Snowmint

Ca m'est reste dans l'esprit.

「ビーイング・ピース」 ティク・ナット・ハン

2007-12-23 | BOOK
神様を信じている人は幸せだ、と思う。
信仰によって悲しみを乗り越え、日々の幸せに感謝することを知っている。
近い身内が寺の住職ということもあり、仏教は身近にあった。
しかし私は無神論者。
深い理由があってのことではないし、仏教については何の異論もない。
教えは素晴らしいし、学問としては面白いとも思う。
ただひとつ疑問に思っていたのは、なぜ日本の宗教家の中からは、マザー・テレサのような人が現れないのだろうか、ということだった。
お付き合いのあったお坊さんの中には、素晴らしい方々がたくさん居た。
人の話をよく聞き、教えを説く。人間として大きく寛容。
しかし、彼らが財をうって人助けをしているとお話は、聞いたことがない。
(しかしこれは私の周りだけの話なので、他の宗門ではあるのかも)
寺を手伝っていた頃に、複雑な人間関係やお金の流れ、宗門の裏表を見過ぎたというのも、素直に南無妙法蓮華経が唱えられない一因かもしれない。

そんなことをグズグズと言っていたら、
学生時代の友人の奥様が、この本を薦めてくれた。

仏の教え ビーイング・ピース―ほほえみが人を生かす (中公文庫)
ティク・ナット ハン,Thich Nhat Hanh,棚橋 一晃
中央公論新社

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勧められてすぐに買い、読もうと思いつつ手元に置きながら、なかなか読めずにいた。
ページを開き、何行か読み、
あぁこれは、なんとなく読んでしまうのはもったいない、と思ったからだ。
自分にこの本を読む準備ができたときに読もうと思った。

その準備が出来ていたのかどうかは分からないが、
今、読みたいという気持ちになり、この週末に読み終えた。

難しい言い回しなどはなく、とても読みやすい。
どんな人にも理解できるようにと、教えを難しい言葉で諭すのではなく、具体的な例を挙げ、優しく生きる道を説いてくださっている。
あとがきにもあるように、東洋的な叡知と実践は、私たち日本人には当たり前すぎ、分かりきっていると思える部分もあるかもしれない。
しかし、分かりきっていても忘れている、実践できないことは多い。
そんなことを思い出させてくれる。
微笑が世界を変えるという発想は、私の大好きなフランスの哲学者アランの「幸福論」にも通じるものがあるような気がした。


心がリセットされるような本だった。
そうそう、私は仏教に対しては、本当に、何の異論も無いのだ。
しかしやはり、遠い国でこういう活動をしている方を知るほどに、
どうして日本の仏教会には、こういう方が現れないのだろうかと、また深い疑問に陥ってしまうのだ。

著者のティク・ナット・ハン氏はヴェトナムで生まれ、十代で出家、コロンビア大学・ソルボンヌ大学などで教鞭をとっていたがヴェトナムへの帰国不可となりフランスへ亡命、現在はフランスに仏教者のコミュニティを作り難民救済活動などを行っている。


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2 Comments

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マザーテレサ (薗田)
2007-12-25 17:44:11
心に染みたマザーテレサの言葉を紹介しておきますね

『世界には貧しい国が2つある
ひとつは物質的に貧しいインド
もうひとつは、世界でこれだけ苦しんでいる人がいるのに無関心でいられる日本』

泣けてきますよね
何をどうしていいのやら・・・
この言葉を聞いてから、何事にも無関心でいられない自分がいます

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薗田さん♪ (mair)
2007-12-27 22:52:45
マザーテレサが来日し、新幹線で出された水の紙コップが使い捨てだということに驚き、持ち帰ったというエピソードがあります。
これを聞いたときに、日本は富みながらも病んでいると思いましたが、やっぱり自分は紙コップを使うし、それを捨ててしまう。
思っていることと出来る事の差に矛盾を感じますが、
出来ることをやれば良いし、何かを心がけている心が大切なのだと、今はなんとなく自分を甘やかしています・・・。
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