日銀17年ぶり利上げは日本株高を妨げず、市場は冷静とストラテジスト
Marcus Wong、Winnie Hsu
2024年3月19日 14:47 JSTブルームバーグ
日本銀行は19日の金融政策決定会合でマイナス金利政策を終了し、17年ぶりの利上げに踏み出した。しかし、日銀幹部や政策委員の発言に加え、報道を通じて事前に政策変更の可能性が示唆されていたため、市場はほとんど動揺していないとストラテジストや運用担当者らはみている。
日銀が17年ぶり利上げ決定、世界最後のマイナス金利に幕-YCC廃止
市場関係者の見方をまとめると、多くが今後の利上げペースは緩やかなものになると予想しており、特に日本株は特に中期的に上昇する可能性が高い。マイナス金利の終了で社債投資家は信用リスクをより意識する必要がありそうだ。
【市場関係者の見方】
サクソ・マーケッツのマーケットストラテジスト、チャルー・チャナナ氏
日銀の決定は金融市場の混乱を回避するのに役立ち、強力なコミュニケーションの力を反映している
日銀のコメントは緩和的な状況がしばらく続くと予想していることを示唆し、これは利上げの可能性は低いというシグナルだ。従って、円は依然として金利差取引の対象になる
マイナス金利を終えた新たな時代は、日本経済の回復を裏付けるものだ。日本の貯蓄や投資のリターンが高まれば、消費者の消費意欲を刺激し、日本株のモメンタムを拡大させる材料になる
ロンバード・オディエのシニアマクロストラテジスト、ホーミン・リー氏
日銀が今後数カ月の間、タカ派的な姿勢を見せるかどうかを見極める必要がある
日本株については中立を維持しているが、市場がこれを素直に受け止めていることは、中期的なトレンドにとって良い兆し
アムンディ・ジャパンの石原宏美株式運用部長
現段階では日銀の追加利上げは期待できないので、アウトパフォームしている銀行株は短期的に調整する可能性がある
好調な春闘の集計結果を受け、国内消費の回復を期待している。内需関連銘柄では企業の設備投資需要が旺盛で、機械や建設に注目している
セゾン投信の瀬下哲雄マルチマネジャー運用部長
デフレ脱却への前向きなお墨付きをようやく得ることができた。マイナス金利を終わらせるが、金利がどんどんと上がるということではなく、全体として日本株にはポジティブになる
ポイントは、マイナスからゼロにするのはかなりハードルが低く、マイナスからプラス0.5%や0.25%にするのはもっと難しい
大和証券の大橋俊安チーフクレジットアナリスト
投資家が適切な信用リスクを認識する市場への第一歩
社債は本来、長期のデュレーションリスクを持つ金融商品ではないはずだが、10年、20年、30年、あるいは50年という債券は金利が下がり、緩和が続くという前提で今存在している
日本の株・金利・円・信用市場の動き
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