まんまるログ

融通性か?和・洋・中・無国籍・ジャンクとなんでも食べる胃袋と脳みそ。

歌声にのった少年

2017年06月28日 | 映画
ムハンマド・アッサーフは、紛争地パレスチナのガザ地区で育った。

少年は歌うことが好きだった。

結婚パーティなどで歌い、地元ガザのテレビにも出演するほど上手だった。

姉のヌールは、弟の才能を信じ歌手になるように勧めた。

イスラエルが封鎖しているガザ地区は外の世界に出ることそのものが困難。

「大丈夫よ。いつか必ずここから出ていける。夢は叶う。スターになるって言って。スターになって世界を変える」

腎臓病で倒れた姉が死ぬ間際に言う言葉。

ムハンマドは、大きな夢(カイロのオペラハウスで歌う)を抱くようになった。



しかしガザから外に出るのは容易な事ではない。

防護壁で囲まれている“天井のない監獄”と呼ばれるガザ地区。
検問所は二か所。
空爆された町の中、瓦礫と化した施設、空爆の被害者、停電、飲料水でさえ満足でない状況。
ムハンマドは偽造したビザで脱出を試みようと‥

イスラエル軍とイスラム原理主義組織ハマスによる戦闘から2年。
今もイスラエル軍による空爆が繰り返され、街の再建は、遅々として進んでいない。

『愛するパレスチナ...アラブの人々よ、祖国の何と尊いことか
クーフィーヤを掲げよう、高く空中に振りかざそう
最初の号砲が旅路の物語を告げる
時がくれば、僕らは全てをひっくり返すだろう
祖国よ、あなたのために僕らは立ち上がる
闘いの日、僕らは勝利への道を照らし出すだろう』
(ネットの記事から抜粋)
「クーフィーヤ」とは、頭にかぶったり首に巻いたりする布のこと。

ムハンマド・アッサーフは、姉との約束を果たした。
神からもらった声で今日も希望を歌っている。

インド映画‥PK

2017年06月19日 | 日記&映画
インドの荒野の空の上、雲の中から、一人の男(アーミル・カーン)が地上に降り立つ。
彼は裸である。
映画の始まりから可笑しいし‥面白い。

世界の道理や社会(インド)の常識には疎い男。
多様な人と出会いながら‥コミカルだが真剣で、中身が誠実な男は‥「pk(ピーケイ)」と呼ばれ始める。
男は、あるものを探している。
それを見つけ出す為に、彼は人々の願いを聞き届けるという【宗教】の存在を知るのだ。
様々な宗教を信仰しようとするが、その度に面倒くさい、ややこしいトラブルに見舞われて彼の願いは一向に聞き届けられない。
そこで彼は一つの結論に達する。
神様はいるが、現在行方不明となっているのだ。
TVリポーターのジャグ(アヌーシュカ・シャルマー)は彼に興味を持ち、「宗教とは何か?」を検証するTV番組に出演させたいと思う。
pkを面白く思わない新興宗教の教祖がそれを阻もうとする。

