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空沼岳 北国の山の中へと

2016-08-18 12:24:34 | 花の山

 

 陽が高くなってきました。


 ゆるやかに続く山道は一本道で、枝道もありませんので、迷う心配はありません。


 登山道の写真を見ていると、キリマンジャロの登山道を想い出しました。


 キリマンジャロの頂きへの道も、ジャングルの中に、こんな感じの道が延々と続いていました。


 いやいや、この話は止めときましょう。


 何しろ私は、キリマンジャロ登山の最終日、高山病に罹り、頂上まで行けなかったのですから、縁起が良くありません。

 



 大きなフキの葉が陽射しを浴びていました。


 確認していませんが、フキの葉の下にはきっとコロポックルが潜んでいたはずです。

 


 再び、青いエゾアジサイの花を見かけました。


 今度の花は、ちょっと灰色がかった青ですから、水浅葱色ですね。

 



 順調に距離を伸ばし、万計山荘まで残り2.3kmとなりました。

 



 ゆるやかな尾根に広がる森は、明るい陽射しに包まれています。

 

 今ごろ大都会のコンクリートジャングルでは、人は灼熱の大気の中で喘いでいるかもしれません。


 私は今回、新潟からフェリーを利用しましたので、此処へ来るまでに二日以上掛かっていますが、羽田から飛行機を利用すれば、千歳まで90分、千歳空港からレンタカーで90分程でこのような緑の別世界に溶け込むことができます。


 本当に便利な世の中になったものです。


 数年後、もしかするとこの道は、高尾山のように、世界中のハイカー達の姿を目にするようになるかもしれません。




 単調な、登山道と呼ぶには、あまりにもなだらかな道がトドマツの森の中を登ってゆきます。


 左手の森の奥から沢水のせせらぐ音が聞こえていました。

 



 そして、出発してから約1時間後、何本目かの倒木を潜り抜けると、

 



 爽やかな風情のヤマブキショウマが、風に花を揺らせていました。


 白い小さな花を連ねた、涼やかな細い花穂に出会うと、いつも山に来たことを実感します。

 



 伸びあがる木の幹にしがみついたツルアジサイの花を見上げながら、

 


 

 眼下に流れる沢水に涼を感じながら、北国の山の中へと歩を進めてゆきました。



 

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空沼岳 コロポックルが踊り始める

2016-08-18 05:48:47 | 花の山

 

 

 登山道の脇に、エゾマツの大木が頻繁に姿を見せていました。




 エゾマツの葉を観察すると、枝の上側に付く葉は短く、枝の横や下側に付く葉は長いことが分かります。


 日頃東京の植物園で楽しみなが観察し、知り得た知識を、遠い北国の自然林で再確認することができました。


 マツの葉が恵比須顔で私に笑いかけているようにさえ思えます。


 こんなことを切っ掛けに、喜びのコロポックルが、私の胸の奥で踊り始めました。

 



 登山道に顔を覗かせた円い葉はオオカメノキです。


 葉の腋にライトグリーンの実を稔らせていました。


 秋ともなれば、実は赤く染まって、道行く人の目を楽しませてくれることでしょう。

 

 


 
 登山道の傍で、木立の間の僅かな空を映した水面に、水草のヒルムシロが憩いの時を過ごしていました。


 静かな時の流れに身を委ねる水草は、隠れ里に慎ましく暮らす村人のような風情を漂わせます。

 



 明るいトドマツの林の中に道は伸び、

 



 ミズバショウの葉が繁茂する谷地を覗き見た先に、

 



 万計山荘まで2.7kmの標示が現れました。


 沢を渡った標高367mの場所からここまで、40分程の時間が経過しました。


 しかし、道はあまりにもなだらかで、登って来た意識は全くありません。

 



 しかし、エゾノレイジンソウなどが姿を見せ始め、植生に少しずつ変化が現れるようになりました。

 



 そんな時、歩を進める足元に、散り落ちた一輪の、白いサルナシの花を見かけました。

 



 周囲の路傍に聳える木立を見上げましたが、梢高く葉は茂り、枝先に咲く花の姿を確認することはできませんでした。



 

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空沼岳 うららかな森の道

2016-08-17 00:10:24 | 花の山

 

 なだらかな尾根道がササの茂みに中に続いていました。 

 


 明るい陽射しの中でエゾアジサイの花を見かけました。


 エゾアジサイは、中央のプチプチした両性花の周囲を、4枚花弁の青い装飾花が囲みます。


 主に、北海道と本州の日本海側に育ちますが、花の青さの濃淡に多彩な変化が認められます。


 この花色は水色とでも呼べば良いのでしょうか。

 



 登山道の周囲に、色の変化に富むエゾアジサイの花が次々と現れました。

 

 


