ヒト遺伝子想定的生活様式実践法

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〔おさらいメモ〕 ストレス反応とセリエ説

2013年06月04日 |  関連(生物学医学)

〔更新履歴:6/9例示追加〕


 他力本願で、最近眺めていた本
 永井 明 「適応上手」(角川書店、2004.7月)
から、ストレスに関するハンス・セリエ博士の説についてメモしておこう。彼は、セリエ博士の下で学んだことがあるらしい。

 同説のおさらいは、過去記事をどうぞ: ストレス反応と副腎機能 (1) セリエ説 2012/7/31
今回新たな点はないような気もするので、おさらいがメインという感じだろう。


 とりあえず、用語の使い方から。

「ストレス刺激(ストレッサー)」― ストレス回路を動かす外部からの刺激。
「ストレス状態」― ストレス回路が作動した結果、心身に不都合が生じた状態。
「ストレス反応」― これら一連の反応の総称。 (前掲書43頁)


 先ずは、ストレスとは何かについて。

ストレスとは何か

 ストレスというとふつう、「精神的な重圧感」と理解されているようだ。それはそれで間違いではないのだが、正確とも言えない。いわゆる精神的なプレッシャーだけでなく、暑さ寒さ、湿気乾燥、空腹満腹、身体的な痛み、騒音、混雑など・・・極端なことをいえば、ぼくたちを取り巻く自然、社会環境のすべてがストレスを起こしうるのである。

 こうしたストレス刺激がぼくたちのからだに加わると、体内ではまず、大脳新皮質が「どんな刺激が、どの程度の強さで加わっているのか」を認識し、間脳の一部である視床下部というところに信号を送り、脳下垂体から副腎皮質と自律神経系に至るストレス回路を回転させる。ここで重要なのは、刺激の種類にかかわらず(非特異的に)、体内ではじめに起こる反応は基本的にいつも同じ(特異的)―「大脳新皮質→視床下部→脳下垂体→副腎皮質・自律神経系」の順で回路が作動しはじめる。

 仮に強度10の空腹というストレス刺激が加わっても、同じ強度の騒音ストレス刺激が加わっても、からだは同じストレス回路を10回転させ、それらの刺激を適正に処理しようとする。つまり、外部からの異なった刺激に対して同じ仕組みで「適応」しようとするのである。

 [中略]

 「ストレス反応はもともとからだを守るための防衛、適応反応だ。病的反応(いわゆるストレス状態)として心身に不具合が現れてくるのは、その適正バランスがなんらかの理由で崩れたときである。」

 例えば、「寒さ」というストレス刺激にさらされているとしよう。そのときまず皮膚でそれを感知し、「寒い」ことを大脳に伝える。すると、大脳新皮質はストレス回路を回転させるように指令を出し、自律神経系・内分泌系を働かせる。その結果、皮膚表面の毛細血管は収縮し、体温の放出を防ごうとする。また、たとえば筋肉運動によって熱の生産を促す「震え」も同じメカニズムで生じる。

 では、ストレスの何が問題かというと、10の強さの刺激に対して5回転しかしない(刺激強度を5と過少に評価する)、逆に20回転もしてしまう(刺激強度を20と過剰に評価する)。「不適応状態」になり、そのギャップが心身に歪みを生じさせてしまうことだ。一般的には、この状態をいわゆる「ストレス」と言っているわけである。

 なぜ、そうしたことが起こるのか。それは、ぼくたち人間が他の動物に比べてとても大きくなった大脳新皮質をもっていて、良くも悪くもあれこれ感じ考えてしまうためだ。

 動物実験では同じ強さのストレス刺激に対しては、生理的に見合ったストレス反応を生じる。人間の場合はそうならず、ストレス刺激強度の認識の仕方は、百人の人がいれば百通り。・・・ (前掲書40-42頁)


 上記の例の寒さと違い、●の影響の場合、匂いも味もしないので五感に反応しないことが多いだろうから、刺激強度への順応といってもより難しいのかもしれない。この意味で、ガイガーカウンターで空間線量を測ることは、目安が得られることとなり、よいとも考えられる。


