ラガルドECB総裁、ユーロの国際的な役割強化へ「絶好の機会」
Alexander Weber、Mark Schroers、Jana Randow
2025年5月27日 2:40 JST
二転三転のトランプ米大統領の政策、むしろ好機だと同氏は指摘
欧州レベルでより多くの共同債発行が行われるべきだ-ラガルド氏
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は26日、二転三転するトランプ米大統領の政策の混乱は、ユーロの国際的な役割を強化する「絶好の機会」であり、これまで米国のみに許されていた特権をユーロ圏も享受できる可能性があるとの認識を示した。
長年にわたり欧州連合(EU)の潜在的な経済力の足かせになってきた課題を各国政府が解決できれば、借り入れコストの低下に加え、通貨変動や制裁から守られるといった恩恵が得られると、ベルリンでの講演で語った。
足元で進行している変化は国際的なユーロの時代に道を開くとラガルド氏は指摘。「欧州が自らの運命をより主体的に握るための絶好の機会だ。ただし、これは単に与えられる特権ではなく、自らの努力で手にする必要がある」と述べた。
ラガルド総裁はこれまでも、ユーロが対ドルで最近上昇していることについて、トランプ氏の一貫性を欠く政策の結果であり、欧州にとっては好機だとの見解を示していた。
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ラガルド氏はこの日の講演で、ドルが基軸通貨としての地位を脅かされる可能性があった事例として、ニクソン元米大統領による金本位制の廃止などに言及。当時は代替となる強力な通貨が存在しなかったが、今ではユーロがあり、「ドルと並ぶもう一つの国際通貨だ」と述べた。
ラガルド氏はまた、防衛政策など、欧州レベルでより多くの共同債発行が行われるべきだとの考えを重ねて表明した。これは政治的には議論を呼ぶが、ラガルド氏は進展すれば投資家にとって証券の選択肢が広がることにつながると述べた。

原題:Lagarde Sees Opportunities to Raise Euro’s Global Profile (1)(抜粋)
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