 
 左上のエゾアジサイはツユクサ色、右上は花田色とでも名付けましょうか。


 エゾアジサイの色々を楽しみながら、なだらかな尾根道を登り続けます。


 周囲の森に広葉樹と針葉樹の混交林が広がり、見上げると、カツラの大木が淡緑色の葉を梢の先に輝かせていました。

 

 

 
 大きなエゾマツの根元に解説板が設けられています。

 木の高さは25m、直径90cm、樹齢250年と記載されていました。


 そのすぐ横に、この木から新聞紙だと何枚、トイレットペーパーは何ロール、ティッシュは何箱、との問いが記され、

 

 

 
 裏へ廻われば、その答えがありました。

 

  この道はきっと、小学生の野外研修などに使われるはずです。

 

 

 明るい林の中に登山道は続き、時折鶯の囀りが聞こえてきます。

 


 

 何時の頃に倒れたのでしょう、一人では抱えきれぬ程の、針葉樹の大木が道を塞いでいました。

 


 剽軽な表情で、ウドが葉を広げ、花を咲かせていました。

 

 暑くもなければ、寒くもない、程好い大気に包まれて、北国の山にうららかな道が続いていました。

 

 

 

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花の百名山 再びの空沼岳

2016-08-16 16:20:32 | 花の山

 

 空沼岳は札幌市民に人気が高く、多くの登山者に親しまれています


 その為もあって、シーズンになると、登山口まで路線バスが運行される、北海道でも数少ない山の一つです。


 私は1982年からの8年間を札幌で暮らしましたが、その頃、小学校入学前の二人の息子達を連れて、会社の同僚達と、途中の万計沼まで往復したことがあります。


 登山口から万計沼までなだらかな道が続き、子供の足でも2時間程の行程だったと記憶しています。


 蜃気楼のような記憶になったあの日から、30数年程の月日が流れました。


 あの日、あの時の二人を含め、三人の息子達は、あの時の私と同じような年頃となり、あの頃の私のような穏やかな日々を、大都会の片隅で暮らし始めています。


 1990年に会社の辞令を受けて札幌を離れた時、世間には「1990年」という歌が流れていました。


 「1990年 娘は21 女の季節を迎えているだろう ・・・ どんな男に どこで抱かれるやら どんな男に命預けるやら ・・・ 幸せになるんだよ、幸せな女に・・・ 幸せの旅を続けて行くんだよ・・・ 」


 「1990年」の歌詞と違い、三人男の子の親となった私は、人の親として、息子達に平穏な日々を迎えさせることが最低限の勤めだと、生真面目に考えていたことを想い出します。


 がむしゃらに働き続けた日々を過ごし、今振り返れば、親としての最低限の責任は果たせたのではないかと思えるのです。


 そして、あの日の昭和から平成へ、20世紀から21世紀へと時が移り、私はもう一度、空沼岳の登山口に立っていました。

 

 

 今日は休日でも祝日でもありませんが、林道終点周辺には十数台の車がめられていました。


 運良く、林道脇にスペースを見付け、そこへ愛車を駐めると、私はゆっくりと沢音がこだまする道に歩を進めて行きました。

 



 都会の空き地でも見かけるキツネノボタンが、特別な花でもあるかのような顔をして私の視線を誘います。

 



 沢水が飛沫を上げて流れる岩場を進むと、

 



 支笏洞爺国立公園の大きな看板が見えてきました。


 この場所で登山者名簿に記帳し、

 



 丸木橋の残骸に沿って、飛び石伝いに沢を渡りました。

 


 沢の対岸には「空沼岳登山口」と記載された掲示板が設けられていました。

 

 標高367mの文字が見えます。


 空沼岳山頂は1251mですから、頂上までの標高差は884mです。




 

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花の山  index

2013-08-05 22:16:48 | 花の山


「花の旅」 総合目次 

 

花の山  index

 

奥多摩 御岳山・大岳山

  何で山登るねん (奥多摩御岳山、大岳山へ) 

  御岳山を越えて (静かな森の中の道)   

  雨の大岳山 (雨の登山路を大岳山へ向かいます) 

  雨に咲く花 (生憎の天気でしたが、山の花を楽しみました)

 

奥多摩 川苔山

  奥多摩 川苔山へ (噂に聞いていた花の百名山 川苔山)  

  川苔川を辿って (川苔川に添って山水画のような道が続きます)  

  心地よい山歩き (川沿川を外れ、静かな森の中を登りました)  

  山頂の花々 (川苔山の頂きで多くの花と出会いました)

  緑に溶け込んで (緑に溶込みそうな川苔山の下山路でした)

 

新潟 苗場山

10 苗場山で野猿と出会った (越後の花の百名山 苗場山を目指します)

11 高山植物の世界へ (苗場山への道で出会った花達)

12 ゴゼンタチバナの湯たんぽ (花の表情を楽しみながら登って行きます)

13 なめたらあかん (高い山には低山にないリスクがあります)

14 ヒヨリ虫の囁き (天気が悪いと気弱になるものです)

