ミヤマホツツジが、他の山では見せないような華奢な体に薄紅色の花を飾っていました。
火山礫が広がる、雨風を遮るものがない過酷な土地で、命を研ぎ澄ませながら咲く花の美しさは、見る者の心を打つものがあります。
ウラジロタデが朝日を浴びて、礫の中で花の季節を謳歌していました。
斜面を駆け昇る風が水蒸気を運び、それを命の露として花を咲かせているのでしょう。
過酷な環境に生き、花を咲かせたタデの姿に、命極めるものの美しさを見る思いがします。
眼下に針葉樹の森が広がっていました。
そしてその上に、浅い緑の潅木帯が続き、
更にその上に、選ばれたものだけが花を咲かせることのできる、礫累々の地が、空に向かっていました。
タルマイソウはそんな場所で、プリマドンナを演じていました。
赤褐色の斜面の先の、筋雲にデザインされた青空は、夏の季節の楽しさを告げています。
地上で灼熱に燃える太陽は、この地では淑女のような光を降り注いでいました。
そんな場所に、タルマイソウが位置を占めています。
繰り替えしますが、私は、こんなにも活き活きと花を咲かせるタルマイソウを初めて目にしました。
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