「皆様ご覧になってください」

「pkピーケイ」は酔っ払いとか風変りとか‥もしくは阿呆ともとれる意味合いらしい。



世界で撮られる映画で最も多いのはインド。

インド映画は数回観ただけの私が語るのもおこがましいのだが‥

観た限りでは、長い‥3時間弱という映画ばかりだった。

そして歌と踊りが必ず入る‥主演はもとより、エキストラに至るまで歌もダンスも巧い。

「pkピーケイ」もこの特徴を余さずそなえている。

伝家の宝刀、お家芸。

楽しくて泣かせる映画を久し振りに観た。

★五つ。


地域総出で川狩りをすませて、ついでに梅酒を漬けて今日はゆっくり。


カッコウの鳴き声

2017年06月09日 | 日記
先週W市のお寺で二泊。
カッコーの声で目覚める。
台所でも居間でも庭でも、そこかしこでカッコーの鳴き声が響く。

カッコー カッコー カッコー 。

お昼過ぎ氏と隣接する村までの間道を歩く。
万歩計をしっかりと持つ。
往復2時間強の間‥鳥の鳴き声、大スズメバチ、アオダイショウ‥猪の糞に遭遇。

車の往来なく(トラクターの泥はねあり)、人間は我々だけで、風は爽やか、天気もいいし、歌でも歌いましょうか‥ルン
数年前一人で歩いた道は、今相棒がいないと歩けないそうで‥‥。
(いのちゃんが山に、原っぱにいて、食べ物を探している。ユリ根 蕨の根 竹の子 山芋等 )
美味いもん好き‥お寺のハス田の蓮根もごっそりとやられている‥残念というよりも惜しい。
田んぼは電気柵で免れているが、そこここに足跡がある。

茗荷を見つけて夕食の天ぷらに‥お地蔵さんの横に流れる湧水をのんで一息いれて‥
いのちゃん防止策‥熊笹を杖替わりに2本振り回す‥それだけで気合いが入るのが不思議。
もし出会ったら背中を見せると危ない‥後ろ歩きの練習‥しつつよろめき歩く。
体幹を鍛えるには努力がいる。

しかしながら、喋るわ 笑うわ、やかましい我らは、いのちゃんにもさけられている。
躁がましいのは、猪には合わない様で助かっている‥今までの所は。

お寺に帰って万歩計をみたが8000歩と少し。

これだけ歩いても理想の一万歩には及ばない。

木の枝にカッコーの姿が見える。

スレンダーな鳥だ。

意地悪で、でぶい姿だったら、育児放棄の生態と相まって「ワリイ奴」「どっか‥いけ」‥枝を揺らしてやるのに。
スレンダーはすぐに飛び立って身軽い。

見た目と鳴き声は可憐で美しくもある。

 《脳内の空気》

見た目で判断してはいかん。いかん。いかん。

カッコーは所与の物として托卵する。
原因はいまだ解明されていない。
巣の中にあった卵をひとつ持ち去って数を合わせるし子育てをしない。

問題は人間のなかに‥閑古鳥(かっこう)もどきが増えているという事のほうで‥

子育ての中で母親だけが表面にでてくるが‥父親(雄)の役割は大きい。

カッコー カッコーと美しい声で鳴いているのは雄である。


ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ

2017年06月08日 | 映画

1929年、ニューヨーク。
老舗の出版社チャールズ・スクリブナーズ社の敏腕編集者マックス・パーキンズ。
彼のもとに、出版社をたらい回しにされたという原稿が持ち込まれる。

作者は無名の作家トマス・ウルフ。

原稿を読んだパーキンズはその才能に惚れ込み出版を約束する。
ただし‥その条件として膨大な原稿の大幅な削除を要求。
トマスは抵抗する。
激論を重ねながらの気の遠くなるような編集作業に取り組んでいく過程が良かった。
2人の苦闘の末に完成した処女作『天使よ故郷を見よ』は評判を呼び、瞬く間にベストセラーとなるのだが…。



トマス・ウルフは夭折の天才作家。
レニングラード シャーロックホームズのジュード・ロウが演じる。
脳みその中に溢れんばかりの語彙があり‥林檎を食べるという事だけで原稿用紙10枚は使う作家。
多少軽薄で無礼な様も‥見事に演じていた。

カリスマ編集者パーキンズはコリン・ファース。
英国王のスピーチ キングスメンの味とは別に厳格で濃密な人格がはまっている。

パーキンズは、ヘミングウェイやフィッツジェラルドをこの世に送り出している。

編集者と作家はぶつかり合い、寄添いあい、なだめなだめだれ 励ましあいながら一冊の本を世の中に送り出す。

本読みの私には涎が出る世界です。

トマス・ウルフについてはもう一度じっくり読みなおそう‥。
そう思える映画だった。