スカーレット手帖

機嫌のいい観客

アナと雪の女王 -レリゴー(そこそこ金があれば)-

2014-05-09 | 映画ドラマまんが
今更ですが、アナと雪の女王を見ました。(2D字幕)


レリゴーで一躍話題の作品なので、もはや感想としては、
『噂にたがわぬ、よいレリゴーだった』
『おマツさんもうまいが、英語のほうがよりレリゴー感が強かった気がする』
『ところでサヤカはいつのまにあんなにロリータな感じになったのだろう』

などというどうでもいいのが第一に挙がってくるのですが
それ以外でもストーリーでいろいろと思うところもありましたのでメモしておきたいと思います。

ストーリーはもういろんなところで散々出てるんでなんとも言いにくいですが、
ふれたものを氷に出来る能力を秘めた姉の女王エルサと、それを知らない妹の王女アナが
長年のゆき違いでお互いをわかりあえずいったん決別するものの、なんやかんやあって仲直りする姉妹愛のドラマです。
とくにエルサが閉じ込めてきた自我をレリゴーするときの(let it go、ありのままの自分らしさを見せる)
メッセージ性強い!みたいな感じで評判です。

ミュージカルアニメなので、歌がすばらしいし、あとは今回2Dだったけど、氷や雪の表現がすばらしい。
あとは、ディズニーピクサーをみるといつも思う、西洋人の顔筋の動きの豊富さ。イイ!!
あっというまに見終わりましたが、キャラも背景もすごいいろんな技術が詰め込まれてるっぽい動きしてました。

ということで総じて満足度の高い映画ではありましたが、
こと映画・演劇は見終わってからいかに反芻するかというところまでがワンパッケージだと思うので
おおいに反芻していろいろと考えていました。

正月に「かぐや姫の物語」という映画を見ましたが、時代背景と舞台になる国が違うとはいえ
女の生き様の描き方として、違う方向での深め方があるもんだなぁとなんだか感心してしまいました。
ただ、かぐや姫の方は、彼女の生き方をしばるじーさんばーさん(とくにじじいの方)が
「この娘の高貴な方との結婚こそがすばらしいことだ幸せだ」という純粋な眼をして存命な一方で
アナとエルサは保守的な父母が不幸にも居ない(死んでしまった)という状況で、寂しいんだけど物理的に自由になれる状況ではある
というアドバンテージ(?)があるのがいいですね。
親離れあってこその自由だ、自意識発露だ、ということも言えそうです。

あとは、金あってこそのレリゴーだ、という身も蓋もないことも感じました。
レリゴーになる前から、彼女たちは王家の人間なので、単なる秘密を持ったしっかり者の姉と無邪気な妹というだけではありません。
セレブです。
セレブリティなので、山小屋で売られている数少ない冬ものや、氷売りの兄さんが買えなかった人参も買い占められるし、
谷底に落としてダメになったそりも耳揃えてバージョンアップして返してあげられる上に、
王家御用達商売屋としての看板も付けてあげられるし、
国民をいきなり真冬の状態に追い込んだくせに、最終的に氷のリンク作ったからなんかいろいろなかったかのように喜ばれてるし
いろんなことが金と力(魔力というか権力でしょうか)でトントン(プラマイゼロ)になってるのを感じました。

ただ、ここんとこはべつに私は批判してるわけでもなくて、これはこれでいい女性像だな、
というふうに思いました。
ディズニーアニメも、時代は王子様を待つお姫様ではなくて自立するヒロイン像みたいなのを目指してます!ガツガツいく!!
みたいな時期もあったかなと思いますが(そうなるとだいたい野蛮系ヒロインになってしまうが)、そういうのも乗り越えて、
別に王子様に全部をゆだねて救ってもらわなくても(まあけっこう妹は氷売り青年には助けてもらっているが)、
自分たち(女の力)で解決できる問題もあるし、だからってそれが男性に助けてもらうということの対立軸になるわけでもないし、
そしてなんかしてもらったり迷惑をかけたら、ちゃんと自分の身の丈で出来るものでお返ししていく、という姿勢がいいんじゃないでしょうか。
と思ったわけです。
若さと美貌だけで全部チャラになってたり、ヒロインはどう見ても美人なのでとくに何も持ってないけど一人勝ちでなんかお得、
みたいなのは、子供のときは夢があるけども大人になればなるほどに、うーん、って感じですからね。
そして、アナとエルサはたぶん別にめちゃくちゃ美人でもないけど先天的金持ち(もしくは力がある)なので、
いろいろ(傍から見てたら単なる乱心にしか見えないことを)したものの、最終的にはその実力をもって出来る範囲でのギブアンドテイクを実行しており、
それで周りにも認められてるので全体的にハッピーになれたように思います。
けして王子様とか他からもたらされた、降って沸いた資源でギブアンドテイクしたんじゃないとこがポイントだな、
と、感じました。

というのも、女王様というもののナチュラルさについてちょっと驚いたこともあり。
けっこうこれまでのおとぎ話って、「女王様」って悪者になりがちじゃなかったですか?
女だてらに権力持ってて、感情的で、悪だくみで… みたいな潜在的なイメージってけっこうあると思います。
でも今回はべつにそういう描写があったわけでもなく、女系一家だけど婿取り問題が発生せず自然にお姉さんが即位して、
(姉のほうはパワーの抑圧に悩んでいるが、即位に悩むような感じは見受けられない)
ここんとこもまあ洋の東西での文化の違いと思えばそうかもしれませんが、
ふつうに能力があって資格があれば、その仕事をしっかりする、という
自立した女たちの姿が受け入れられているということかなーと思いました。

そんな、ふつうの、自立した、そこそこ金をもった女子たちが、
肩ひじ張りすぎずに、もともと身に備わっていた問題の自己解決力を開花させるという話
かもしれないな、
というふうに超個人的には感じたので、
けっこうへんな解釈だと思いますが、そんな文脈で私にはグッとくるところがありました。

まあ、ここまでくると姉妹(役割)や女(性別)の話というよりも人間力の話かもしれませんけどね。
となれば、要は、愛だよね。
あと雪だるまかわいい。

ということでなんやかんやで普遍的な人間の話になりました。と
すぐれた作品はいつのときも素晴らしいヒューマンドラマである、ということで今回はまとめさせていただこう。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。