15 苗場山山頂にて (山頂に広がる湿原の規模は見事でした)

16 お花畑 (下山する時に、多くの高山植物に出会うことができました)

17 色男はいつも (楽しい山旅の後は、饒舌になります)

 

長野 黒斑山・高峰山

18 「鉄兵」という居酒屋(小諸の居酒屋さんの良い話)

19 さすがは花の百名山 (黒斑山は花の百名山です)

20 カラマツの枝に咲くバラ(美しいカラマツの松ぼっくり)

21 黒斑山への稜線 (南画を見ているような風景に出会いました)

22 カラマツの林にて (カラマツ天然林に一見の価値あり)

23 花の百名山 高峰山  (高峰山は花の百名山です)

 

鈴鹿山系 霊仙山

24 季節外れの花の山 (鈴鹿山系、霊仙山へ) 

25 晩秋のグラデーション(カルスト地形に晩秋のグラデーション)   

26 カルストのあかまんま (晩秋の山の彩) 

27 パステルカラーの森 (淡い紅葉も心を和ませます)


北海道 空沼岳

28 花の百名山 再びの空沼岳 (30年ぶりの空沼岳登山です)

29 空沼岳 うららかな森の道 (エゾツツジの青い花に魅せられました)

30 空沼岳 コロポックルが踊り始める (フキやミズバショウの葉を眺めながら)

31 空沼岳 北国の山の中へと (針広混交林の中を登ってゆきました)

32 空沼岳 透かし見る空が広がる (高度が上がると、空が広がってきます)

33 空沼岳 安息の地 万計沼 (万計沼は静かな緑に包まれていました)

34 空沼岳 万計沼から真簾沼へ (対照的な二つの沼)

35 空沼岳 登山路は札幌市内 (山頂も含め、登山路は札幌の行政区域内)

36 空沼岳 山頂からの360° (山頂でのパノラマが見事でした)

37 空沼岳 出会った花など (空沼岳で出会った花など)


北海道 夕張岳

38 花の百名山 念願の夕張岳 (夕張岳 40年前から登りたいと思っていました)

39 夕張岳 ポレポレ(ゆっくり)と (夕張岳 焦らず、ゆっくりと登ってゆきます)

40 夕張岳 花を見ながら山登り (夕張岳 花をみるのが主目的です)

41 夕張岳 雲海に浮かぶトムラウシ (夕張岳 北の空にトムラウシを望めました)

42 夕張岳 大河のように時は流れ (夕張岳 芦別岳を眺め、感慨深いものがあります)

43 夕張岳 シロウマアサツキの群落 (夕張岳 シロウマアサツキの群落が広がる)

44 夕張岳 山登りは晴天に限る (夕張岳 天気に恵まれた登山でした)

45 夕張岳の花と木 登山口~望岳台 (夕張岳 樹林帯の植物)

46 夕張岳の花と木 望岳台~憩沢 (夕張岳 亜高山帯の植物)

47 夕張岳の花と木  憩沢~1400m湿原 (夕張岳 湿原周囲の植物)

48 夕張岳の花と木  1400m湿原~吹き通し (夕張岳 湿原付近の植物)

49 夕張岳の花と木 吹き通し~頂上 (夕張岳 頂上付近の植物)


北海道 大千軒岳

50 花の百名山 大千軒岳 (大千軒岳 新道登山口までの悪路)

51 大千軒岳 ブナの林を抜けて (美しいブナの林の中を登って行きます)

52 大千軒岳 一等三角点のお花畑 (大千軒岳ピークの一等三角点)

53 大千軒岳の草花 (大千軒岳で出会った草花)

54 大千軒岳の樹木 (大千軒岳で出会った樹木)


北海道 目国内岳

55 花の百名山 目国内岳 (雲に包まれた山道を登って行きます)

56 目国内岳 頂きへの道 (花咲く山道を登って行きます)

57 目国内岳 同じ日に二つの名山 (一日で大千軒岳と目国内岳を制覇)


北海道 樽前山

58 花の百名山 樽前山 (樽前山は登山日和でした)

59 樽前山にタルマイソウ咲く (樽前山に咲くタルマイソウ)

60 樽前山の頂で (山頂のブロッケン)

 

 

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花の百名山 高峰山

2013-08-05 21:40:55 | 花の山

 

 黒斑山へ登り、11時過ぎに登山口の車坂峠に下りてきました。


 周囲に雲は減り、明るい陽射しの中で、眼下に青い佐久平が広がっています。

 

 

 時間には十分に余裕があります。


 選択肢として、黒斑山から稜線上を蛇骨岳・仙人岳へ足を伸ばすルートも考えていました。

 

 しかし、黒斑山の山頂で天候状態やルートなどを考慮して、花の百名山にも名を連ねる高峰山へ登ることにしました。

  

 高峰山への登山口は、車坂峠の高峰高原ホテルの裏側にあります。

 登山道の標識とともに、白い鳥居が出迎えてくれました。

 

