稜線に出ました。
樽前山のピークを仰ぐと、シンメトリックなフォルムが青空に浮かび上がりました。
山に登る醍醐味は、まさにこのような、アブストラクトな世界に巡り会えることです。
そして、このような世界に咲く花の奇跡を、私は言葉で表すことができません。
頂上へは、1時間も経ずに達することができました。
これほどまでの贅沢な体験が、千歳市街から、僅か2時間程で得られることが不思議です。
そうは言っても、標高1000mの山を侮ることはできません。
青空が見えていたピークも、瞬時に雲に包まれ始めました。
突然の雷雨に見舞われるようなことも、山では珍しくありません。
ここは、神様がお治めになられる領域なのです。
そして、神様のお治めになる場所でしか体験できない現象に遭遇しました。
ブロッケンが現れたのです。
車を降りてから、僅か1時間程度歩いた場所で、このような体験ができるとは思ってもいませんでした。
しかしすぐに、山頂から雲は去り、樽前山外輪山のピークが姿を現しました。
下山路では、より輝きをましたタルマイソウと、
ウラジロタデから、元気をもらい、
深緑色に広がる森の向こうに、露草色に水を湛える支笏湖を眺めながら、
人住む里へと下ってゆきました。
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