銭湯の散歩道

神奈川、東京を中心とした銭湯めぐりについて、あれこれ書いていきます。

千代の湯(東京・三軒茶屋)

2017-07-28 06:58:42 | 銭湯
三軒茶屋では居酒屋が軒を連ねる三角地帯が有名であるが、その三角地帯の一角に、昔から姿を変えずに営業している銭湯がある。それが千代の湯だ。
知る人ぞ知る銭湯らしく、恐る恐る覗く人や、通り掛かりに「ここが千代の湯だよ」と口にする人がいるなど、三角地帯にとってはランドマーク的存在である。



▲三軒茶屋駅を降りる


▲非常ににぎやかな場所。昔から若者に支持される街である


▲国道を歩いていくと


▲ちょっと行き過ぎてしまい


▲戻った横断歩道の先に煙突がみえる


▲千代の湯の文字が


しかし、こっちからだと道がよく分からなかったので、面倒だけど向かい側からグルッとまわることに



▲三角地帯の迷路に突入


▲はたしてこっちでいいのか、不安に思いながら突き進む


▲すると、目の前に煙突があらわれ



▲バラックの入り口。もはや昭和というよりも戦後間もなくの姿だ


▲そして、店の前にはこういうお洒落なお店が軒を連ねている。こういうギャップが都会的な感じでもある


▲この奥に入り口がある


下足箱のところに入ると、目に飛び込んでくるのが監視カメラ。そういえば、途中のコインランドリーにも監視カメラがついていた。やはり都会ゆえに物騒なのだろうか?
入り口の左側には、さらに奥に進める道があったが、どこに通じてるのかは分からなかった(別の出入り口かもしれない)。
それと下足箱のところで「ありがとうございました」とテープの音声が流れる。入ったばかりなのだが、その「ありがとうございました」の声がしつこい。
ちなみに帰るときは、なぜか「いらっしゃいませ」だった。


靴を預けると、中に入れば番台だ。見た感じ80代ぐらい?のおばちゃんが座っていた。夏バテか高齢のせいなのか、あまり元気がない様子だった。
脱衣場の入り口には、くまのプーさんやラスカルの小さなぬいぐるみがケースに入れられている。ほかは、まわりを見渡すと、驚くほどの古色蒼然とした老朽ぶりだ。
そこそこ銭湯をみてきたけど、ここほど大時代的な建物は珍しい。


中の配置はというと、背の低い島ロッカーに、左側の壁際にもロッカーがある。その奥には謎の入り口があるが、おそらく物置かなにかだろう。
浴室入り口の横には洗濯機が並ぶが、その洗濯機も凄く年季が入っていて、果たして稼働するのか?と思っていたら、ちゃんと入浴客が使っていた。
脱衣場の入り口横にもマッサージチェアなどがあるのだが、いつの時代のものなのか想像もつかないほど古い。
体重計もアンティークと呼んでいいレベルの古さ。しかし乗ってみたところ、精度は問題なかった。


浴室は扉がガラス張りなので脱衣場からもよく見えるのだが、こちらも筋金入りのクラシカルである。
カランのシャワーだけはどこかで新しく変えているだろう。ただ、このシャワーがクセ者で、まったく勢いが足りない。これほど使えないシャワーは初めてだった。ここでは桶を使って体を流すのが正解だ。


配置は、島カランが真ん中にあって、両壁にもカランが並ぶ。それと、左奥にはスチールサウナ。けっこう熱気がこもっていた。しかし入り口の立て付けが非常に悪く、閉めたつもりでも、気がつくと開いていた。焦ってすぐに閉めたが、使う人は要注意である。


浴槽は、奥にあって二つに分かれている。6:4ぐらいの割合。
6側が浅浴槽で、ジェットバスが並ぶ。4の方は深浴槽。特になにもなかった。


温度は、真ん中で通じているので両方とも同じ45℃。東京での45℃以上は遭遇率が低いので、けっこう嬉しい。
それと白湯と書いたが、一応ラジウム温泉を標榜している。石和田章三先生の名前を久しぶりに目撃した。


客はかなり少なく、自分が入ったときで18時半ぐらいだったが、そのときは3、4人いたものの、帰るときは19時ぐらいで、入浴客はゼロ。
賑わうはずの時間帯に入浴客ゼロは、かなり寂しい気がする。
知名度が高い割には人が少ないと思った。たしかに、物珍しさで来る人は多いだろうけど、日常的に利用するとなると、設備に関しては微妙なところである。


最後は脱衣場も含め誰もいなくなったので、申し訳ないと思いながら番台で寝ているおばちゃんを起こすと、「すみません。誰もいないので建物の中の写真を撮らせてもらってもいいですか?」と尋ねたら、「ごめんね。ぜ~んぶお断りしてるのよ」と断られた。
「ぜ~んぶ」と強調するぐらいだから、今までに相当お願いされてきたのだろう。考えることはみんな一緒のようである。
非礼を詫びて千代の湯をあとにしたのだが、それだけ多くの人を魅力する建物なのだと、改めて再確認した。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 三軒茶屋駅
経路 三角地帯の深部
周辺の環境 お洒落な飲食店
●空間演出
建物外観 バラック、陋屋
壁画・眺望 古典的な富士山
統一感 あり
置物 くまのプーさんやラスカルのぬいぐるみ
照明 暗い
★設備
休憩所 脱衣場のマッサージチェアぐらいか
脱衣所 ふつうの広さ
シャワーの出 わるい
浴槽の種類 ジェットバス、ラジウム泉
サウナ スチームサウナ
温度 45℃
棚 なし
男女入れ替え なし
■サービス
接客 マイペース
清潔さ 老朽化とともに汚れが目立つ
貸しタオル あり
備え付け あり(これが意外だった)
◆人
受付 80代ぐらいのおばちゃん
客層 中高年ばかり


【案内】

住所
〒154-0024
世田谷区三軒茶屋2−12−7

電話番号
03-3410-2535

アクセス
東急田園都市線「三軒茶屋」駅下車、徒歩2分

休日
金曜

営業時間
16:00−25:00

※東京銭湯ホームページ転載