 

 登山口から、なだらかな坂を7、8分程度で登りきると、正面に高峰山への稜線が望めました。

 

 

 ご覧の通り、左手の高峰山の頂上までは平坦なハイキングコースです。


 観光バスで来た、大勢の昔の御嬢さまがクラブツーリズムの名札を付けて、図鑑片手に山道に溢れていました。

 

 何を勘違いしたのか、その方々が突然私に「この花は何?」と質問してきました。


 「ニッコウキスゲですね」と答えましたが、次のタカネシュロソウの名が出なくて、「えーっと、あれなんですが、名前がすぐに出てこないんですよ、すいません。」と頭を下げますと、昔の御嬢さまはニッコリしながら「思い出したら教えてね~」と元気一杯です。 

 

  

      ニッコウキスゲ                   タカネシュロソウ

 

  途中でキバナオダマキを見かけましたが、次に見つけたアザミの正確な名が分かりません。

 

 思わず辺りを見回して、「よかった、花の名前を聞かれなくて」

 

  

       キバナオダマ                 詳細不明のアザミ

 

 振り返ると、さっき登ってきた黒斑山が、夏雲の下で緑に包まれていました。

 

 

 高峰山の頂上に着くと、小さな祠が岩の間に祀られていました。

 

 

 

 高峰山の頂上附近は観光客で溢れていました。


 皆さん、思い思いにお弁当を広げて、夏山気分を満喫しています。

 

  

 帰り道では、ミヤマホツツジやハクサンフウロなどの花を見かけました。

 

 

      ミヤマホツツジ                     ハクサンフウロ

 

 高峰山へは、往復で、僅か90分程の行程でしたが、爽やかな風の中で懐かしい花々に出会えて、長閑なひと時を過ごすことができました。

 しかし、山道の脇で枯れ果てた木立が天を仰いでいました。

 

  

 夏山の爽やかな季節はほんの一瞬です。
 山では、お盆を過ぎたころから、厳しい季節の前触れが始まります。

 山の花の季節は一瞬のうちに過ぎ去ります。


 そんな刹那に、可憐な花に出会えた幸せを感じて、毎年こうして、山へ花を訪ねることができれば、普段の生活が一汁一菜でも我慢できるかもしれない、などと、この時は思ったものです。

 (アーァ、良いのかな、こんなこと書いちゃって。)

 

 私はこの後、車坂峠を下り、軽井沢植物園に寄って、数枚の花の写真などをものにすると、あちらこちらの道の駅で地場のアイスクリームなどを味見しながら、アスファルトジャングルへと戻って行ったのでした。

 

 

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カラマツの林にて

2013-07-24 12:36:53 | 花の山

 

 黒斑山の頂上で、菓子パンを食べながらペットボトルの麦茶で喉を潤していると、目の前の雲が薄くなり始めました。


 外輪山の壁の底に、パティオのような別世界が見えてきました。


 人の気配を全く感じさせない、風と水と緑の世界が雲の下に姿を現しました。

 

 

 そして、あっという間でした。


 目の前の雲が一瞬にして消え去り、浅間山がその全貌を現したのです。
 

 頂上で一緒に眺めていた、栃木からのご夫婦も歓声をあげていました。

 

 

 外輪山が浅間山を囲み、その壁が北東へ伸びている様子がはっきりと分かります。

 

 黒斑山から、稜線上に登山道が伸びて、浅間山の頂きへと続いているはずです。

 

 遠く正面の雲の下辺りが日光白根山、右手の端が赤城山かもしれません。

 

 

 黒斑山の頂で素朴な高山植物、タカネニガナが陽射しを浴びています。

 

 頬に心地良い風を感じます。東京はきっと猛暑の中でしょうね。

 

 タカネニガナ

 

 山の花に目を取られている間に、カルデラの中へ雲が流れ込み、浅間山のピークが再び姿を隠しました。

 

 

 本当に一瞬でしたが、壮大なパノラマを堪能し、思い出に残る時間を過ごすことができました。

 

 

 ありがとうございました。

 さて、そろそろお暇させていただきましょうか。

 

 黒斑山から稜線を戻る途中で、ジャージ姿の小学生の一団とすれ違いました。

 皆の胸の名札から、小諸東小学校の5年生だと分かります。

 

 そうですよね、安全に、気軽に高山植物を観察できて、ジオグラフィーも学べるのですから、小学生の遠足にはピッタリの山かもしれません。

 

 

 下山路は「トーミの頭」の先の分岐で中コースを選びました。

 

 

 登ってきた表コースよりも短い時間で登山口に出られるようです。

 

 針葉樹の中を下って行きます。

 

 

 暫く下って行くと、針葉樹の森が途切れ、ガレ地の広がる場所に出ました。


 正面にスキー場のゲレンデが見えます。
 

 その左手に高峰山が見えています。

 