 セリエ説の主要な点について。

 セリエ博士の提唱したストレス学説の基本軸となる考え方にGeneral Adaptation Syndrome (GAS) というのがある。日本語訳では「汎適応症候群」。
 
 体外から何らかのストレス刺激が加わると、ぼくたちのからだはそれに対して適応(一定の状態を維持)しようと反応しつづける。ストレス学=ホメオスターシスの動的メカニズムを解き明かす学問と捉えてもいいかもしれない。ストレス反応は固定的なものではなく、時間の経過によって、刻々その姿を変えていくということだ。

 セリエ博士は、いろいろな有害物質(ストレス刺激)によって、体内にはいつも「副腎皮質の肥大」、「リンパ組織の萎縮」、「消化器の潰瘍」という三つの変化が起こることを見つけ、それをストレス反応と呼んだ。

 しかし、研究をすすめていくうち、その変化はじつはストレス反応の一部、初期の反応に過ぎないことに気づいた。ストレス刺激が加わると、たしかに三つの変化は起きる。だが、そのまま刺激が加わりつづけると体内の様子が変わってくる。時間の経過により、ストレス反応はその姿を変えていくことがわかったのである。

 セリエ博士はその変化を、「警告反応期」、「抵抗期」、「疲憊(ひはい)期」の三つの時期に分けて説明している。 (前掲書54-55頁)


 以下三つの時期について詳しい解説は端折って、代わりに短いのを置いておこう。ついでに、冒頭の過去記事でも紹介した記事から、三つの時期の図も借りておこう(京都府精神保健福祉総合センターのサイトの記事「〈ストレス〉 ストレスの仕組み-生物、心理、社会的に見た場合-」 http://www.pref.kyoto.jp/health/health/health09_b.html から)。

図 警告反応期、抵抗期、疲憊期について
注)実線の縦軸は抵抗力の強さ、横軸は時間軸を示す。
出典)前掲記事から。



 あるストレス刺激が加わるとき、生体の抵抗力はいったん低下するが、多くの場合、また持ち直す(警告反応期)。そして、その刺激に対する抵抗力は以前より増加する(抵抗期)。外界の変化に適応するわけだ。ただ、そうした刺激が加わりつづけると、やがて適応エネルギーは涸渇し、抵抗力は不可逆的に低下、心身ともに疲労困憊状態に陥る(疲憊期)。 (前掲書157頁)



 低汚染地から高汚染地を訪問すると、いろいろ反応があらわれる人がいる。典型的なものだと、例えば、ツイッターから、

@trust_5  [北海道在住のヒト]
@kado_kado_ginza @onodekita 私も東京に一泊した1週間後から強烈な頭痛を伴う、高熱が続きました。インフルも陰性、風邪でもないって医者に言われました。疲労、っていう診断。そもそもこの10年くらい発熱などなかったのに。2012年1月の話。
2013/03/20


 このヒトは多分、警告反応が出たということだろう(警告反応が出る前に低汚染地に戻っていたようだけど・・・)。他方、東京に住む多くの人々は、既に警告反応期を過ぎ、余り症状も出ていないようにも見受けられるので、抵抗期にあるということではないだろうか。

 想像するに、●の影響が各個人の耐性限度を超えているということであれば、いずれ疲憊期に陥ってしまう可能性があるだろう。そのような人々にとって、その時期は5年後が多いということかもしれない。ツイッターから、

@tokaiama
巨大放射能事故が起きたのはチェリャビンスク [中略] チェルノブイリに次いで三回目だ。低線量被曝の影響には五年という潜伏期間があり、7年目にピークを迎え、その後数十年に渡って子供達の致死的病気や異常が続く。遺伝障害は7世代に及ぶ 被害は全地球上
2013/3/6 (強調は引用者)


