよ!」
水原元通訳はブックメーカーに限度額の引き上げを求め続けた。22年12月9日のメッセージ: 「最後の200を増やしてくれませんか? 母に誓って、これを最後に米国に戻って返済します。何度もお願いしてすみません・・・」
23年6月24日のブックメーカー宛てメッセージ:「うまくいきません(笑)・・・本当に最後の引き上げをお願いできますか? これが本当の・・・本当の最後です」
数カ月後、元通訳は膨らんだ借金の片を付けようとしていた。23年11月19日のメッセージ:「正直に言います。私はこの数年、仮想通貨で大金を失いました。そしてご存じのようにスポーツでも大きな打撃を受けました。ちょっとお聞きしたいのですが、金額で折り合いをつけることは可能でしょうか? このサイトで私はあまりに多くを失いました。もちろん、私が悪いのは分かってます」
成り済まし
訴追請求状によると、電話や銀行の記録は水原元通訳が大谷選手の銀行口座にオンラインでアクセスし、銀行員を欺いて大谷選手に成り済まして送金を承認させたという。
銀行の記録によれば、2021年終盤に大谷選手の口座の連絡先が水原元通訳の電話番号と、元通訳に関係している匿名の電子メールアカウントに変更された。
録音された電話でのやり取りからは、水原元通訳が大谷選手を名乗り、従業員を欺いて大谷選手の口座からブックメーカー関係者への送金を承認させようとしたことが分かる。
「もうおしまいだ」
訴追請求状によれば、大谷選手の口座の損失が最初に報道された後の3月20日に元通訳はブックメーカーに暗号化したメッセージを送り、大谷選手から盗んだことを認めた。
水原元通訳:「報道を見ましたか? 」
ブックメーカー:「見ましたが全部でたらめですね。大谷選手から盗んでいないのは明らかで、もみ消し工作と理解してます」
水原元通訳:「厳密に言うと私は盗みました。私はもうおしまいだ」
原題:Ohtani Translator: ‘I’m Terrible at This Sport Betting Thing’(抜粋)
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