271828の滑り台Log

271828は自然対数の底に由来。時々ギリシャ・ブラジル♪

ブランコ(中原中也 サーカス)

2009-10-17 05:56:50 | 遊具
今年は太宰治の生誕100年に当たり、TVでも特集番組が組まれています。知り合いのTV制作会社の方から「知る楽」が放映されていること教えて頂き、何とか再放送を早朝に見ることが出来ました。これまで良くあった人物評伝ではなくて、角田光代さんが作品そのものを語るという手法は良かったと思います。角田さんが取り上げた『女生徒』と『待つ』は未読でした。でも今では青空文庫で手軽に読める時代になりました。
太宰の『走れメロス』は国語の教科書にあって、読まされたことは記憶していますが、角田さんのようにのめりこむことはありませんでした。太宰は1909年に生まれ、私の生まれた前年1948年に自殺しています。今の私より20年も短い生涯だったのです。彼の生涯を少し調べると、中原中也と不仲だったと知りました。旧制の弘前高校から東大の文科乙(フランス語)に入学した太宰は殆ど大学にも通わず、教官の名前すら知らなかったと言われています。ランボーを訳出する実力のある中原から見たら、とんでもないグータラに見えたのでしょう。

私の場合、太宰は教科書の中だけで止まりました。むしろ中原中也に惹かれたのです。中原の詩との出会いは予備校のトイレの落書きで、以下の詩が書かれていたのです。

「サーカス」

幾時代かがありまして
  茶色い戦争ありました

幾時代かがありまして
  冬は疾風吹きました

幾時代かがありまして
  今夜此処(ここ)での一(ひ)と殷盛(さか)り
    今夜此処での一と殷盛り

サーカス小屋は高い梁(はり)
  そこに一つのブランコだ
見えるともないブランコだ

頭倒(さか)さに手を垂れて
  汚れ木綿の屋蓋(やね)のもと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

それの近くの白い灯が
  安値(やす)いリボンと息を吐き

観客様はみな鰯
  咽喉(のんど)が鳴ります牡蠣殻(かきがら)と
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん


     屋外(やぐわい)は真ッ闇(くら) 闇(くら)の闇(くら)
     夜は劫々(こふこふ)と更けまする
     落下傘奴(らくかがさめ)のノスタルヂアと
     ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

繰り返される「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」というフレーズは何時までも私の頭に残りました。そして大学時代には荒地派の詩人達の作品を多く読むことになったのです。
そして今、この「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」を物理的に理解すべく学生さん達と一緒に3軸の加速度センサーなど利用して揺動遊具のことを考えているのです。♪ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん♪

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