エキスポランドの痛ましい事故の原因はいまだに調査中ですが、6月4日には足立区でタイヤブランコの吊り金具の脱落事故が報道されました。asahi.comでは脱落したブランコの画像が分かります。肝心なボルトは画像にはありませんが、スラストベアリングを確認することが出来ました。読売新聞紙上では金具のイラストを示していました。TVでも報道されたのでメーカーを特定することも出来ました。
この回転金具は最重要部材であり消耗部材に分類されますが、23年間良く持った、と言うのが正直な感想です。この回転金具は円錐振り子を支えながらタイヤ自体の回転をも滑らかにするという課題を負っているのです。ここで問題にしたいのは管理責任ではなくて設計思想です。
タイヤブランコ(全方向ブランコ)は複数で遊ぶことが楽しく、子どもたちには大変人気のある遊具ですが、荷重を支えるのが一本のボルトです。これが破断したらどのような事態になるかは容易に想像する事が出来るはずです。
この金具ではタイヤとチェーンをスラストベアリングで受けています。この選択は基本的に正しいのですが、単列スラスト玉軸受は構造上「開放型」しか市販されていません。最も一般的な単列深溝玉軸受ならばグリスを充填した「シール型」が市販されていて、油潤滑が不可能な遊具等の用途には向いています。開放型の場合はゴミの進入や腐食を避けることは出来ません。軸受けが回転不良に陥ると軸に負担がかかります。またラジアル方向の荷重に対してあまり考慮されていないと感じます。
冒頭に示した吊り金具は10年以上経過していますが健在です。シャフトはS45Cを旋盤加工後熱処理し、球面ジョイントはTHK製を二次加工して使っています。スラストベアリングでスラスト荷重を受け、ポリアセタール樹脂軸受けでラジアル荷重を受けています。組み込みは油圧で圧入しています。
写真では分かりませんがゴムカバーの内側にはステンレスのスプリングが回転金具とベースとを繋いでいます。シャフトが破断した場合にはスプリングが支え金具が子どもの頭に落ちないように設計されています。
以前に紹介した「我が家の花瓶」の記事でもロープウェイのワイヤーが上下2重になっています。これもフェイルセーフです。
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この回転金具は最重要部材であり消耗部材に分類されますが、23年間良く持った、と言うのが正直な感想です。この回転金具は円錐振り子を支えながらタイヤ自体の回転をも滑らかにするという課題を負っているのです。ここで問題にしたいのは管理責任ではなくて設計思想です。
タイヤブランコ(全方向ブランコ)は複数で遊ぶことが楽しく、子どもたちには大変人気のある遊具ですが、荷重を支えるのが一本のボルトです。これが破断したらどのような事態になるかは容易に想像する事が出来るはずです。
この金具ではタイヤとチェーンをスラストベアリングで受けています。この選択は基本的に正しいのですが、単列スラスト玉軸受は構造上「開放型」しか市販されていません。最も一般的な単列深溝玉軸受ならばグリスを充填した「シール型」が市販されていて、油潤滑が不可能な遊具等の用途には向いています。開放型の場合はゴミの進入や腐食を避けることは出来ません。軸受けが回転不良に陥ると軸に負担がかかります。またラジアル方向の荷重に対してあまり考慮されていないと感じます。
冒頭に示した吊り金具は10年以上経過していますが健在です。シャフトはS45Cを旋盤加工後熱処理し、球面ジョイントはTHK製を二次加工して使っています。スラストベアリングでスラスト荷重を受け、ポリアセタール樹脂軸受けでラジアル荷重を受けています。組み込みは油圧で圧入しています。
写真では分かりませんがゴムカバーの内側にはステンレスのスプリングが回転金具とベースとを繋いでいます。シャフトが破断した場合にはスプリングが支え金具が子どもの頭に落ちないように設計されています。
以前に紹介した「我が家の花瓶」の記事でもロープウェイのワイヤーが上下2重になっています。これもフェイルセーフです。
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エキスポランドの事故は、サイドにあったガードが致命傷を負わせる原因となりました。この辺はよくよく考えないといけません。
ジェットエンジンのスラストベアリングは、軸方向だけでなくラジアル方向の荷重変動にも対応するために、船ほかに使われるスラストベアリングとは様相をことにしています。
私の持っている材料力学の本に、航空機は軽量であることが求められるので安全率を大きく出来ない、とありました。
機体の構造にフェイルセーフが取り入れられ、他経路荷重構造の例が図示されていました。
SUBALさんのブログでも取り上げてくれると嬉しいです。特にイラスト期待!