3月23日(日)晴れ。
自宅の近くに図書館があるので、最近は、あまり本を買わなくなった。冗談では無く読み終えた本の置き場所が事務所になくなってしまったのだ。貧乏性なのでどうしても本を捨てられない。まあ、取っておいても、今時本の価値などほとんど無いのに等しいから、私にもしものことがあったら、一門の後輩たちに「好きなものを、好きなだけ持って行った良い」と言ってある。そんな訳で、図書館のお世話になっているのである。
何の書評で知ったのかは失念したが、今読んでいるのが高田文夫さんの『ご笑納下さい』(新潮文庫)。高田さんが「密かに尊敬している」というホリプロの創業者の堀威夫氏の言葉があり、ナルホドと思った。「月に一度くらい、顔を見て一杯呑みてぇなぁと思う奴と、よっぽどの用事がない限り顔も見たくない奴がいる。これが年をとってくると男の差となって出てくる」。
私も、「一杯やりてぇなぁ」と思われる男になりたいものだ。更に、高田さんが大病をして仕事を休んだ時に、ファンだという伊豆のお寺のご住職から来た手紙に「勝ちすぎない。負けすぎない。引き分けは勝ち一点だということを忘れないで下さい」とあったそうだ。これを読んだときに思い出したのが、生前の野村先生が大切にしていた柳生流の極意「所詮、勝負は相打ちにて候」という言葉。
高田さんは、私よりも三歳年上の方。お会いしたことはないが、その文庫を持って様々な「待ち時間」に読むのが楽しみで、読み終えてしまうのが、惜しくて珍しくチビリ、チビリと読んでいる。