 眼下にはカラマツの天然林が広がっていました。

 そのカラマツは、私の知っているものとは随分と表情が異なりました。

 幹は太く捩れ、風雪に耐え抜いてきた逞しさを感じさせます。

 

 北原白秋が

 

 からまつの林の道は、

 われのみか、ひともかよひぬ。

 ほそぼそと通ふ道なり。

  さびさびといそぐ道なり。

 

 と歌ったのは人口林だったのでしょうか。

 

 私はカラマツが、見上げる程に整然と並ぶ人口林の姿しか見たことがありませんでしたが、白秋が歩いたのが天然林だったとすれば、この詩から受ける心象風景は、随分と違ったものになりそうです。


 

 

 黒斑山のカラマツ天然林、一見の価値があると思いました。

 

 

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黒斑山への稜線

2013-07-24 00:36:56 | 花の山

 

 青空が広がってきました。

 

 

 登り始めてから50分ほどで、浅間山外輪山の稜線に出ました。


 この場所が「赤ゾレの頭」でしょうか、振り向くと、車坂峠の高峰高原ホテルやスキー場、その奥に水の塔山、その山腹を横切って湯の丸高峰林道が白い筋となって見えています。

 

 

 お天気の心配は白い雲とともに消え去りました。


 足元ではいつも、ゴゼンタチバナが白い微笑を投げかけてくれました。

 そして私は、コケモモの花とも久しぶりの対面を果たしました。

 

 

   ゴゼンタチバナ                 コケモモ

 

 「赤ゾレの頭」から、今度は北へ伸びる稜線上を進みます。


 左手の林の縁にハクサンシャクナゲを見かけました。

 山腹で見たハクサンシャクナゲは白花でしたが、今度の花はピンクの筋の入ったお洒落な装いです。


 ハクサンシャクナゲはこうして、紅色から白色まで、花の色を多彩に変化させて、見る者を楽しませてくれます。

 

 

 ハクサンシャクナゲ

 

 コメツガでしょうか、萌黄色と深緑の葉が絶妙な色彩のハーモニーを見せていました。

 

 コメツガ

 

 クロマメノキがほんのり染まった花を咲かせていました。

 
 秋になると黒くて甘酸っぱい実を付けます。

 ブルーベリーの仲間ですから、アサマブドウとも呼ばれてジャムや果実酒などに利用されます。

 

  クロマメノキ

 

 浅間山本体への分岐を過ぎて程無く、「トーミの頭」と呼ばれる岩稜に着きました。

 

 「トーミの頭」に立つと、足元に切り立つ壁が深く落ち込み、浅間山のカルデラの中に雲が巻いていました。 

 

 

  「トーミの頭」を過ぎて、針葉樹に覆われた道を進んで行くと、浅間山の火山活動を監視する望遠カメラが設置されていました。


 浅間山が活火山であることを、改めて認識させられます。

 

 

 振り返れば、「トーミの頭」が雲の上に浮かんで見えます。


 南画を見ているような風景に思わず頬が緩みました。
 

 天気を案じながら歩く山にも、そんな日にしか味わえない妙味があるようです。

 

 

 花と景色を楽しみながら、2時間弱で黒斑山の頂上に到着しました。

 

 

 

 

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カラマツの枝に咲くバラ

2013-07-23 13:48:19 | 花の山

 

 黒斑山への表コースを登って行きます。

 ハクサンシャクナゲやマルバタケブキなどが咲いていました。 

 

 

     ハクサンシャクナゲ                マルバタケブキ

 

 雲の切れ間に、千曲川沿いに広がる佐久平が、夏の陽射しの中で輝いていました。

 

 

 「サウンド・オブ・ ミュージック」の主題歌に歌われたエーデルワイスの仲間のミネウスユキソウが白い花を咲かせていました。


 イタドリも山道で見ると、花穂の紅色が可憐に見えます。

 

 

     ミネウスユキソウ                   イタドリ

 

 すこしずつ、雲が去り始めています。

 

 

 針葉樹の道に陽が射し始めました。

 

 

 

 カラマツの枝の水滴の表情などを楽しみながら、のんびりと登って行きます。

 

 

 

 御免なさい。

 肉眼で見ると、キラキラした清しい光景なのですが、写しきれていません。


 「へんだな~ きっとカメラの性能の限界なのでしょう、カメラマンはもっと腕が良いはずなのに ・・・ 」

 

 カラマツの枝に松ぼっくりを見付けました。


 まるで針葉樹に咲いた紅茶色のバラのようです。

 

   

 

 

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さすがは花の百名山

2013-07-22 22:30:28 | 花の山

 

 車坂峠の麓の車の中で目を覚ましました。

 時間を確認すると6時半です。


 夜が明けて、うっすら明るい空が窓の外に見えます。

 両肘を付いた半身の姿勢で峠を見上げると、山を灰黒色の雲が覆っていました。

 

