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「電子タバコ」パンデミック~米国で何が起きているのか

2019-10-06 | 医療、健康

https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20191005-00145393/

 米国では電子タバコによる呼吸器疾患の患者が急増し、亡くなる人も2桁になっている。パンデミック(伝染性の大流行)という表現も使われ、大きな社会問題になっている。いったい何が起きているのだろうか。

電子タバコでどんな病気になるのか

 米国CDC(疾病予防管理センター)によれば、電子タバコによる健康被害は、2019年10月3日の時点で48州と1つの米国領において1080の肺損傷症例と15の州で18人の死亡を報告している。患者の約70%が男性、約80%が35歳未満(18~20歳が約21%)だという。

 タバコを吸うと気管や肺などの呼吸器に吸い込んだ物質が触れ、あるいは身体中の細胞に入り込み、直接的に悪影響を及ぼす。その結果、肺がん、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、気管支喘息、鼻腔や口腔などの頭頸部がん、といった病気になる(※1)。だが、最近の電子タバコによる呼吸器疾患の場合、少し病気の種類が異なるようだ。

 ニコチンが添加されたリキッドを使う電子タバコは、日本を除く各国で売られている。電子タバコで病気になった事例はいつ頃から現れてくるのだろうか。

 例えば、急性好酸球性肺炎(Acute Eosinophilic Pneumonia)という病気がある。日本から加熱式タバコ(アイコス=IQOS)を吸ったことで急性好酸球性肺炎になったという症例報告があるが(※2)、電子タバコでもこの病気になる危険性はありそうだ。

 以前から、タバコを吸うと急性好酸球性肺炎という重篤な肺炎になることが知られていたが(※3)、この病気はわりに珍しく(※4)、他の肺炎と紛らわしいため、症例報告に上がりにくかった可能性もある。好酸球というのは白血球の一種でアレルギー反応を制御する。タバコに含まれる物質が劇症のアレルギー反応と好酸球の活性化を引き起こすのではないかと考えられている。

好酸球性肺炎よりもリポイド肺炎か

 では、電子タバコを吸ったことによる急性好酸球性肺炎の症例報告はあるのだろうか。

 過去の文献を検索すると、2009年に出版された急性好酸球性肺炎の症例報告のレビュー(※5)には、紙巻きタバコによる論文は紹介されているが、まだ電子タバコについての言及はない。

 電子タバコを吸って急性好酸球性肺炎になったという症例報告は、2014年に男性で1例(※6)、2019年に女性で1例(※7)あるだけだ。最近の電子タバコ騒ぎで入院した患者17人の肺細胞の臨床検査によれば、好酸球はあまり見られなかったらしい(※8)。

 結論を出すのは早いが、おそらく今回の電子タバコの健康被害は急性好酸球性肺炎ではないのかもしれない。

 ところで、電子タバコを吸うことによる呼吸器疾患の問題がクローズアップされるのは2012年になってからだ。しかし、2012年前後の段階では電子タバコによる健康への害は不明で、リキッドに含まれるグリセロール、プロピレングリコール、ニコチン、添加された香料などを容疑者として探索が続けられていた(※9)。

 電子タバコによるグリセリンはリポイド肺炎(Lipoid Pneumonia)という、これも珍しい呼吸器疾患との関連が示唆され、例えば呼吸困難とひどい咳、発熱で入院した42歳の女性の事例では、約7ヶ月前から電子タバコを吸い始めてから症状がひどくなり始めたという(※10)。

 リポイド肺炎というのは外因性の場合、パラフィン(流動パラフィン≒ベビーオイル)などの油性物質を吸い込んだり誤嚥したりして起きる急性の肺炎だ(※11)。肺の内部にべっとりと油成分が貼り付いて呼吸機能を阻害する。幼児が誤飲することが多く、火を噴くパフォーマーがパラフィンを使って誤嚥し、リポイド肺炎になるという症例も報告されている(※12)。

 2016年に出された電子タバコを吸った症例報告のレビュー(※13)では、25人の患者に健康への悪影響があった。そのうち呼吸器系の症例報告が6例あり、内訳は外因性のリポイド肺炎2例、気管支炎、急性好酸球性肺炎、肺炎、過敏性肺炎がそれぞれ1例となっている。

 今年2019年7~8月に米国ノースカロライナ州の2つの病院で、電子タバコを吸ったと思われる呼吸困難の患者5人が治療を受けたが、5人とも急性の外因性リポイド肺炎との診断だった(※14)。だが、前述の肺細胞の生検のレポートでは、外因性のリポイド肺炎の特徴を示していないという指摘がなされていて混乱している。

複合的な作用かもしれない

 こうした報告をざっと眺めた印象では、電子タバコに含まれるグリセロールやプロピレングリコールといった化学物質が気化して呼吸器に送り込まれ、肺の中に貼り付いてしまい、好酸球性肺炎やリポイド肺炎のような症状を引き起こしたのかもしれない。

