SJesterのバックステージ

音楽関連の話題中心の妄言集です。(^^)/
もしよろしければ、ごゆっくりどうぞ。

どうしても・・・

2008年05月12日 00時10分23秒 | ピアノ関連
★ショパン:4つのスケルツォ ほか
                  (演奏:ジャンルカ・カシオーリ)
1.スケルツォ第1番 ロ短調 作品20
2.スケルツォ第2番 変ロ短調 作品31
3.スケルツォ第3番 嬰ハ短調 作品39
4.スケルツォ第4番 ホ長調 作品54
5.ポロネーズ第3番 イ長調 作品40-1
6.ノクターン第2番 変ホ長調 作品9-2
7.ノクターン第5番 嬰ヘ長調 作品15-2
8.ワルツ第1番 変ホ長調 作品18
9.ワルツ第3番 イ短調 作品34-2
10.ワルツ第7番 変二長調 作品64-1
11.子守唄 変二長調 作品57
12.即興曲第1番 変イ長調 作品29
13.幻想即興曲 嬰ハ短調 作品66
                  (2004年録音)

どうしてもこのカシオーリという人のポートレートを見ると、ハリポタが頭に浮かんでしまうのは何故だろう・・・?
やっぱ似てるよね。(^^;)

あのルチアーノ・ベリオにエリオット・カーター、そしてかのマウリツィオ・ポリーニ肝いりのウンベルト・ミケーリ国際ピアノ・コンクールで優勝したのが1994年・・・って、私も年取るわけだ。
でも今年まだ29歳だってことは、彼は15歳で優勝しちゃったってこと!?
今だったらゼッタイに、なんとか王子って名前がついていそうですね。(^^;)


この演奏から感じること・・・。

専制君主的、理不尽、不条理、バイオレンス、スペクタキュラー、やたらバス音を鳴り響かせちゃっている、か細いくせになかなかしぶとい正義、ヒロイックな美学、軟弱(軟体動物的)な柔軟さなどなど。
そしてそれらはスケルツォの解釈にとっては決して誤っていないようにも思われます。
(その他の楽曲については甚だ疑問ですが。。。(-"-;))

これらになじめるかと言われると拒絶したくもなるが、「そんなのアリ?」かどうかを冷静な目で見てみるとどうしても「ない!」とは言い切れない。(^^;)
コセコセした登場人物や心証も現われることがあって、彼の解釈中それは同一人物なのか、別のキャラクターなのかわからないけれど、聴いている私には映画の展開を見ているような錯覚に陥るぐらい生なましい。

それにしてもこの演奏、ピアノの表現力(ありとあらゆる音色・フレージング)を駆使しそれを最大限に発揮している点については、どんな立場のオーディエンスであっても認めないといけないでしょうね。
ホントに不思議なくらい従順にピアノが音を発散している感じがします。
もちろん、それを引き出している「主語」はピアニストに他なりませんから、彼カシオーリの魔術・力量であるとはいえます。

やや破滅的で、オタク的、かつ許せないまでの優柔不断なキャラクターが続々と顕われるので、体育会系の人や、質実剛健・教条主義的な人にはどうしても“うにょ~っ”と感じられてしまうかもしれませんが、芸術家それぞれにいろんな捉え方があるわけで、最高度の技術をもって何を表現するか・・・これだけはアーティストの特権ですから黙って聴くほかないでしょう・・・。

ようするに、私はこの解釈にはやはり注文をつけたいところがある・・・そういうことです。
ここまで濃密に格調高く確信犯で与太られてしまうと、どんなにすごく可能性や説得力を感じたとしても・・・ね。

こういった自分の感覚とのズレがあったとしても、風流に受け流して聞けるようになりたいなぁ~。(^^;)

否、ここまで新鮮な感覚で自在に表現する力のあるひとに、自分の考えたとおりの解釈で曲を再現してもらえたら・・・でもそんなんじゃピアニストが乗り気にならないか。。。(^^;)

彼らへの報酬(お金だけじゃないだろうけど)も提供できそうにないしね。
ありものを楽しんで聴かせてもらえる・・・それだけでありがたいことと思わなきゃ!

聴くに耐えない・・・ものも中にはなくはないから・・・ね。(^^;)

てなわけで・・・ご立派!!