 そのまま横になって、もう一度毛布を被り、「どうしようか」とぼんやり思案しました。


 昨晩、峠の下へ車を停めたのは、こんな状況も想定していたからです。

 もし山が雨だったら、目的地を軽井沢植物園か信州大学志賀教育園へ変更することも考えていました。


 しかし、判断を下すには時刻が早すぎます。


 何度か峠を見上げて逡巡し、コンビニへ行って、朝食を手当しながら時間を潰しましたが、結局は諦めきれずに車坂峠へ上がって来ました。

 

 

 峠の駐車場へ車を停めました。


 ドアを開けて外に出ると、楚々とした風が肌寒く感じられます。

 雲の合間から、時々小諸市街が垣間見えました。

 

 昨晩の居酒屋でテレビが、長野県では、午後に向けて天気が回復する予報を伝えていました。

 山に掛かった雲に少しずつ改善の兆しが見えるような気もします。

 

 

 そして既に、私が今居る車坂峠の標高は1973mですが、目指す黒斑山は標高2,404mです。


 えーっと、引き算すると431mとなりますでしょうか?

 これってもしかして、高尾山へ登るよりも楽かもしれません。


 それでも、「山を甘く見てはいけない」という先祖伝来の家訓を想い出して、8時頃まで様子を見ていましたが、そのうち、次々と山登りの客を乗せた観光バスが峠を上ってきました。


 数十人もの団体の後ろを登ると、ちょっと面倒かもしれません。


 山で渋滞なんてまっぴら御免の助です。

 高度差400m強なら、何とでもなるでしょう。


 団体客に背中を押されるようにして、急遽出発することにしました。

 

 

 登山道を登り始めてすぐに、ニッコウキスゲとヤマブキショウマが出迎えてくれます。

 

 

    ニッコウキスゲ                 ヤマブキショウマ

 

 登山口に「黒斑山天然カラマツ植物群落保護林」の看板を目にしました。

 

 そうなんです、北海道辺りではカラマツはありふれた樹木ですが、実は殆どが植栽林で、天然林は意外と少ないのです。

 

 

 のんびりと山道を登って行きました。


 さすがは花の百名山です。

 シラタマノキやオトギリソウなどが次々と姿を見せてくれました。

 

 

    シラタマノキ                オトギリソウ

 

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「鉄兵」という居酒屋

2013-07-20 19:40:31 | 花の山

 

 東京の自宅から一般道を走り、6時間かけて、浅間山の外輪山に位置する車坂峠の麓に到着しました。

 

 小諸市内へ向かう途中で、「鉄兵」という看板を掲げた居酒屋を見付けたので、空き地に車を停めて暖簾を潜りました。

 

 

 

 客の居ない店の中、寛いだ様子で、小上がりへ座ってテレビを見ていたご亭主に、「まだ大丈夫ですか?」と声を掛けました。

 

 「ええ、どうぞ」と言いながら、ご亭主は、カウンターに座った私の前に立ちます。

 

 「お店は何時までですか?」と聞くと、

 

 「朝が早いので、そろそろと思いますが、11時ぐらいまでなら大丈夫です。朝野球をやっているものですから」

 

 「車をあそこの空き地へ停めましたが大丈夫でしょうか?」

 

 「ええ、大丈夫です。どちらから来られたのですか?」

 

 「東京です。車の中に泊まって、明日の朝から黒斑山へ登って花の写真を撮るつもりです」

 

 「ご趣味ですか?」

 

 「ええ、2年前に定年退職して、花の写真を撮り歩いています」

 

 「そうですか、花の写真はいい趣味ですね。私は野球しかできませんが」

 

 「野球は永くされているのですか?」

 

 「そうです。もう朝野球を始めて45年ほどになるでしょうか」

 

 「それは凄い。ずーとこちらで?」

 

 「ええ、この店を始めてから30年になりますが、その前から朝野球をやっていました」

 

 そういわれて、店内を見回すと、レトロな雰囲気のポスターが目に入ります。

 

 

 

 しかし、店内はこざっぱりと掃除が行き届いて、古びた様子はありません。

 

 カウンター横の壁には、アウトローと名が入った野球チームの集合写真が貼ってありました。

 棚には7、8個のトロフィーも並んでいます。

 トロフィーを見ながら 「結構強そうですね」

 

 「いやー、2位まではいくんですけど、優勝がないんですよ」

 

 「ポジションはどちらですか? まだ現役ですか?」

 

 「いえいえ、30年ほど監督をしていましたが、今は世話役です」

 

 「しかし、この商売で、よく朝野球を続けてこられましたね。凄いな~!」

 

 「昔は寝ないで、朝グラウンドへ駆け付けたこともありました。一度だけ、父親が亡くなった日に休んだだけです。」

 

 「へー、大したものだ。朝は辛くないですか?」

 

 「朝一番に行かなければ、誰も言うことなんて聞きません。真っ先にグラウンドへ行って、準備しているぐらいでなければ、続かないです」

 