 ただ、9月24日の米国46州の患者805人を調べたCDCの疫学週報(MMWP、罹患率と死亡率の週報)によれば、男性69%、13~72歳(中央値23歳)となっていて、さらに患者514人を調べてみるとTHC(Tetrahydrocannabinol、テトラヒドロカンナビノール)という大麻成分の入ったリキッド使用者が76.9%、ニコチン添加リキッド使用者が56.8%となっている(※15)。

 また、イリノイ州とウィスコンシン州の患者127人を調査したMMWPによれば、項目に回答した86人のうち75人(87%)がTHCリキッドを使用し、61人(71%)がニコチン添加リキッドを使用していた。また、THCリキッドを使用した人の89%が友人や家族、路上の違法売人などから入手していたこともわかったという(※16)。

 こうしたことから米国の電子タバコによる健康被害は、THCとグリセロールやプロピレングリコール、さらにニコチンといった複合的で複雑な作用で起きている危険性が考えられる。略

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「殺人」デング熱に注意! 10~11月に日本で「危険度」が上昇へ

2019-10-06 | 医療、健康

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191005-00067470-gendaibiz-bus_all

ついに沖縄に上陸

 今年9月20日、沖縄県で蚊が媒介する感染症のデング熱に、国内で感染・発症したとみられる70代の女性患者が報告された。

 今年はフィリピンを中心にアジア圏で既にデング熱が猛威を振るっている。
 フィリピンでは、台風発生により降水量が増えて蚊の活動が活発化する9~12月、英語の月名の最後に「ber」がつく、通称「berシーズン」がデング熱患者が最も増加する時期だ。
 つまりデング熱のハイシーズンはまだ始まったばかり。日本でもまだこの時期は、海外での感染者の帰国と、この感染者を吸血した蚊による国内での感染の両方で、患者発生が起こりうる憂慮すべき状況なのだ。

   
世界100カ国以上に拡散

 デング熱はデングウイルスの感染で発熱や関節痛、出血症状が起こる急性感染症で、重症化すれば死に至る。
 感染者の血を吸った蚊の体内でデングウイルスが増え、その蚊がまた別の人の血を吸った際にその人の体内にデングウイルスが入り込むことで新たな感染者が発生する。通常、人から人へと直接感染することはなく、感染しても全ての人がデング熱の症状が出るわけではない。
 このデング熱が全世界に広まったのはここ数十年のこと。
 1970年以前は、世界でデング熱流行が確認されていたのは9か国に過ぎなかったが、現在ではアフリカ、東南アジア、南アジア、中南米、西太平洋地域を中心に毎年100か国以上で患者が発生する「風土病」となっている。
 世界保健機関(WHO)が公表している2013年時点での年間推定デングウイルス感染者数は約3億9000万人、このうちデング熱発症に至っているのは約9600万人。
 現在の世界の人口が約77億人なので、世界で毎年約20人に1人がデングウイルスに感染し、およそ80人に1人が発症している。じつは、世界で最も患者の多い感染症の一つである。

フィリピン死者1100人超で警戒宣言

 そうした中にあって今年のフィリピンを中心とする流行は例年を超えるレベルだ。
 フィリピン保健省疫学局の発表では、今年に入って8月31日までのデング熱患者は27万1480人、うち死者は1107人。
 2012年以降、同国でのデング熱患者の報告数は最大でも年間22万人だったが、berシーズンに入る前に、既にそれを上回っている。この状況にフィリピン政府は7月14日に全国警戒宣言を発令したほどだが、今も報告患者数は増加し続けている。
 日本人に人気の旅行地であるタイでも、同国保健省が今年1月1日以降9月17日までのデング熱患者数が8万9157人、うち死者が97人、患者数が昨年同期の約1.6倍になったと発表している。
 この他にもベトナム、カンボジア、インドネシア、マレーシア、シンガポールなどでも例年より多くの患者数が報告されている。

   
日本でも輸入デング熱患者が増加

 そしてこうしたアジアを中心とする渡航先でデングウイルスに感染し、日本でデング熱発症が確認された輸入デング熱の日本国内の報告患者数(輸入患者)は、今年は8月末までに278人に達している。
 日本国内での2010年以降の年間輸入デング熱患者数は、2016年の343人が最高で、これに次ぐのが2015年の292人。
 2019年は8か月間で報告された輸入患者数だけで過去10年で3番目。例年9~12月までも数十人の輸入患者が報告されるため、今年は過去最高に至る可能性もある。
 ちなみに前述した2014年の流行では国内でのデングウイルス感染によるデング熱患者が162人も報告されている。この年の輸入デング熱患者数は178人で、その合計は340人になった。   

11月まで流行の危険

 今回、国内でのデングウイルス感染の可能性の高い患者が報告された沖縄県では、既に蚊の駆除などに乗り出しているが、今後も日本全土で輸入患者が報告されることは確実なため、ウイルスを媒介する蚊が活動する11月くらいまでは、国内感染による患者報告の可能性は十分にあり得る。つまりは決して油断はできない状況だ。
 デングウイルスに感染しても約4分の3は何も症状が起こらないか、デング熱とは気づかないほど軽度な症状で終わる。
 しかし自覚症状が出るような人では、感染から2~14日の潜伏期間を経て、突然の40℃前後の高熱、頭痛、目の痛み、結膜充血や顔面紅潮などが最初に起こり、その後筋肉痛や関節痛、全身倦怠感、さらに胸などにできた発疹が全身に広がる。おおむね発症してから1週間程度で症状は治まる。
 このように書くと、「感染しても問題ないのだろう」と考える人もいるかもしれないが、そのような考え方は禁物だ。
 デング熱を発症した患者の1~5%程度では、血液の成分である血漿(けっしょう)が血管の外に急激に漏れ出したり、出血性のショック状態の「デング出血熱」を引き起こし、時に死に至ることがある。
 今年8月末までのフィリピンの流行では、デング熱患者の250人に1人が死亡している。略

