日本にいる友人のMは、派遣に登録して働いているのだが、
職場の上司に呼ばれて、会社の事情で今度の更新はできないことになったといわれた。
「朝からこんなネガティブな話で申し訳ない」と繰り返す上司。
それは突然の申し出だったのに、友人の心の奥の深いところでは「ヤッター!」と喜んでいて、
「あー、私、この仕事が好きじゃなかったんだー、自由だー!」
と思っていることに気づいたという。
「ぼちぼち仕事を探すワ。私たち、波長が似てるところがあるから、シロにも波が来るかもよー」
晴れ晴れとそう言うMに、「冗談やめてよ、いらんいらん」と返した私だったが・・・
日曜日の朝、1本の電話が、凪いでいた私の日常に波を起こした。
3人いるストアマネージャーの一人、Kからの電話で、その日、辞職願を出すというのだ。
Kは私にとって最も近い同僚で、まさに青天の霹靂。
いや、伏線はあった。
一月ほど前、ちょっとした行き違いがあって、Kが突発的にほかの仕事に申し込んだことがあり、その誤解は翌日に溶けたのだけれど、申し込んだ先の数社から面接の知らせがきてしまった。
その時点ではKは転職するつもりはなかったと思うが、今思えば、あれは確かにキッカケだったと思う。
辞めたら私が1番困るのがわかっているから、相談もできなかったのだとKは言った。でもせめて1番に知らせたかったと。
がっかり、困惑、寂しさ、いろんな感情が一気に押し寄せて、
けれど、10年余りいた場所を離れて新地に飛び込む勇気は称賛に値するし、
Kの決断とこれからを祝福したい思いのほうが勝つ。
転職の理由は、あえて深く聞かなかった。
決めたあとで、それはどうでもいいことだと思うから。
さあ、これからどうする。
この究極的に人手不足の職場で、マネージャーが二人。
It is what it is
Kがよく言うフレーズだ。これが現実。どうしようもないじゃん。なるようになるさ。
今までだって、こういう別れ方はいくつもしてきた。
そしていつも何とかなってきた。
たぶん、しばらく私は週に5日働くことになりそうだけど、私は私ができることをするだけだ。
Kが好きなレストランのギフトカードに、手紙を添えてKに贈った。
「ありがとう!ごめんね、でもありがとう・・・・」
Kは強く私を抱きしめた。
「よかったね」
いつかKが、同じようにして辞めていくマネージャー仲間に言ってあげたように、私もKに言う。
Kの目が、少し潤んだ。
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