まんまるログ

融通性か?和・洋・中・無国籍・ジャンクとなんでも食べる胃袋と脳みそ。

春がくれば

2018年04月29日 | 日記&映画
「ここの所温度差が激しいですね」とか‥「朝は冷えたわいね」‥挨拶をかわす日が続いた。

今日は久方(ひさかた)にいい春日和。

世の中はGWでせわしないが、我が村は耕運機と草刈機がうなりをあげている。

筍を掘ったり、じゅうたんを干したりと陽射しの恩恵にあずかれる。



韓国映画 “春が来れば”を観た。

チェ・ミンシクさんが演じている中年の男。

音楽家(トランペット&サックス奏者で作曲家)だが、交響楽団のメンバーになる夢が破れる。

小さな炭鉱の町の中学校の吹奏楽の先生として働く事になる。

音も揃わず楽器の手入れもされていない吹奏楽部の生徒達が彼の指導で全国大会にでる。

そして優勝‥という話でもない。

ただ‥演奏シーンはとてもいい。
指揮をするミンシクはやっぱり巧い。
トランペットを吹く姿も見事な俳優だわぁと感じ入る。

生徒たちとの関係性。
夜はぽつぽつと灯りが点在しているだけのほの暗い炭鉱の町。
別れた恋人や友人‥一人暮らしの母親に対する愛情。
厳しい冬の風景から春の花の下に座る主人公。

言うまでもなく、チェ ミンシクは圧倒的な存在感と、確かな演技力で、個性的な役柄をこなす実力派の名優だ。

この映画は彼にしてはめずらしく普通のおじさんの役どころ。

彼の表情だけでも観る価値がある。

勝ち組でもなく(一度も勝ったことがない)負け組でもなく(負ける事がどういう事かもわからない)
生きることは辛い。
それでも身過ぎ世過ぎでなんとか生きて行く冴えない中年。

味わいの深い映画だった。
余韻が残る。

外に出て風にあたった。

空には楕円のお月様。

やけに明るい川までの道。


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カッコウの巣の上で眠るアマデウス

2018年04月17日 | 日記&映画
4月13日にミロシュ・ホアマン監督が亡くなった。

「時よとまれ、君は美しい/ミュンヘンの17日」 は オムニバス映画で複数の監督の中の一人。
ホアマンがどこを担当したのか覚えていない。
ボブ・シーグレンの棒高跳びだけが印象に残っている。

「カッコーの巣の上で 」 
主演 J・ニコルソンのマクマーフィは鮮烈で存在感があった。
「ヘアー 」
ミュージカルの中では一番ショックを受けた作品。
トリート・ウィリアムズがパーティの大テーブルの上で歌い踊る場面を繰り返し観た。
まだ世の中にはビデオしかなかった。
「ラグタイム」 
「アマデウス」天才モーツァルトの軽蔑と秀才サリエリの妬み。
豪華な音楽的見せ場とドラマは映画史に残る。
紛れもなく傑作で名作。

「恋の掟 」若いコリン・ファース。軽薄な演技が魅力なのは何故に。
「ラリー・フリント」
「マン・オン・ザ・ムーン 」

どの映画も記憶の抽斗から取り出せる。

場面、場面が脳裡に浮かんでは消える。

自分が若くて、街にいて、雨に打たれたり、風にふかれたり、どこかで浮かれたりしていたことも一緒に。



「彼と一緒に仕事ができたことを光栄に思う。それは記念碑的な素晴らしい経験だった」
ジム・キャリーの追悼の言葉。

最後に観た「マン・オン・ザ・ムーン」の主演だった。

御年86才は寿命だと納得できるが、まだ衰える事のない才能は‥彼の中の反骨と一緒に消えてしまう。

蛙が鳴きはじめた。
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