スカーレット手帖

機嫌のいい観客

舞台「弱虫ペダル」~総北新世代、始動~

2016-03-29 | 観劇ライブ記
なんだかもう各方面が絶賛しかしていないから、
敢えて言うことないっショ、という気持ちになりつつある舞台「弱虫ペダル」シリーズ。
インハイ初日を見たときのような純粋な「衝撃」は少しずつ減ってきて、
豊富な物販、円盤はブルーレイ対応、海外のライブビューイング含め
安定供給システムが組みあがったんだな、という寂しさがある。

とはいえこの舞台に限ってはやはり生で観たいという思いは強く、
相変わらず、今回も劇場にお金を落としに行っております。
ことペダルにおいては、「人気の2.5次元」ラベルの中では語り切れない何かを見つけたいのです。
大阪はオリックス劇場前楽、そして神奈川KAAT前楽に行ってきました。
それにしても今回からチケットがローチケ扱いのみになったあたり、
政治的ななにがしかの手打ちが行われたのだろうか、とドキドキする。
売れてる案件は、生き馬の目を抜く興業の世界はおそろしいで~~


思い返せばフィギュアスケートでいうところのエキシビションのような作品だった気がする
昨秋の巻島・東堂特別編を経て3年生キャストが卒業。
晴れて新シーズンとなる今回の目玉は多数の新キャラ登場なのですが、
やはり個人的には総北・T2。
インハイ初日で大山田所さんが「どこかで二時間がっつり」と言ってた時から
登場を待ちに待たれたチーム二人の処遇が気になるところでございました。
制作陣も、今回キャスティングについてはさぞ練りに練ったところでしょう、と思います。

その甲斐あってか、
ハァ~~~手嶋純太が~~~~肉体を持って現れた!
こいつぁ、キャプテンだ。
しかもどっちかというと「キャプテン・フック」とか「キャプテン・ジャック・スパロウ」みたいな海賊系だ。
「俺は弱い」と言いながらも、2つの海ぐらいは制覇した感じの手嶋先輩だ。
(※髪型による補正が多々ありますね)
演じるは鯨井康介氏、キャリアの賜物といった感じの風情でございます。

私、鯨井くんはすでに3回見ておりました。
「デスティニー」「リチャード3世」そして「ピーターパン」ね。
毎回絶妙な脇役をやっていて、「うーむ、芝居巧者」という感じはあったのだけど、
不思議と印象が前面に残っていなかった。そんな自分を18回ひっぱたきたい。

なんだろうか、鯨井くんは声が良い。
気合が充満しており、アニメ荒北役の関さんにも若干似て聞こえた。
特に「連覇だ!!」の声がもう、大発会か、というほどの気合いで
原作の純太君もきっとそんな声を出したかっただろうに実際はそんなエエ声では気張れなかっただろう、
その無念を漢鯨井が実現してくれた、ありがとう… 三次元にありがとう
という謎の感謝がわいてくるような気持ちで見ておりました。
あと、「シキバァ!!」がすごかった。今のままでは手嶋に喰い殺されるぞ、頑張れ葦木場、
と思いながら見ました。
そして、改めて見た今回の鯨井くんは、立ち姿も華があった。脚も綺麗だったしな。舞台映えの鬼である。
「動いたときの圧倒的な魅力」という点で、舞台俳優だなあ~ という役者ですね。
いやー、もう鯨井くんの次回作も見たいもんね、ぜひ。

そしてそんな舞台の鬼・鯨井手嶋に相対するのがフレッシュぴちぴちな青八木・八島諒くんでした。
なにこの若さ~~~ 何物にも染まってない感~~~~~
うまいこと対比でキャスティングしましたね。ああ、本当によくやった、
としか言いようがない。モブパートもがんばってた。

ハコガクの新キャラは、
銅橋→兼崎健太郎、鏑木→椎名鯛造、という
目をつぶってても好きなようにやるだろうという人たちの他、
葦木場役は、まあもう最近こういった若手舞台を見ている人にしてみれば
「キャラの身長2m2cmの高校生っていったらもう… 演じられるの彼しかいないよね」
という結論しか出ない、東啓介くんが頑張ってやっており、ビジュアルは「本物か」
と見まがう雰囲気にまで仕上がっていてびっくりした。立ち姿研究していますね…

