朝、PCを開くと
岸野さんからmessageが届いていた。
「フランスから友人が来ています。明日、もし時間があれば、彼等の案内を頼めないでしょうか?」
岸野氏は、先日のフランスツアーの映像まとめが忙しく、どうしても現場を外せないらしい。
お客様はフランス人夫妻と、6ヶ月の赤ちゃん。
彼等は日本語はまったく話せないと言う。
大丈夫なのか? 私で大丈夫なのか? 私でいいのか?!
・・・・・。
身支度をしながら電話をすると、
「大丈夫、大丈夫、彼等は英語も話せるから」と岸野さん。
え?!私、英語だめなんですけど! フランス語よりも英語の方が苦手です。
奥さまの
Josは7年前からヒゲミボをフランスに招いてくれているキュレーター、
旦那さまの
Danielは映像作家。
そんな彼等の行きたいところは決まっていた。
ENSEMBLES 09『休符だらけの音楽装置』展
昼間は
ICCのイベントに行っていいるというので、初台のデニーズで待ち合わせをした。
仕事を終えた夕方、約束の時間にデニーズに着くと、入り口にベビーカーを押した女性が立っていた。
「Jos?」と聞くと、彼女はニッコリと笑顔でうなずいた。
フランス語で簡単な挨拶を済ませ、
「でも私はフランス語はそんなには話せないの」とフランス語で言うと、
彼女は私から仏語が出たことに驚き、
restroomから戻ってきたDanielに、
「彼女はフランス語が話せるのよ!!」と言った。
いえいえ、だから、あまり話せないんですって。
「それでは英語の方が良いですか?」
いいえ、françaisで話しましょう・・・。
ということで、ここからは全て、フランス語会話。
岸野さんは私について、名前しか伝えていなかったらしい。
初台から末広町に出るには、交通があまりに不便。
なので京王線で新宿に出て、JR中央線に乗り換えてお茶の水、そこからはタクシーで会場に向かうことにした。
会場は、廃校になった中学校の屋上。
う~ん、よく分からなかったけど、Josは「Tres bien!」と言い、音の出る装置に赤ちゃんは大喜びだった。
ちなみに、写真撮影は禁止。
一通り見た後で、
「疲れていますか?あなた達にもし時間があれば、これから岸野さんが仕事をしている学校へ行きますか?」
と聞くと、
「息子もお腹が空いているし、私たちも疲れたので帰りたい」と彼女。
もちろん、D'accord.
銀座線から丸ノ内線に乗り換えて赤坂まで帰ると言うので、
それなら溜池山王からタクシーに乗ったほうがいいと勧めた。
銀座線に乗ると、彼女が
「岸野の学校は銀座にあるの?」と聞いてきたので、
いいえ、京橋。でも銀座からも近いですよと答えた。
すると、電車が京橋に近づいた瞬間、
突然、彼女が降りると言い出した。
え?!でも疲れているでしょう?赤ちゃんもお腹が空いているし・・・
と言っても
「YUICHIに会いに行く、彼に会いたい」と引き下がらない。
私達(Danielと赤ちゃんと私)は彼女に従った。
美学校に着き、赤ちゃんにミルクをあげて、やっと一息。
彼らも岸野氏のスタッフと交流し、仕事の話も出来た。
映画美学校、
実は私、初めて入りました。
ここも取り壊しが決まり美学校は移転する予定であるので、その前に行って良かった。
古い建築物がどんどん無くなってしまうのは、本当にもったいない。
彼らはとても素敵な人たちだった。
私の拙いフランス語にも、根気よく付き合ってくれた。
それは、深く優しい気持ちが無くては出来ない事だ。
帰りぎわ、赤ちゃんを抱っこしたDanielが私に、
「僕はこの子にフランス語では話し掛けないんだ」と言った。
最初、何を言ってるのか分からなくて、「は?」という顔をしていたら、Josが
「彼はドイツ人なのよ。だから子供には私がフランス語で、彼はドイツ語で話し掛けているの」と言った。
え~!?全然気が付かなかった!
相変わらずダメな私・・・。
それにしても、赤ちゃんて幸福の塊のような存在ですね!
かなり癒されました。
ほんの3時間ほどの東京案内だったが、素敵な夜だった。
Josの「Mariko」と私を呼ぶ声がとても美しく、心に響いた。
美しいと感じる音が自分の名前であったことが、とても嬉しかった。
Merci, Jos et Daniel,
Au revoir et à bientôt!
et merci KISHINO san・・・
C'est mon ami depuis que j'ai 16 ans.
これはJosが私にプレゼントしてくれた手作りの薔薇の花

カワイイ!