 汚染地に住んでいる場合、現在症状が一旦消失していても、それは抵抗期に入っている可能性があるとも考えられる。従って、移住し、あるいは少しでも抵抗期が長続きするよう、できる限り転地療養に努めることが必要なのかもしれない。

 

・6/9追記:
 低汚染地から高汚染地を訪問した場合の例示については、「典型的な」例と書きつつ非典型だよなと最初から気づいていたのだが(探しきれなかったっス)、反省し補足しておこう。

 先週末に福島で盛大にお祭りが開催されたらしいが、熱中症の人がかなり出たらしい。中日新聞と福島民報から、

福島、東北六魂祭に25万人 千人がパレード
2013年6月2日 19時33分
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2013060201001970.html

福島市内、大混雑
2013/06/02 11:11
http://www.minpo.jp/news/detail/201306028785

 福島市によると、六魂祭の来場者のうち、熱中症とみられる症状で手当てを受けた人は45人で、このうち1人は重症だった。


 この45人の中には、他県からの訪問者が多くいた可能性があるだろう。福島の当日(1日)の最高気温は25度だったらしく、旅行による疲れだけでは説明がつかないということかもしれない。

 仮に抵抗期にない人には影響が出易いと考えれば、市民を怒らせた次の行為は必要だったと理解できるのかもしれない(むやみに近寄らないのが最善策だが・・・)。ブログ「みんな楽しくHappy♡がいい♪」の記事から、

「我々はそれを知らされない」広瀬隆氏6/3脱原発テント裁判を考える講演会(内容書き出し)
2013-06-05
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-3033.html

 ここでお祭りをやる、お祭りをやる前に、つまり六魂祭をやる前に福島県が何をしたかというと、「ここを除染をした」っていうんです。
 わかります?それで福島市の人達は本当に内心で怒った。あたりまえですよ。他から人が来るために除染をした。
 そこに住んでいるんですよ!祭りが終わったらまた放っておくんですよ。それが今の状態なんです。


 この例だけだと、ちょっと漠然とし過ぎてるような気もするので、福島へ行った場合の例について、某掲示板の緊急自然災害板から(この辺りを当初探していたのだが・・・)、

313 : 地震雷火事名無し(茸)[sage] 投稿日:2013/03/05(火) 22:54:51.32 ID:CJd1WPAo0 [1/1回(PC)]
  311以降の自分のまわりの人の病気

  友人の父親が突然死60代@埼玉県
  親が肺炎にかかる@東京都

  姉が福島に行ってから動悸が止まらず。医者の診断では不整脈あり。心臓には問題ない。心筋に何かあるかもとのこと。原因は心理的なものでは…(おいっ…)とのこと。@東京都

  毎年、年賀状の喪中ハガキは0~1枚。
  今年、5枚。

984 : 地震雷火事名無し(鹿児島県)[sage] 投稿日:2013/03/15(金) 22:45:58.51 ID:kysSkL130 [2/2回(PC)]
  しかしこっちじゃ危機感ない人多すぎる。
  旦那さんは福島に単身赴任。
  とくに心配していない。
  本人は東京へ遊びに行って最終日に高熱出した。
  被ばくの懸念はしていない。

  他に子連れ一家でねずみーもあり。
  関東長期帰省もあり。

  外国の出来事のように思っている節がある。 (強調は引用者)


 レス984には、低汚染地(鹿児島)から東京へ行った場合に該当するだろう。福島についてもう一つみておくと、同板から、

123 : 地震雷火事名無し(やわらか銀行)[] 投稿日:2013/03/18(月) 21:12:37.93 ID:YN45D0RB0 [1/1回(PC)]
  >>35
  私は食べ物にもすぐ反応するカナリア体質ですが、
  どうしても移動しなくてはならず福島通過したことがあるんですが、
  熟睡していたら、突然胸が締め付けられるような激しい痛みで目覚めました
  慌ててガイガー取り出したら、警報がびーびー鳴り止みませんでした。
  外を見ると福島通過中だとわかり、自分の身体が反応したんだと分かりました。
  長いこと苦しみがとれず、ここで死ぬのかなと思いました。
  [以下省略]