そして、全員熱い高校生の中でこのバランスがとても難しい
少数精鋭のヒール役・京伏の新キャラ・小鞠役に
「よくぞ当てた」という号泣のスタンディングオベーションを送りたい天羽尚吾くんでした。
すばらしく不気味だ。存在感に謎しかない。
御堂筋くんの後ろについて走り去っていくときの横顔が
すましたスタンダードプードルにしか見えない。
鬘を調整しただけあって、本当にプードルにしか見えず、不気味でした。



毎回気になるシャトナーマジック、
今回は度肝を抜くような「これぞ」という演出はあまりなかったように思うけど、
全体の仕掛けとして「インナーの物語」を感じさせる作りになっていたところに
地味にうなった。

次のインターハイを前にした4つの戦いが次々に繰り広げられて、
・昨年の総北夏合宿(回想)
・鳴子VS御堂筋
・アシキバ復帰戦(小野田・自信を取り戻すの巻)
・杉元レギュラー争い

唯一公式戦なのは3つ目だけだけど、
これも表面上の勝ち負けというよりは、「小野田が気持ちを立て直す」
ということに軸が置かれており、物語はより精神的なところにある。

そう考えながら見ると、
今回、セットはスロープにも後方の台にも「内側」にペダルのデザインが施されていて、
とにかく「内部」「インナー」のしのぎの削り合いというところの暗喩に見えてくる。
個人の自分との戦い、チームの中の戦い、見えないところでの高め合い、
というような、今後のインハイ編をぐっと掘り下げる話にまとまっていたなあ
という感想を持った。

その最たるものが杉元の戦いで、
光あるところには影あり、強者の中の弱いモノを容赦なく、しかし希望を込めて描く
原作の魅力の凝縮点のようなストーリーなのだが、
これは本当に、泣かされた。
演じる山本一慶くんは青学7代目の大石副部長をやっていたけど、
その時から、すごい美形にもかかわらず「ちょっとかわいそうな雰囲気」がすごく似合うな~という感じだったので、
今回の登板と、期待以上の演じ方でびっくりした。

まだ決着のついていないインナーの戦い最終章を受け持つ古賀先輩の輝馬氏は
今回は余すところなくおばあちゃんを披露していた。
すごい、うまい。
古賀先輩役のビジュアルも「ご本人ですね」といった風情だったが、
一番古賀度が高かったのが、最後のあいさつのときの姿勢。
一人だけ前で手を組んでいて肩が際立っていてめっちゃくちゃ古賀。

村井先生から坂道くんのバトンを受け取った小越プロ、今回改めて座長となったけど、
本当に彼は危なげというものがゼロだな、と思い知らされた。
あと、テニスで訓練しすぎたのか、常にコンマ数秒人より動きがキマるのが早いので、
どんな場面でも目をやった瞬間に絵のようにポーズが仕上がっている。驚愕だ。
もうちょっと不器用そうにやってくれてもいいんやで、と思わなくもないが
全国制覇後の超人覚醒した坂道くんだと思えば、こういう解釈もあるのだろう。

今泉と鳴子の古参組は、既に、
右大臣と左大臣、または神社の狛犬、または一対のシーサーのように出来上がっている。
2年生にして貫禄ポジション、
太田くんと鳥越くんの二人は屋台骨を実現しつつ、
次回以降のインハイはどのようにまた新しい貌を見せてくれるのか
という、個人的にはそこそこ大きいハードルを感じている。
二人にとっての出世作であることは疑念の余地がないので、
ここでこれまでにない姿がこの二人から出てくるかどうかが
けっこう重要な気がしている。


今回、神奈川公演で、偶然、ペダステを見はじめるきっかけになった縁の方にも会った。
もう3年になるのか、、、
ありがたい出会いだった。おかげでこんな感じ(毎回遠征)に育ちました。
もちろん劇場でブルーレイを予約し、風のようにブロマイド全員セットを購入したが、
こんな感じで今後とも課金していきますので、ペダステのみなさま、がんばってください。

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