心象風景 絵描きブログ

美術のこと、旅のこと、いろいろを心象風景を描くようにつづる絵描きの雑記。

「猫の手研究所」通信24

2020-08-11 23:57:02 | 記憶のかけら

初めてのお宅の玄関で、どうしたものかと躊躇した。

猫殿の姿はないけれど、このお宅の中にいるに違いない。

ドア越しにそっと覗いていると「どうぞ」と声がする。

もう少しだけドアを開いた。玄関は旅館のような広い空間。

その先の格子扉が開いて主と思われるご婦人が出てきた。

「ヒロ君、お宅の猫ちゃんだったのですね」

ヒロ君 ?  猫殿のこのお宅での名前か。

「すみません。よくおじゃましてるのでしょうか?」

まるで息子の監督不行き届きを詫びるような気分。

「いえいえ、楽しみに待っているのはこちらです」

どうぞと伸ばされた手に誘導されて格子扉の中へ入ると

カーテン越しに猫殿の姿。なんと のびやかな姿 !