Mayumiの日々綴る暮らしと歴史の話

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◆ナチスの母体となった 『トゥ-レ協会』

2017-09-21 18:19:36 | Weblog


*アーリア人を至上と考える人々
 第二次世界大戦は世界中に様々な不幸を生み出したが、中でも世界中を震撼させたのがナチスによるユダヤ人の大虐殺である。
ナチスはユダヤ人であると云う理由だけで、ユダヤ系市民を強制収容所に送り込み、ガス室で大量殺人を行った。その犠牲者の数は600万人とも言われている。
そのナチスの母体となった組織こそ、トゥーレ協会なのである。
トゥーレ協会の誕生について遡ると、19世紀末のオーストリアに辿り着く。19世紀末から20世紀初頭にかけて、ウィーンではアーリア人種(ゲルマン民族)を讃える民族運動が盛んに行われていた。「優秀なアーリア人類こそが世界を支配するに相応しい」とする思想が蔓延していたのである。それは裏を返せば、アーリア人種以外は劣悪な人種で、生きるに値しないと云う考え方でもあった。
そして、その過激な思想の矛先を真っ先に向けられたのがユダヤ人だった。

*小さな組織をまとめる同盟の誕生
 当時のウィーンには、強烈な反ユダヤ思想を持つ二つの有名な組織があった。
一つは元修道士のアドルフ・ヨーゼフ・ランツが創設した新テンプル騎士団だ。
ランツは金髪碧眼のアーリア人こそ「神人」で、そのほかの人種は「獣人」とする「神聖動物学」を広めようとしていた。
そしてもう一つが、グイド・フォン・リスト率いるアルマネン秘法伝授団である。
リストもまた、オカルティズムに取り憑かれたアーリア人至上主義者で、やがて訪れる終末戦争の後にゲルマン民族の楽園が訪れると信じていたという。
こうした組織の活動によって反ユダヤ思想が日に日に高まる中、1902年に隣国ドイツで反ユダヤ主義を掲げた『ハンマー』が創刊される。これに刺激された読者によってドイツも各地にハンマー会なるものが誕生し、それを統一する帝国ハンマー同盟が結成される。そして、ウィーンを源流とする二つの流れは、1912年に帝国ハンマー同盟の地下組織ゲルマン騎士団として、一つになったのだ。

*ヒトラーの登場で強力になる
 やがて第一次世界大戦が勃発すると、ゲルマン騎士団の活動は停滞する。
多くの団員が戦場に送られ、活動資金にもこと欠くようになり、1918年に遂に内部分裂が起こったのである。
この時に、ゲルマン騎士団から分裂してバイエルンに非公式の支部ができた。それこそがトゥーレ協会だったのだ。
トゥーレ協会は、表向きこそゲルマン古代の研究を目的としていたが、有色人種やユダヤ人を排除し、世界支配を目論むオカルト的な国粋主義集団だった。ナチスが使用していた鉤十字(ハーケンクロイツ)も、元々はトゥーレ協会のシンボルマークだった。

やがて、第一次世界大戦の終結翌年の1919年、トゥーレ協会の会員がドイツ労働者党と云う右翼政党を結成した。
その集会をスパイするよう軍に任命されて送り込まれたのが、ドイツ軍で諜報活動の任務に就いていたヒトラーだった。
ヒトラーは集会で演説する党員に対して苛烈で理路整然とした反論をぶつけた。その姿が党の有力者の眼に止まり、ドイツ労働者党に入党するよう勧められるのである。こうして政治の舞台に足を踏み入れたヒトラーは見る見るうちに頭角を現し、その過激な演説で国内外の政治団体に知られるところとなった。
そうして彼は組織の実権を握り、ナチスの党首へと駆け上がって行くことになる。
そしてヒトラーを見い出したトゥーレ協会は、当のヒトラーによって解散を命じられ、行き場を失ったメンバーはナチスの党員として史上最悪の行為に手を染めて行くのである。

*画像
 トゥーレ協会の会員が創ったドイツ労働者党のメンバー。前から3列目の中央やや左にヒトラーの姿もある。

 左・協会のエンブレム。既に鉤十字が使われている
 右・ヒトラーが収監された際に代理を務めたアルフレート・ローゼンベルク。彼もトゥーレ協会の一員だった。

          





                                                   本当に恐ろしい地下組織
                                                            歴史を変えた地下組織

 

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