 また、デングウイルスには1~4型の4種類がある。例えば1型に一度感染すると、1型に対しては終生免疫、つまり以後1型ウイルスに感染してもデング熱を発症することはないと考えられているのだが、その場合でも2~4型に感染するとデング熱を発症し、なおかつ出血性ショックなどの重症化のリスクが高まることが分かっている。

   
代々木公園の教訓

 さらにたとえ人から人へ直接は感染しないとはいえ、感染中の人が蚊に刺され、その蚊が別の人を刺すことで感染が広がる。その典型的な事例が前述の2014年に日本国内で約70年ぶりに起きたデング熱流行だ。
 この時は東京都内の代々木公園で蚊に刺された女子高生が第1例として確認され、その後国内で感染者から蚊が媒介してデング熱発症に至ったとみられる患者が最終的に162人に達した。この女子高生の感染する以前にデングウイルスに感染した人が代々木公園を訪れていたとみられる。略

唯一の対策は蚊に刺されないこと

 また、厄介なのは、現状ではデングウイルスそのものに有効な薬剤がないことだ。例えば出血性のショック状態では輸液による管理を行うなどの方法しかない。また、海外ではデングウイルス感染を予防できるワクチンが発売されたものの、必ずしもメリットが十分発揮できない可能性が指摘されている。
 この状況のデング熱での予防策は、たった2つしかない。
 1つは当たり前のことだが、蚊に刺されないこと。
 東南アジアでデングウイルスを媒介するのはネッタイシマカと呼ばれるヤブカ属シマカ亜属に分類される吸血性の蚊だ。
 そして日本では同じ属に分類されるヒトスジシマカがデングウイルスを媒介する。ヒトスジシマカは、私たちが屋外で見かけ、「ヤブカ」と呼ぶ白黒の縞模様の蚊である。

   
沖縄から青森まで生息

 ヒトスジシマカは生息北限が岩手県、秋田県と言われ、それ以西の日本では確実に生息・定着しているが、近年は青森県でも生息が確認されている。
 一般に屋外で昼間、特に日の出時や夕暮れ時に日陰の藪、人家周辺の草むらなどを中心に多く発生する。一般に活動期は5~10月と言われるが、西日本の温暖な地域によっては11月中旬でも活動が確認されている。
 つまり、11月中旬までの期間は屋外、とりわけ日の出時や夕暮れ時は蚊に刺されないようにすることが重要だ。
 具体的な対策としては長袖、長ズボンなどを着用し、できるだけ皮膚の露出を抑える。これだけでも蚊に刺される頻度は激減するが、長袖・長ズボンを着用しても袖口や裾が広く開いている衣服ではそこから蚊が侵入して刺されてしまう。また、長袖・長ズボンでも目が粗い綿や麻の素材で生地も薄いと、服の上から刺される。
 つまり袖口や裾があまり開いていない、目が細かい合成繊維の長袖・長ズボンであれば蚊の攻撃をかなり防御できることになる。また、蚊の視覚は黒などの濃い色に引き寄せられやすいため、衣服の色は白などの明る目のものを選ぶ方がよりベターだ。略

  このように露出した皮膚には、通称ディート(DEET:化学名ジエチルトルアミド)、あるいはイカリジンが含まれる虫よけ剤を塗ることだ。ちなみに虫よけ剤で皮膚がかぶれやすいという人は皮膚への刺激が弱いとされるイカリジン含有の虫よけ剤の方が望ましい。
 最近のものはスプレータイプのものがほとんどだが、効果を十分に発揮させるためには露出した皮膚に直接塗ることが必要である。スプレータイプのものならば、片手でスプレーを持ちながら、もう片方の手ひらにスプレーを噴射し、手についた液体を皮膚に塗るという形だ。
 ちなみに生地の薄い衣服の上から刺されなようにするため、虫よけ剤を衣服に吹きかけることも一定の効果が期待できる
 ディートの効果持続時間は、含有量が5%の場合は最大90分程度、現在国内で販売されている最高濃度の30%ならば最大約8時間と言われる。この時間を超えて蚊に刺される可能性がある屋外で活動する場合は、効果が切れる直前にまた虫よけ剤を塗ることが必要だ。   

わずかな水で繁殖

 2つめの対策は蚊の生育環境を周囲に作らないこと。
 ヒトスジシマカは、植木鉢の受け皿や空き缶、屋外に放置したビニールシートのくぼみに溜まる水程度でも産卵でき、そこから2週間弱で成虫へと羽化する。略

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