大千軒岳新道登山口の駐車場を出発したのは朝の8時半でした。
そんなふうに書くと、普通であれば山の頂へ向かうことになりますが、今回は既に登頂済みなので、次の目的地である、目国内岳へと車をはしらせました。
昨晩は、思いのほか寝付きが早かったので、予定以上に早く目が覚めて、全てのスケジュールが前倒しとなりました。
しかし、予定など有って無いようなものですから、旅する船の全ては帆任せ、風任せです。
船頭は成り行き任せで、ナビに目国内岳の登山口を入力すると、走行距離は約250㎞、到着予定時間は17時30分と示されました。
途中で温泉にでも浸かって、のんびり行こうと、この時は考えました。
信号も渋滞も、コンビニなどもめったに見ない、道路本来の機能を存分に発揮する、北海道らしい国道を順調に走り続けました。
そして13時40分、船頭は目国内岳登山口のパーキングで車のエンジンを停めたのです。
「こりゃ、随分早いな!」って思いましたが、平均時速50㎞で5時間はしれば、到着しても不思議ではありません。
事前の調査で、ここから目国内岳山頂への往復は4時間です。
日没は19時頃のはずですから、今からでも登頂は十分に可能と考えました。
判断できれば、タイミングは逃さないのがポリシーですから、13時48分には身支度を終え、躊躇なく山頂に向かって歩き始めていました。
午後の山は雲が掛かり、見晴は良くありませんが、花を見るのが主目的なので、気にしないことにしました。
登山道がササの間を登ってゆきます。
一定のペースで、単調なリズムを刻み、10数分程も進みますと、樹の幹に「二合目」の札がぶら下がっていました。
もう二合目!
これなら大丈夫と登頂を確信します。
手入れの行き届いた登山道が続いていました。
誰かが、ササを刈ってくれているようです。
山に遊ぶ登山者の為に、汗を流す方々がいらっしゃると思うと、申し訳ないような、有難いような気持ちになります。
そして、三合目を過ぎてからは、
登山路の先に、ササの回廊が続いていました。
見下ろせば、少しずつ標高が上がってきたことを実感します。
登り続ける登山道の周囲は、鼠色に薄い青の絵具を流し込む色に染まっていました。
静かで、何も変わらない、悠久の時は、きっとこんな色なのだろうと思います。
登山口から30分程も登った頃に、前目国内岳山頂の標識に出会いました。
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