登山道の脇に、エゾマツの大木が頻繁に姿を見せていました。
エゾマツの葉を観察すると、枝の上側に付く葉は短く、枝の横や下側に付く葉は長いことが分かります。
日頃東京の植物園で楽しみなが観察し、知り得た知識を、遠い北国の自然林で再確認することができました。
マツの葉が恵比須顔で私に笑いかけているようにさえ思えます。
こんなことを切っ掛けに、喜びのコロポックルが、私の胸の奥で踊り始めました。
登山道に顔を覗かせた円い葉はオオカメノキです。
葉の腋にライトグリーンの実を稔らせていました。
秋ともなれば、実は赤く染まって、道行く人の目を楽しませてくれることでしょう。
登山道の傍で、木立の間の僅かな空を映した水面に、水草のヒルムシロが憩いの時を過ごしていました。
静かな時の流れに身を委ねる水草は、隠れ里に慎ましく暮らす村人のような風情を漂わせます。
明るいトドマツの林の中に道は伸び、
ミズバショウの葉が繁茂する谷地を覗き見た先に、
万計山荘まで2.7kmの標示が現れました。
沢を渡った標高367mの場所からここまで、40分程の時間が経過しました。
しかし、道はあまりにもなだらかで、登って来た意識は全くありません。
しかし、エゾノレイジンソウなどが姿を見せ始め、植生に少しずつ変化が現れるようになりました。
そんな時、歩を進める足元に、散り落ちた一輪の、白いサルナシの花を見かけました。
周囲の路傍に聳える木立を見上げましたが、梢高く葉は茂り、枝先に咲く花の姿を確認することはできませんでした。
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