日銀国債買い入れ、根強い6月の大幅減額観測-全年限据え置き
山中英典、テソ由美
2024年5月17日 7:55 JST
更新日時 2024年5月17日 12:44 JST
日本銀行は17日、国債買い入れオペの金額を全年限で据え置いた。2回連続の減額は見送ったが、市場では6月の金融政策決定会合で大幅な減額が決まることへの警戒感がくすぶっている。
日銀は午前10時10分に今月3回目の定例国債買い入れオペを通知。金額は残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下、25年超のいずれも前回から据え置いた。13日のオペで残存5年超10年以下の購入額を前回から500億円減らしたことで、市場では日銀が政策正常化を早めるために買い入れ比率が高い中期ゾーンを減額するとの見方が出ていた。
りそなアセットマネジメントの藤原貴志債券運用部長兼チーフファンドマネジャーは、3月に決めたマイナス金利解除など政策変更による市場へのインパクトを見極める期間が過ぎたとすると、「きょう減額があっても不思議ではなかった」と話す。「今回減額が見送られたことで、6月の日銀決定会合で話題の中心になることは確実だろう」とみる。
日銀が9日公表した4月会合の「主な意見」では、国債買い入れについて「どこかで削減の方向性を示すのが良い」など減額に前向きな見解が記載された。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、今回は「為替が落ち着いてきたので据え置いたという見方が妥当だ」とした上で、「今後もオペ減額に対する不透明感を抱えていくことになる」と話す。
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残存期間5年超10年以下の毎月の発行額に対する日銀の買い入れ比率は、13日のオペ減額前は70%を超えていたが、減額後は65%に低下する。3年超5年以下の比率は70%を上回っており、次の減額対象とみられている。
オペ年限 月間買入額 月間発行額 買入比率
1ー3年 1.5兆円 2.6兆円 58%
3ー5年 1.7兆円 2.3兆円 74%
5ー10年 1.7兆円 2.6兆円 65%
10ー25年 4500億円 1兆円 45%
25年超 1500億円 1.25兆円 12%
一方、日銀はバランスシートの縮小よりも金融正常化の本丸である利上げを優先するとの見方もある。SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは、今回オペ減額を見送った背景について、「日銀が先にやりたいのは利上げなので、6月会合に向けて買い入れ減額モード一色になるのを避けたかった」と述べた。
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