goo

大千軒岳の樹木

2016-09-05 00:08:48 | 花の山

 

 

 歳を重ねる毎に、山野を歩けば、木々が饒舌に語りかけるようになってきました。


 花のない季節に感じていた寂しさが和らぎ、木立の中へ溶け込んで行けるようになりました。


 花の百名山 大千軒岳で出会い、語りあった木々達のプロフィールをご紹介致します。

 

 

 ミヤマハンノキ

 北海道、本州の大山、白山以北の亜高山~高山に生える落葉低木です。

 葉の縁に重鋸歯があり、側脈が直線的に葉縁に達します。

 葉の裏面は淡黄緑色です。

 北海道では低地にも生え、8mを超すものもあるそうです。

 

 

 ノリウツギ

 北海道、本州、四国、九州の山地に自生する落葉低木で、樹液を、和紙を漉く際の糊に利用したことが名の由来です。

 7月から9月にかけて、枝の先に小さな白い両性花を数多く咲かせ、その中に花弁4枚の装飾花が混じります。

 稜線上に花を咲かせたノリウツギの一株を運んできたのは、どんな渡り鳥なのでしょうか。

 

  

 ミヤマホツツジ

 北海道、本州中部地方以北、大山、蒜山の亜高山帯の林縁や草地などに生える落葉低木です。

 7~8月、枝先に総状花序を出し、3~8個の花を咲かせます。

 長さ5~10㎜の苞は楕円形~倒卵形で、花冠は3裂し、先が反り返ります。

 花柱は長く突き出て上に曲がることで、曲がらないホツツジと区別できます。

 

 

 

 ミネザクラ・タカネザクラ

 北海道、本州中部地方以北の深山に生える落葉小高木です。

 葉は長さ4~9㎝の倒卵形、倒卵状楕円形で先が尾状に長く尖り、縁に重鋸歯があります。

 普通葉柄に毛はなく、上部に2個の腺点があります。

 葉柄などに毛があるものをチシマザクラと区分していますが、変異は連続的だそうです。

 

 

 

 オオカメノキ

 北海道から九州の冷温帯、亜高山帯に生育する落葉小高木です。

 対生する葉はほぼ円形で平行する側脈が目立ち、縁に鈍鋸歯があり、基部が湾入します。

 4~6月に白い小さな両性花を咲かせ、その周囲を白い5枚の花弁の装飾花が飾ります。

 長さ8㎜の球形か楕円形の核果は夏に赤く、秋には黒く熟します。

 

 

 ダケカンバ

 北海道、本州中部以北、四国の亜高山帯に分布する落葉高木で、北海道では平地にも見られます。

 シラカバに似ていますが、シラカバよりも更に高い場所にも分布します。

 シラカバとは側脈の数、樹皮の色合い、葉の基部の形、枝が落ちた後の幹に残る模様、などで見分けますが、分布が重なる場所では判断に迷う場合があります。

 

 

 ハウチワカエデ

 北海道から本州にかけての低山帯から亜高山帯の山地に生育する小高木~高木です。

 大きな葉は対生し、9~11裂、基部は心形、裂片は卵形で先が尖ります。

 縁に重鋸歯があり、葉脈は凹んでシワ状に見えます。

 

 

 アカミノイヌツゲ

 北海道、本州中部以北の深山や高山に生える常緑低木です。

 葉は互生し、長さ2~3㎝の卵形、長楕円形で、葉の先半分の縁に浅い鋸歯があります。

 雌雄異株で、6~7月頃に白い小さな花を、雄株は1~3個、雌株は1個ずつ付け、径7㎜程の実を赤く熟します。

 

 

 

 イチイ

 北海道、本州、四国、九州の山岳地帯に分布する雌雄異株の常緑高木です。

 北海道では低地にも自然分布します。

 別名はアララギ、北海道などではオンコとも呼ばれます。

 葉は長さ1.5~2.5㎝の線形で、螺旋状に付きますが、横に伸びた枝では左右に2列に並びます。

 変種のキャラボクは葉が2列に並ぶことはありません。

 写真の木も全てが螺旋状でしたが、キャラボクは北海道に分布しないとされていますので、イチイとしましたが、中間型もしばしば見られるようです。

 

 

 

 ミヤマヤナギ

 北海道、本州中部以北の亜高山帯から高山帯の尾根や原野に生える落葉低木です。

 葉は4~9㎝の楕円形、倒卵形ですが、変異も多いようです。

 葉の縁に波上の鋸歯があり、葉脈は葉表で凹み、葉裏に隆起します。

 5月~7月頃、葉と同時に、円柱状の尾状花序を立てます。

 

 

 

 ハリブキ

 北海道から近畿、四国の亜高山帯に分布する雌雄異株の落葉低木です。

 葉は長さ20~40㎝で掌状に5~9裂し、葉の両面や、葉柄、幹に鋭いトゲがあります。

 6~7月、茎の先に円錐花序を出し、緑白色5弁の小さな花を多数咲かせ、8~9月頃に、7㎜程の楕円形の赤い実を稔らせます。

 

 



 今回ご紹介した木や花は、全てが下の写真のような、ササ原が広がる尾根筋で目にしたものばかりです。


 全ての樹木はササの背丈を越えることはありませんでした。


 標高は1000mにも満たない場所ですが、冬は日本海からの激しい季節風に晒されるのでしょう。


 雪に埋もれ、烈風から守られなければ、植物は冬を越せないのだと思います。


 束の間の夏に咲く花と、稔り急ぐ木々の姿を目に焼き付けながら、花の百名山を後にしました。



 

 

 ※他の記事へは 花の山  index  をご利用下さい。

 

 他の旅の記事へは 旅の目次 をご利用下さい。


goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。