 「いやー、凄い話だ。そうだ、この話をブログに書かせてもらおうかな、いいですか?」

 

 「ええどうぞ、かまいませんよ」

 

 ということで、許可を頂いたので、パチリと。

 

 

 この夜は、お銚子二本と漬物の盛り合わせ、素敵なお話にすっかり気持ち良くなって、お会計は1800円でした。

 

 高速道路の料金を節約して、寝酒をと思って入った小諸の居酒屋「鉄兵」さんでしたが、印象に残る素敵な夜となりました。

 

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色男はいつも

2013-07-11 22:11:57 | 花の山

 

 苗場山を下山する祓川コースで、神楽ヶ峰へ登る途中までは陽が差していたのですが、上ノ芝を過ぎた辺りから、また雨が降り始めました。

 

 

 しかし、時折頬に当る程度だったので、そのまま雨具を付けずに先を急ぎました。

 

 標高が下がるにつれて、気温が上昇するのを感じます。

 

 

 

 

 祓川コースは木道が良く整備されていますので、ペースも上がり、いつの間にか針葉樹林帯に入っていました。

 

 そんな場所でふと目にしたのがヤマトユキザサです。

 

 私はこの植物を知りませんでした。

 

 デジカメで数枚の写真を撮り、帰宅後に図鑑を調べて名前を知りました。

 

ヤマトユキザサ

 

 

 花の山に登り、顔見知りの花に会うと嬉しいものですが、未知の花に出会って知識が広がれば、充実感を伴う楽しさを感じます。

 

 還暦を過ぎても知らないことばかりです。

 

 歳を重ねても、初めての場所を訪ねれば未知の花に出会えます。

 

 植物園に足繁く通い、新しい知識を得る方法も、つい最近会得しました

 

 持つものを語るより、未知のルートに分け入り、新しい知識を得ることの方が、私の性に合っているようです。

 

 

 殆ど何も考えずに山を下りてきました。

 ふと、気が付けば目の前に、あの雪の塊が見えて来ました。 

 

 

 この雪の塊のおかげで、慎重な山登りとなって、無事に下山することができました。

 

 

 

 登山口に着いたのは13時50分頃でした。

 

 

 一息入れてから、和田小屋を右に、スキー場のゲレンデを駐車場に向って歩き始めました。

 

 その時、突然雨脚が強まりました。

 

 まるでバケツをひっくり返すような状況でしたが、私はそこでもう一度呟きました、

 

 「色男はいつも濡れるもんさ」

 

 

 

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お花畑

2013-07-11 16:57:00 | 花の山

 

 苗場山の頂上周辺に30分ほども居たでしょうか。

 

 当初の予定では、花の写真を撮りながら2時間程の滞在を考えていたのですが、山頂周辺に雪渓が残り、本格的な花のシーズンはまだ先のようです。

 

 

 更には、高湿低温で無風なためにブヨが飛び回り、とてもゆっくりする気分にはなれませんでした。

 

 

 

 山頂湿原は、花のシーズンには少し早すぎたようです。

 

 多分7月の三連休辺りから花が咲き始めるのかもしれません。

 

 しかし下山する途中、神楽ヶ峰へ通じる鞍部には雪を認めましたが、雲尾坂を下る途中から花を目にするようになりました。

 

 

 雨の中を登る時には気付かなかった花も視野に入ってきます。

 

 

  ハクサンチドリ                 カラマツソウ

 

 今回フィルムカメラと三脚を背負って来ましたが、フィルムで撮影する場合は、明るさが不足すると花本来の色が出ないので、カメラはずっとリュックに入れたままでした。

 

 

 雲尾坂を下った頃、雲の切れ間から時々陽が差し始めたので、鞍部の「お花畑」辺りからフィルムカメラの被写体を探す目になっていました。

 

 

     オオバキスミレ          クモマニガナ

 

 しかし三脚を構えたくなるような、花に傷みの無い別嬪さんの花にはなかなか巡り会えません。

 

 振り返えれば、下ってきた山稜は相変わらずの雲の中です。

 

雲尾坂を背にしたコバイケイソウ

 

 頂上周辺とは僅か100m強の標高差ですが、鞍部で幾つかの花を目にすることができました。 

 

 

       オノエラン           ニコウキスゲ

 

 鞍部を過ぎ、神楽ヶ峰へ登る途中の雷清水で水を補給しました。

 

 この場所の水量は多くありませんが、この祓川コースでは、和田小屋まで飲用水が手に入らないのです。

 

 

 周辺にモミジイチゴやサラサドウダンなどが可憐な花を咲かせていました。

 

   

      モミジイチゴ                サラサドウダン

 

 先に紹介したベニサラサドウダンと違って、サラサドウダンは花の下部、写真の花は下を向いていますので上の方、が淡黄色です。

 

 

 雷清水を越えた辺りで来し方を振り返ると、雲に霞む雲尾坂とその左手に、白蛇のように蛇行する長い雪渓が姿を見せていました。

 

