まんまるログ

融通性か?和・洋・中・無国籍・ジャンクとなんでも食べる胃袋と脳みそ。

言葉の中身と骨

2017年11月03日 | 日記
此処の所 身体を動かしている。

自分の日課で身体の為に運動をするのではなく、余儀なく動かしている。
仕事とはそういう物だ。
余儀なく(専門以外に身につけた技又は芸)であるが‥専門があるかと言われれば困る。

身体だけでなく、脳みそも使う。

饐(す)えて黴臭い脳でも使いまわす。

身体よりも脳が堪(こた)える。

「近頃の若者は想像力が足りないんです。哀しい事ですよ」

30代の若様が言う。

生まれた場所が“お寺”だった為に…住職で‥若様である。

のべつ…高説を垂れ流す。

そのうち唐突にバイロンを語り始める。

‥滔々とである。
(バイロンは美男子でカリスマがあった)

周りの檀家《婆さんが殆どで爺さんはいない》寺の行事の為のお手伝いであるから女衆の手がいる。

婆さん達…私も含めてだが、若様の言葉なぞ聞いていない。

廊下の吹き掃除…仏具磨き…仏壇の乾拭き。

必死のパッチで身体を動かす。

バイロンもナイロンも木綿の雑巾もあったものではない。

住職は高みから下知をくだす。

真にシュール。

高みの下知は、下々にとって“ノイズ”雑音でしかない。
言葉に骨がない。
若様の幼少期から付き合ってきている熟練の檀家衆である。

彼の行状を山もっこりと知り尽くしている。

“若”はバイロンの頽廃と放埓、そしてスキャンダルだけをあげつらう。

バイロンが当時の時代の偽善と偏見を‥彼の言葉で嘲罵した事については触れない。



心は脂汗だったが(馬鹿な言葉に情がわく)‥身体は汗をかいた。

廊下掃除は全身を使う。

夕焼けの空。
骨のきしむ音がする。
ギチ ギチ グキキ

バイロンの恋人(何人目かは?)が身を投げたのは、ベニスの運河だった事を思い出した。

今日も暮れていく。

冬がそばに来ている。