Snowmint

Ca m'est reste dans l'esprit.

白金台 「クレオール」

2006-08-06 | フレンチ・洋食屋
二ヶ月ぶりに、友人主宰のマナー教室に参加。
もう何度も行われているが、私は二度目。
かなり忘れていた
やっぱり、定期的に習わないとダメですね。

お料理は、まずはアミューズにマグロの炙り。
ぱらりとかかったガラムマサラのパウダーがアクセントとなっていて、美味しい。

このアミューズの前に、オリーブを二種、サービスで出してくださったのだが、これも旨く、パクパクといくつも食べてしまった。
「こういう、サービスで出してくれるものが美味しいということは、お料理も美味しいということ、期待が膨らむでしょう?」
という先生の言葉にうなずく。

パンも然り。自家製だというパンが旨い所は、料理も旨い。
そうそう、こちらはパンも美味しい。
食べ過ぎないようにしなくっちゃ。

次に、オマールエビと野菜のテリーヌ。
綺麗なだけでなく、エビと野菜、寄せられたゼリーのお味に、一体感がある。
ここで、ゼリー寄せの、ナイフを使った美しい食べ方を習う。

そして、ヴィシソワーズ。
このお教室で、私はスープの飲み方が上手になった。

メインは豚肉のカイエット。
豚肉を手切りし、セージと共に網脂で包んだもの。
その下にはラタトゥーユ。
お肉がひき肉ではないからか、とてもジューシー。

そしてデザートは、桃のコンポート。
パリッとしたカラメルと、グラニタ添え。この組み合わせが、素晴らしかった!
少しお酒の風味のあるグラニタで、最初の口当たりはひんやり、そして桃はトロリと柔らかく、口に入れるとカラメルがパリパリッ!

最後の飲み物に、ハーブティを頼んだ。
レモングラスだけでなく、オレンジの香りもする。
カモミールやハイビスカスが、それに包まれているような、
柔らかく、やさしいお茶だった。

お茶には、いつもプチフールを三種、添えてくださる。
小さなマドレーヌとチュイール、そしてメレンゲのお菓子。
私はこのメレンゲのお菓子が大好き。
軽くてふんわりとした甘いものって、幸せ~。

お料理も美味しいのだが、このマナー教室は、先生のお話も楽しい。
ただ、一方的にマナーを押し付けることではなく、
100%正解のマナーなど無い、楽しく食べましょうというスタンスで教えてくださるのだ。
そして、ただこうしなさいと言うだけでなく、どうしてこの作法が必要なのかということも。
こうしたマナーにまつわるお話を聞くのも、このお教室の楽しみである。




『映画の記憶』

2006-08-06 | EVENT
尾道で知り合った方に誘われ、渋谷UPLINKで、『映画の記憶』を観た。
古い映画の好きな息子も誘い、久々息子とデート。

『映画の記憶』とは、松田完一さんのインタビュー映画。
数年前、岡山映画祭で上映されたものである。


  松田完一氏とはどのような人であるのか。
1921年11月、岡山市西大寺町に生まれる。生家は料亭「大一(だいいち)」を営む。
時は、日本映画最初の黄金時代の始まる頃であり、料亭の若い人に連れられて、もの心つく頃から映画に親しむ。
'75年、それまで折にふれて集めていた、映画のポスター、スチール等を展示する「岡山映画資料館」を開館。(現在は閉館) 
'80年、世話人として「岡山古典映画愛好会」を立ち上げ、無声映画の紹介につとめる。
後にこの会で、休演した弁士の代役を見様見真似でやったのが、その後弁士をつとめた最初である。
野村芳亭監督「不如帰」を含む貴重な16ミリフィルム38本を、先日、広島市の「映像文化ライブラリー」に寄贈。台湾で最初の映画と言われる「義人呉鳳」の16ミリフィルムの台湾への寄贈とともに、映画文化に大きく寄与した。


映画の中では、
成瀬巳喜男「チョコレートガール」'32
山中貞夫「盤嶽の一生」'33「足軽出世譚」'34「磯の源太 抱寝の長脇差」'32「人情紙風船」'37
溝口健二「浪華悲歌」'36
水久保澄子、山田ライオン(弁士)、尾上松之助、片岡千恵蔵、市川春代、水の江澄子、三枡豊、ジーン・アーサーなどについて語られている。

映画の中でのインタビューも興味深かったが、
上映後、松田さんを向かえて行われた、日本大学芸術学部教授 田島良一さん、無声映画伴奏者 柳下美恵さん、「映画の記憶」聞き手 中原省五さんとのトークも楽しく、面白かった。

無声映画は、もうフィルムの無いものが多い。
見た人の記憶の中にしか存在しないのだ。
山中貞夫監督作品は、トーキーになってからのものでも三本しか残っていない。
しかし、『山中さんの作品は「磯の源太 抱寝の長脇差」が一番面白い』などという話を聞くと、観たくてたまらなくなる。
松田さんは、トーキーよりも無声映画が好きだったと言う。
「音楽があるでしょ?チャンバラなんかね、リズムがいいんですよ」と。

しかし、今の映画も観られるそうで、今でも映画館に足を運ぶのだそうだ。
「誰も知らないは良かったですな」とおっしゃい、あれも観たこれも観たと、いくつか洋画も挙げておられた。

「わたしのからだのどこを切っても、
血ではなくフイルムが流れとったらええですなぁ」 とは、松田氏の言葉。
市井の人でありながら、映画と共に、生きてこられたような方である。

イベントが終わり、「いいなぁ、羨ましいなぁ」と呟いたら、
「松田さんが映画に取り付かれたきっかけになった、山中監督の無声映画が一本も残ってないなんて、寂しいことだね」と、息子が言った。


この上映会は9/09にもある。
トークゲストは、映画監督 篠崎誠さんの予定。