 

 

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苗場山山頂にて

2013-07-11 10:58:12 | 花の山

 

 山頂周辺の湿原には雪渓が広がり、点在する池塘が湿原独特の雰囲気を見せていました。

 

 

 そんな池塘の中にスゲが白い花を咲かせていました。

 

 

 相変わらず、空を雨雲が覆ってはいますが、風を全く感じません。

 

 

 池塘の水面は波立つこともなく、鏡のような静けさで鈍色の空を映し込んでいました。

 

 

 木道の脇ではチングルマが五弁の花を咲かせていました。


 その横に小さなピンクのイワカガミの姿も見えます。

 

 

 湿原の中を苗場山のピークへ向かって少しずつ登って行くと、西の方角に広がる湿原が見えてきました。

 

 天気が良い日に、湿原を散策すれば、多彩な高山植物と巡り会えるかもしれません。

 

 何と言っても苗場山は花の百名山なのですから。

 

 

 

 

 ピーク到着は10時10分でした。


 登頂が主目的の登山ではありませんが、けじめは付けておきたいものです。

 

 

 

 後学のために、苗場山頂ヒュッテの様子を確認してきました。


 一泊二食8500円、中学生以下6500円、素泊5500円、ビール550円、トイレ100円、宿泊予約は0257-67-2202 だそうです。

 

 

 申し添えますが、私は当ヒュッテとは何の利害関係も義理もございません。

 

 ただ、小学校高学年以上であれば、お弁当と雨具程度の軽荷で祓川コースを登り、親子で山小屋に泊り、湿原の高山植物を観察したら、素敵な夏休みになるだろうなと、アイデアが浮かんだ次第です。

 

 小屋から徒歩1分の場所に、夕日の綺麗なビューポイントがあると掲示されていました。

 

 

 ビューポイントは雲の観察にも向いているかもしれません。

 

 山小屋の横のテーブルをお借りして、持参した菓子パンで早目の昼食を摂り、再び雨が降り出す前に下山するにしました。

 

 

 

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ヒヨリ虫の囁き

2013-07-11 09:23:12 | 花の山

 

 つい最近まで雪渓があったと思われる場所にショウジョウバカマが咲いていました。

 

 

 漢字で書くと「猩々袴」ですが、赤い花を酒好きの猩々と言う動物、葉の様子を袴に見立てての命名だそうです。


 この花も株によって、かなり色の変化が見られるようです。

 

 ショウジョウバカマのすこし先が神楽ヶ峰でした。

 

 

 神楽ヶ峰を通過してしばらくすると、雲が切れ、目の前にポッコリとした頂きが現れました。

 

 しかもそこへ至る途中は、見た目で100メートル以上も下っています。

 

 

 雨は断続的に降り続いていました。


 このような状況になると、何時もヒヨリ虫が耳元で「引き返すことを考えたら」と囁きます。

 

   ヒヨル(=日和る)とは登山などで、頑張らずに安易な選択肢へ流れること。  

 

 登山計画書を出した祓川コースの出発口にも「山では引き返す勇気を持とう」と書いてありました。

 

 足は止めずに躊躇していますと、二人組の登山者とすれ違いました。

 

 「天気悪いですね、頂上へ行ってこられたのですか」


 「ええ、苗場山の頂上もずっとこんな感じでした」


 「頂上までは、まだ時間が掛かりますか」


 「そ~、1時間20分ぐらい、いや、1時間ぐらいで行けるんじゃないかな」


 「そうですか、有難うございます」


 「どうぞお気を付けて」

 

 そうですか、見た目程にはルートは厳しくなさそうです。


 1時間程度であればリスクは少ないと判断しました。

 

 此処まで来て引き返すのも、ちょっとですしね。

 

 神楽ヶ峰から先の鞍部へ、「せっかく登って来たのにな~」のボヤキが出そうな心境で、下りたくない道を下って行きますと、鞍部に「お花畑」の標識がありました。

 

 

 両側に谷が落ち込んでいて、周囲にハクサンボウフウなどの花が咲いています。

 

 南蔵王を思い出させるような尾根道が雲の中へと登って行きます。

 

 

 谷の中に残雪の姿を認めました。

 

 

 岩が露出した場所では手を添えて、雲尾坂と呼ばれる山稜を20分程も登ると、湿原の中に雪渓が広がっていました。

 

 

 東京では多分、ガリガリ君が欲しくなるような暑さなんでしょうね。

 

 

 

 雨は止んでいました。

 

 ゆっくりと、雪渓上の足跡をたどり、苗場山のピークを目指します。

 

 登り始めて、わずか3時間半で雪渓の上に立てるなんて考えてもいませんでした。

 

 前回の川苔山は、登り3時間ですから、要求される脚力にそれ程の違いはありません。

 

 「案ずるより産むがやすし」の結果となりました。

 

 

 

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