スカーレット手帖

機嫌のいい観客

キス -ピアノ男子の魔力

2013-07-16 | 映画ドラマまんが
中学生のときに読んで衝撃を受け、
以来絶妙に影響を受けながら齢29を迎えようとしている今年、
「キス」(マツモトトモ作)を、改めてデータで買い直して読みはじめた。
いやほんとに急に読みたくなったものでして。
単行本も全巻あるんだけど、実家に置いてあるんすよ。




このマンガは、端的に申しますと

「ツンデレピアノ講師とその生徒(女子高生)の恋や日常やあれこれを
 印象的な楽曲のイメージでつなぐスタイリッシュラブストーリー」

です。
いや、でもそれだけじゃないんだよー

作者の乾いた独特の美意識が、他にはない稀有な魅力を醸している。
最初の方とか、絵はさほどうまくないのだけど、
余白の使いかた、間のとりかた、やら

基本的に全員美女と美男で、生身な感じがしないのに
なぜかはさみこまれるギャグに生活感があって、
虚構だけど虚構でない感じ、憧れを抱かせる感じ とかが

たまらん。

16才(女子高生)と24才(ピアノ講師)の関係性も面白く、
カエちゃん(女子高生)が先生(ごしまくん)に追いつこうと必死になっているうちに、
先生がいつのまにか振り回されているんだなぁ。
大人っぽさのなかに若造感があって、たまらん。
ゴシちゃん、かっこいい。


ピアノ講師:五嶋

でも、
アマゾンのレビューにもありましたが、
これが学校の先生と生徒だったら成立しない話だったのでしょう。
単なる生々しい年の差ものがたりになってしまうんだ。
でもそうじゃなくて、先生の「ピアノ」という、『才能』に惹きつけられる少女という、
そこらへんのかぐわしい感じが、
他にないえもいわれぬおもしろさを醸しているのです。
「キス」というあけすけな題名を持ってきてもぜんぜんいやらしさはない、
むしろ様式美のようにも見えるわけです。
(大絶賛)


この「キス」が単行本として出はじめたのが96年、
折しもこの96年というのは、日本恋愛ドラマ史上における金字塔作品、
「ロング・バケーション」が世に放たれ大ブームを巻き起こした年でもあり、
不器用なピアノ講師を演じる木村拓哉当時23才の発する
はにかみ気味なセクシービームにやられてしまった人続出、
ひいては「ピアノを弾く妙齢の男子」に対する女子の目線が一気に
「おぼっちゃまくん」から
「あらまぁこの人ステキかもしんない」に転化した時期である。
(と、自分では思っています。てか妙齢の男子ってなんだそれ)


ローングバケイショーンby南

当時、多感な12才の私もロンバケにはだだハマりし、毎週ビデオに録画、
後に社会人になり財力を身につけた際にはDVDボックスを購入するほどの
好みぶりであった。


「中学生時代に身につけた感覚を人は一生引きずる」
なんて言いますが、

楽器が弾ける男は、情緒の理解が発達していてロマンチック

という刷り込み(妄想?)を「ロンバケ」と「キス」でされてしまった私は
「ピアノ弾ける男性かっけー」という感覚を胸に少女期を過ごした。
(じぶんも10年近く習っていたくせにハ調の曲しか弾けません)
長じて後、そんな男子と付き合ったこともありました。
イヤ、実際中身うっすかったけどね(人のこといえねー)。
まあしかし、ピアノを弾ける男性というのはすんごくセクシーで
自分の中の惚れメーターも大いに下駄を履かされてしまうのです。
いいよなぁ、楽器が弾ける男子。



そんなことをつらつらと考えてしまう。

それにしてもkindleはいろいろと思い出を連れてくるもんだなぁ。

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