夕張岳林道終点の車の中で一夜を明かしました。
周囲には多くの車が停められていますが、隣の車にも人の気配を感じます。
パンとコーヒーで朝食を摂り、5時半頃に歩き始めました。
林道終点の先の砂利道を歩いてゆきますと、エゾアジサイが清しい色に花を咲かせていました。
集中豪雨によるものなのか、砂利道が大きく抉れている場所を目にしました。
シューパロ湖から先の林道も、天候次第で、通行不能となる可能性は十分にあります。
山では常に、天候には十分に注意しろよと、抉れた道が諭してくれているようです。
沢音が聞こえる砂利道を、ゆったりした足取りで進んでゆきます。
路傍に育つフキの葉に朝露が光ります。
咲ききらないヨツバヒヨドリが、瑞々しい若竹色に、魅力的なギザギザ葉の造形を魅せていました。
スタート早々に、何気ない花の、短い夏の最も美しい瞬間に出会えました。
15分程で、夕張岳冷水コースの登山口に到着し、入山者名簿への記帳を済ませました。
シラカバ林の中に続く、踏み固められた登山路をゆったりした足どりで登り始めました。
針広混交林の中、爽やかな朝の山道をアダージョのリズムで歩を刻んでゆきます。
エゾノレイジンソウが緑色を帯びた白い花を咲かせていました。
森が目覚め始める朝の一時、エゾノレイジンソウの慎み深い風情に心が和みます。
オオカサモチが、舞踏会を照らすシャンデリアのような、見事な花を広げていました。
目にする花や、木の葉のそよぐ気配に、小さな漣のような喜びが生まれ、それが胸の奥底へと降り積もってゆきます。
相棒の森さんは、札幌マラソンを完走するほどの健脚の持ち主です。
私のペースに配慮して、私を先に歩かせてくれています。
森さんの気遣いを有難く思いながら、山の花を楽しみながら、ポレポレ(ゆっくり)と歩を進めてゆきました。
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