124 : 地震雷火事名無し(東日本)[sage] 投稿日:2013/03/18(月) 21:26:10.30 ID:7KrPh5oc0 [2/2回(PC)]
  >>123
  移動中の福島でも反応が出るなんてすごいな。
  当方は福島通過時は何も反応が出ないし東京と同じ状態だったんで拍子抜けしたんだが。
  さすがに福島県内で外に居る時はN95マスクに帽子、眼鏡でフード被って防御はしてたけど。
  今、反応が出なくても反動で何年後かに一気に被曝症状が襲ってくるかも知れない。 (強調は引用者)


 レス124のヒトは、東京在住のようだが、問題なかったらしい。もともと強い体質のヒトなのかもしれないし、あるいは、東京在住のため抵抗期に既に入っており、ある程度の予防もするなどストレス刺激の捉え方が丁度よい塩梅だったということかもしれない。


 次に、低汚染地(関西など)から東京へ行った場合の例について、直接関係ない情報も有益そうなので削除せず掲載してみると、同板から、

927 : 地震雷火事名無し(神奈川県)[sage] 投稿日:2013/02/13(水) 04:12:28.64 ID:h8geDRY+0 [1/2回(PC)]
  老けてない人もいるよね。
  気をつけてる人はずっとキレイなのかな?

  頭がボーとしていて、モヤがかかってるみたい。
  よくイライラするし忘れっぽい。
  鍵を忘れたり、車に付けっ放しにしたり、サザエさん状態は日常茶飯事………、
  それと平成23年の記憶がほとんどない。
  ショック過ぎて農が忘れたいのかもしれないけど。
  一昨日の記憶は怪しい。
  思考力がほとんどない。わからない。頭にはいってこない。会話がズレる。
  どうしたらいいか考えると眠くなって疲れる。
  見た目が老けたくらいで仕事できてる芸能人はまだ健康だと思うよ。

932 : 地震雷火事名無し(茸)[sage] 投稿日:2013/02/13(水) 08:46:01.37 ID:SgaVVdEA0 [1/4回(PC)]
  927は放射性物質吸い込んだときの典型的だよね。考えられなくなり、頭がぼーっとするの

933 : 地震雷火事名無し(神奈川県)[sage] 投稿日:2013/02/13(水) 08:48:08.81 ID:h8geDRY+0 [2/2回(PC)]
  >>932
  そうなんだ…
  確かに3月20前後、外にいた。コストコの屋上駐車場にいたんだよなぁ。

  やられたか。スピルリナ飲んできます

934 : 地震雷火事名無し(茸)[sage] 投稿日:2013/02/13(水) 09:27:32.14 ID:SgaVVdEA0 [2/4回(PC)]
  >>933
  自分も元神奈川県民だけど、
  たまにデトックスで、今だったら兵庫真ん中より西に旅行すると(北九州の近く除く)アタマがクリアーになると思うよ。本当は引っ越しがいいけど、難しいなら。
  中国のガスは意外にデマじゃんと身をもってわかるw

935 : 地震雷火事名無し(関東・甲信越)[] 投稿日:2013/02/13(水) 09:50:01.15 ID:GiF53mv7O [1/2回(携帯)]
  >>934
  関西への避難民だが、たまに東京へ行くとアタマが痛くなる。耳鳴りなんかもあるし@姫路

937 : 地震雷火事名無し(dion軍)[] 投稿日:2013/02/13(水) 09:53:46.60 ID:pbGTdy870 [1/3回(PC)]
  東京に1週間いたら頭がニキビだらけになったよ 空気が汚染されすぎじゃね
  頭にニキビなんて出来たことがなかったけどね (強調は引用者)


 レス935のヒトは、低汚染地(姫路)から東京へ行った場合で、レス937のヒトは、居住地不明だが東京へ行って頭皮に湿疹がてきたということらしい。